コラム
前のコラム ビストロSMAPの料理…
次のコラム 南極越冬隊≒宇宙?
2003年 1月分 vol. 6
宇宙から見た「流氷」
ライター 林 公代 Kimiyo Hayashi

みどりIIがとらえたオホーツク海の流氷。海がこんなに広く氷に覆われるなんてフシギ。(提供:NASDA EORC) 右の写真、北海道から北のオホーツク海に薄いブルー~白く広がっているのは2003年1月18日の「流氷」。昨年12月14日にH-IIAロケット4号機で打ち上げられた環境観測技術衛星「みどりII」のデビュー画像だ。流氷ってこんなに広がってるの? ってビックリしましたねー。ネットでいろいろ調べてみると、流氷域が最大になる3月ごろには、オホーツク海の80%が凍ってしまうらしい。

 流氷で思い出すのが、2002年11月末からフジテレビで放映された「北の国から2002遺言」。遭難したと思われたトドの猟師役の唐十郎が、流氷の上を歩いて帰ってくるシーン。あんなふうに流氷ってずーっと歩いてわたれるのかしら。ロシアまで・・・。網走で生まれ育ったDSPACE某スタッフに聞いてみたら、人はさすがに歩いてこないけれど狐・アザラシ・鹿たちは流氷を利用して旅をしているとか。

 人工衛星「みどりII」は高度800km上空で1日に地球を約14周し、センサーと呼ばれる5つの「目」で地球を昼も夜も見つめ続けている。流氷の写真をとったのは「アムサー(AMSR)」という目。水やエネルギーの循環を観測する。

 地球は7割が海の「水の惑星」。地球温暖化とよく耳にするが、地球上の気温など熱エネルギーを支配する大きな要因はどうやら「水の動き」。たとえば海面の水温が上がると水が蒸発して雲になって、やがて雨になって地上に落ちてくる。水は水蒸気になったり雨になったりと形を変えながら熱エネルギーを循環させている。そんな水の循環を地球規模で調べるのが「アムサー」のお仕事ってわけ。

 地球には海水は豊富にあるけれど、21世紀は水が足りなくなると言われている。世界の人口の三分の2の人たちは実際、農業や飲料に使う水に困っているらしい。アムサーの水分布データは水資源を公平に分配するためにも役立つはずだ。

 ところで。NASDAホームページで「サッカーボール型地球儀」のペーパークラフトを発見。NASAの衛星AQUAに搭載されているアムサーの兄弟センサー「アムサーE」がとらえた地球の水画像で作る地球儀。台風もちゃんと写っている。ちょっと机の上でころがしてみたいようなユニークなやつだ。



みどりII(ADEOS-II)のページ
http://sharaku.eorc.nasda.go.jp/ADEOS2/index_j.html


サッカーボール型地球儀ペーパークラフト
http://sharaku.eorc.nasda.go.jp/AMSR/gallery/s_ball/index_j.htm