コラム
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2002年 11月分 vol. 3
史上最大の宇宙ゴミ「ミール」落下の大騒ぎ
ライター 林 公代 Kimiyo Hayashi


写真 宇宙には巨大なゴミ焼却場がある。それは地球の周りをとりまく「大気圏」。「燃えるゴミ」も「燃えないゴミ」もたいていのものは、跡形もなく燃やしてしまう。

 使い古した人工衛星や宇宙ゴミの破片も大気圏で燃え尽きて、地上に降ってくることは、ほとんどない。しかし、あまりに大きいものは燃え切らず破片が落下してくることもあった。たとえば、アメリカ初のミニ宇宙ステーション「スカイラブ」。1979年にオーストラリアのパース郊外に落下。破片が自宅の屋根に突き刺さった少年がアメリカの新聞社に破片を運び込んで、賞金を獲得したとか。

 全長約33メートル、質量約140トンのロシアの宇宙ステーション・ミールの廃棄が決定したときには、大騒ぎとなった。特にあわてたのは日本。南太平洋にミールが落下する直前に日本上空を通過するためだ。文部科学省は急遽「ミール情報収集分析センター」を設置。宇宙科学研究所の的川泰宜教授たちが情報分析の結果「日本にミールが落ちる確率は1億分の一」と発表しても、取材は「過剰な熱気」に包まれていた。

 燃料を積んだプログレス補給船が2001年1月末に打ち上げられ、ミールにドッキング。プログレスのエンジンを使ってミールの高度を徐々に下げ、ミールは計画通り、2001年3月23日午後3時頃、南太平洋に落下。1986年に打ち上げられて以来、15年にわたり100人以上の世界各国の宇宙飛行士が滞在し(その中には元TBSの秋山さんもいたネ)、様々な宇宙活動を展開した舞台も、その幕を閉じた。フィジー諸島からは、ミールがいくつもの火の玉になって空を横切っていく様子が観測されたそうだ。

 さぁて、建設中の国際宇宙ステーションはミールを遙かに超える大きさになる。各モジュールは使用後持ち帰る設計にはなっている。しかし持ち帰りの際の莫大な費用をどうするか、未だはっきり決まっていない。数十年後、ミールを超える大騒ぎがやってくるのか!?