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2002年 12月分 vol. 3
宇宙飛行士は「鳶職」
ライター 林 公代 Kimiyo Hayashi

写真 2002年11月末に国際宇宙ステーションの建設のためにスペースシャトルが飛び立って、長さ約14mの柱「トラス」が組み立てられた。国際宇宙ステーションもどんどん大きくなっていて、「ステーション」らしくなってきた。

 今回の組み立てでは二人の宇宙飛行士が3回の船外活動を行った。写真を見ると、まるで鳶(とび)職。大きなトラスは高層建築。組み立て作業はロボットアームと宇宙飛行士の両方で行うが、宇宙ステーション建設のための船外活動は約1260時間とも言われている。1回の船外活動はだいたい6時間ぐらいだから、200回前後行われるってワケだ。

 この「鳶職」にいよいよ日本人宇宙飛行士・野口聡一さんが挑戦する。2002年3月に予定されているミッションのプレスキットが届いた。ナント野口さんは宇宙飛行初経験にして、3回もの船外活動を1日おきに行うらしい。実験装置の交換やケーブルの配線など、鳶職に加えて電気屋さん的な仕事もある。タフな仕事になりそうだ。

 日本人で船外活動を行うのは土井飛行士に続いて二人目。国際宇宙ステーションで船外活動を行うのは野口さんが初めて。船外活動もスペースシャトル時代から進化しているようだ。

 一番大きく違うのは「レスキュー」の問題。宇宙空間に放り出されないように、飛行士たちはテザーという命綱をステーションに引っかけているが、万が一の場合もある。そんなとき宇宙ステーションを動かして救出に行けないし、スペースシャトルがドッキングしていても解除に時間がかかったりして、すばやい救出が難しい。そこで登場したのがセルフレスキュー用の装置「SAFER」。宇宙服にとりつけたSAFERの小型のジェットエンジン24基を噴射し、宇宙飛行士は元の場所に帰還できる。自分が宇宙船になった感じ、かな?

 ほかに工夫されたものに、手袋がある。大きなステーションの端っこのほうで仕事をするうちに、マイナス100度以下の宇宙空間にさらされて指先がつめたーくなってくる。だから手袋の先には「ヒーター」が取り付けられた。

 野口さんは大好きなラーメンを宇宙にもっていくらしい。ぶじに仕事を終えてラーメンをおいしく食べられますように。