コラム
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2003年 4月分 vol. 1
船外活動はロボットと一緒に
ライター 林 公代 Kimiyo Hayashi

NASAが開発中のROBONAUT。一本足だけど、上半身はサイズ、形とも人間に似ている。五本指は細かい作業もできる。(提供:NASA/DARPA) 4月26日に、国際宇宙ステーション(ISS)に向けてマレンチェンコ(ロシア)、ルー(米)の2人の宇宙飛行士がソユーズロケットで打ち上げられる。2002年の11月末からISSに滞在している3人の宇宙飛行士(バウアーソックス、ベティ、ブダーリン)とようやくバトンタッチ。これまでの3人体制が2人になって、大忙しになることは間違いなし。しかも懸念されていることの一つに船外活動がある。

 この4月8日にもISSではNASAのバウアーソックス船長とベティ飛行士が、船外活動で電力ケーブルの配線や支柱の取り外しなどのメンテナンス作業を行う。船外活動はペアが基本。でも二人体制になったらどうやって? NASDAの星出彰彦宇宙飛行士は「安全性が確保されれば一人で船外活動を行うこともありうる」と記者会見で言っていたけど、ちょっと不安。

 そんな時、相棒にロボットがいてくれたら・・・。NASAでは船外活動用のロボット「ROBONAUT(ロボノート)」をちゃーんと開発しているのです。ロボノートの上半身は形もサイズも宇宙飛行士のよう。顔には立体視できる二つの目、2本の腕(1本ずつに温度や位置、力を計る150のセンサーがついている)、5本の指。中でも特徴的なのは指。人間の手とほぼ同じ大きさで関節もあり、EVAで使う器具をそのまま使うことが出来る。さらに小さなものをピンセットでつまみ、9.5kgのおもりを持ち上げる。ISS内にいる宇宙飛行士は、ロボノートの目が見ている風景を見ながら自分の手を動かす。ロボノートはそのとおりの作業をする。

 ISSの完成までには、200回以上の船外活動が必要になると試算されている。メンテナンス作業も多い。それらの作業をロボットがやってくれれば、宇宙飛行士は実験に集中できるはず。東北大学の吉田和哉先生は「ロボットは人間と違って『疲れた』と言わないでしょ。(笑) 危険な作業を人間がやることはない。ロボットは人間が宇宙に行くためのアシストができる。今はロボットに人間ほどの器用さはないが、ロボット先進国の日本の技術力なら可能なはず」と話してくれた。

 ロボットと人間がチームを組んで働く。イメージとしては映画「スターウォーズ」のC3POやR2D2かな?姿かたちが人間に似てくると、腕だけのロボットアームより仲間としての親近感がわいてくるのが、不思議。



ROBONAUT(ロボノート)
http://vesuvius.jsc.nasa.gov/er_er/html/robonaut/robonaut.html