コラム
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2002年 11月分 vol. 1
若田飛行士 伝授! 「山登り方式」宇宙生活って?
ライター 林 公代 Kimiyo Hayashi


写真 宇宙船の中で何人もの宇宙飛行士が暮らすとき、「ゴミ」はかなり大きな問題だ。

 宇宙にゴミをポイポイ捨てるわけにはいかず、宇宙船の中にためておくしかない。食事のあとの生ゴミや排泄物などニオイが気になるゴミもためておくしかないとしたら、ゴミ処理の仕方を真剣に考えないと、不快指数は増すばかりだろうなぁ。

 10月末に帰国した若田さんに、「宇宙で出るゴミってどうしてます?」と聞いてみた。若田さんは「ゴミは極力出さない。出してもコンパクトになるように宇宙食のパッケージも作ってありますよ」とさわやかに答えてくれた。

 宇宙で「食べ残し」は御法度らしい。「食事当番が準備をする前に、飛行士たちにメニューを見せて、どれを食べるか聞いて回るんです。食欲がないときは品数を減らす。用意したものは全部食べる。」とは言っても体調が悪くて食べられないときもあるよね・・・。「そんなときはニオイがでないように密閉します。」ゴミ箱ってあるんですか?「いえ、分厚くて丈夫なゴミ袋でぐるぐる巻きにしてワニクリップで留めてロッカーに止めておくだけ。」そのまま地球に持ち帰るのが「シャトル方式」。

 宇宙ステーション時代を迎えるにあたって、NASAは宇宙飛行士に山登りの訓練を実施している。若田さんも6人のチームで参加。そのときのスローガンは「Leave No Traces(後に何も残すな)」。トイレの後もティッシュ等の消耗品でなく、落ち葉を使う。この訓練を通して「宇宙生活は山登りににている」と若田さんは実感したという。

 宇宙飛行士が数ヶ月間くらす宇宙ステーション。「ステーション方式」はゴミ収集がある。しかしおよそ3ヶ月に1回。酸素や食料、衣料を運んでくる補給船プログレスの帰りの便に乗せて、大気圏で船ごと燃やしてしまう。だから3人の飛行士が1日に出すゴミは小さなビニール袋約一つ分。排泄物の「小」は浄化して宇宙空間に放出するが、「大」は真空乾燥して圧縮しておき、プログレスで焼却。それって、山登り以上の生活かも。地上でもそろそろ宇宙生活を見習うべきでは?