最近、古雑誌やマンガ本をもらうことが多い。たとえば3月頭の週末。子供の髪の毛を切ってもらった近所の美容院に迎えに行ったとき。子供が読んでいた週刊少年ジャンプ(2002年7月8日号)をふと見ると、こち亀(「こちら亀有駅前公園前派出所」)の両さんが宇宙旅行の添乗員をしているではないか!思わず子供の手から漫画をもぎとり必死で読んでいたら、「もってっていいよ~」と店長のやさしい一言。
さっそく読んでみると。両さんは5日間3500万円の宇宙旅行の添乗員をすることに。日給100万円。旅行客の平均年齢は88歳ですべて日本人。ところが直前に主催者側からキャンセルの連絡が入った。両さんはアルバイト代ほしさに旅行決行を主張し、宇宙センターを借りて実物大シャトル模型を発射台に設置。シャトルごとフリーフォールさせ無重力を体験させたり真っ暗闇のプールで宇宙遊泳をさせたりして、本当に宇宙にいると騙すために四苦八苦。ところがニセ宇宙旅行の最後に、本物のシャトルと間違えて打ち上げられてしまい大気圏寸前でバラバラに崩壊。でも奇跡的に全員助かり「地球が丸く見えた」と喜ぶ。とことんパワフルでハイテク通の老人達と両さんのやり取りが笑える。宇宙旅行はシャトル事故で遠のいたけど、続いていたらこんな痛快老人たちが客層だったかも。それにしてもこの擬似宇宙旅行、体験してみたい~。
先月はやっぱり近所の喫茶店で書評雑誌「ダ・ヴィンチ」(2002年4月号)のバックナンバーをもらった。SFマンガ「プラネテス」の作家のインタビュー記事があったのだ。「プラネテス」はNASDAで職員の人たちが回し読みしているマンガで、気になっていた。
「プラネテス」の舞台は2074年。宇宙ゴミの回収を仕事にする主人公が人類初の有人木星往還機フォン・ブラウンで旅立つというストーリー。週刊モーニングの6週おきの連載で口コミで話題になった。宇宙ゴミの回収は将来必要になるのは間違いないが、それを人間たちがスクーターのような乗り物で集めている。ありえない気もするけど面白い。
「ダ・ヴィンチ」のインタビューによると、作家・幸村誠さんはいつもネームで苦しみうなっている時間が長くて連載の間隔があいてしまったとか。(荒川の土手でサンドイッチを食べたりしながら、言葉が降りてくるのを待つらしい)宮沢賢治が好きというだけあって、そのネームがいい。自信過剰だった主人公が空間喪失症(無の空間に対する恐怖症、作者の創作)や同僚の事故等で悩み苦しむ過程で、「宇宙ってなにか」ストンと抜けるシーンは必見。『愛』のあるマンガです。
「こちら葛飾区亀有公園前派出所」秋本治=著 週刊少年ジャンプに連載中。
ジャンプコミックス1~133巻 各390円 集英社 |