小学5年のムスコは毎日、宿題で国語の本を読む。最近読んでいるのは「1秒が1年をこわす」。
地球46億年の歴史を1年にたとえてみると、約4百万年前に生まれた人間は大晦日の午後5時頃に生まれたことになる。ここ200年ぐらいの科学技術の発達で生活は急激に便利になったと同時に、資源やエネルギーを大量に使うようになり、地球の環境を壊している。200年は地球46億年を1年とすると1秒ちょっと。その短い時間で地球全体を脅かしている・・・という内容。
10歳ぐらいの子供たちが、この話を「実感」できるかどうかはかなり疑問。でも理解しようとしまいと、人類200年のツケを彼ら以降の世代が背負っていかざるを得ないのは事実。国語の教科書には「『子供環境会議』を開こう」、とか「蛍のすむ水辺」とか環境ものの話が並ぶ。難しめの話を「お勉強」しなくてはならず、イマドキの子供たちも大変だな・・・。
「1秒が・・」は地球の時間のスケールを縮めた話だけど、空間のスケールを小さくした絵本が出た。「地球がもし100cmの球だったら」。約1万3千kmの地球の直径を100cm、ちょうど「お父さんとお母さんが二人で抱えられるぐらいの大きさ」に縮めてみたらどうなる?と始まる物語。富士山は0.3mm、エベレストは0.7mm、一番深い海でも0.9mmで地球は「すべすべした球」になっちゃう。大気の厚さは1mm。シャトルが飛ぶのは表面から約3cmの距離でしかない。
地球の表面積は2畳ほどの広さで、そのうち1畳半弱は海。でも飲める水はわずかスプーン1杯。ホント? 30cm×30cmが熱帯林で、毎年3cm×3cm分(実際は日本全土の約40%)がなくなっている。ドキリ。
100cmの地球では人間は10万倍の顕微鏡でしか見ることができない。つまり微生物かバクテリア、もしくはそれ以下の生き物がとてつもない破壊力をもっているってワケ。
数字が並ぶと、ややセンセーショナルに思えることもある。この本の巻末でも紹介されているが、日本科学未来館には実際に100cmの「触れる地球」がある。100cmの地球を手でふれて、ゆっくりその数字の意味を感じとってみたい。
「地球がもし100cmの球だったら」
文・永井智哉/絵・木野鳥乎 世界文化社 価格900円(税別)
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