コラム
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2002年 8月分 vol. 4
朝の連ドラ ヒロインは宇宙をめざす
ライター 林 公代 Kimiyo Hayashi

写真 NHK朝の連続テレビ小説と言えば、真っ直ぐで明るくてやや向こう見ずなほどのヒロインが、時に困難に直面しながらもガッツとパワーで目標にむかって突き進む、というのが最近定番のストーリー。2002年秋から始まる「まんてん」ではヒロインがいよいよ宇宙を目ざすという。ただしSFではない。今まさに建設している「国際宇宙ステーション」に乗り込もうというのだ・・・。

 このドラマの最初の企画段階に私もちょっと関わった。朝の連ドラのテーマとして、チャレンジングではあるが親しみやすいとは言えない「宇宙」というテーマを、現実的にありえる話としてどうもってくるか、制作側はかなりご苦労されているようだった。リサーチャーと言う人が複数いて、宇宙開発の現状と未来を複数の関連機関に取材していて、その生真面目さに正直驚いたほどだ。

 そんなリサーチをベースに作られたストーリーは・・・ヒロインの日高満天は屋久島出身。父の漁船で種子島から打ち上げられたロケットを見て、宇宙への憧れを抱いていた。満天は大学を出ていない。宇宙飛行士は大学を卒業していないと応募できないことも知らない。でもひたすら「宇宙に行ぐどぉ」と思い続ける。ひょんなことから気象予報の仕事に就き、結婚も出産も経験。満天は夫と子どものサポートを得て宇宙への道を突き進む・・・。

 宇宙開発は今まさに分岐点にある。宇宙観光は急速に民間人に開かれているし(かなり高額だけど)、宇宙に行かないまでも宇宙を一般の人にもっと利用してもらおうと「きぼう利用相談室」が宇宙開発事業団に作られるなど、確実に宇宙は私たちに開かれつつある。「タイタニック」のキャメロン監督が宇宙で映画を作りたいと言う話もあるそうだから、このドラマの撮影を本当に宇宙ステーションでできたら面白いのになぁ。

 「まんてん」の宇宙部分の監修をし、出演も予定している、宇宙飛行士の毛利衛さんは「近い将来、技術系エリートだけでなく、様々な分野で活躍する人が宇宙へいける時代が必ずやってきます」と語っている。でもいつ、どんな風に?文系人間にとってはそれが知りたくてたまらない。その一つの形を見せるこのドラマが、視聴者にどう受けとめられるか、今からとっても楽しみだ。