コラム
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2003年 4月分 vol. 2
「世界宇宙飛行の日」4月12日の3つのできごと
ライター 林 公代 Kimiyo Hayashi

スペースシャトル初飛行中のジョン・ヤング。食材を取り出そうとしてベテラン宇宙飛行士もあたふたしている様子が可笑しい。(提供:NASA) 鉄腕アトムの誕生日4月7日は今年強烈な印象に残ったけれど、その数日後の4月12日は、宇宙ファンの方々には心にとめてほしい記念日。「世界宇宙飛行の日」。宇宙飛行にとって大きな3つの出来事が、偶然にもこの日に起こっているのだ。

 まず代表的なのが、1961年4月12日。当時27歳のユーリ・ガガーリンが「ウォストーク1号」で打ち上げられた。1時間48分の飛行で、地球を1周。人類で初めて大気圏の外に飛び出した人類の記念すべき日。

 そして1981年の4月12日はスペースシャトルが初飛行した日。シャトルの1号機コロンビア号に乗り込んだのはジョン・ヤングとロバート・クリッペン。2日と6時間の飛行。宇宙と往復する時代が始まった。ちなみにジョン・ヤングは1962年に宇宙飛行士第2期生として選ばれたベテラン宇宙飛行士。ジェミニで2回、アポロで2回(月にこっそり特注サンドイッチを持って行ったとか)、シャトルでも2回飛行している。73歳の今も最高齢で「現役の」宇宙飛行士。

 一方、ジョン・ヤングと一緒にシャトル初飛行したロバート・クリッペンは引退し、向井千秋さんが1994年に宇宙飛行をしたとき、NASAケネディ宇宙センターの所長をしていたとか。「彼は出世したよな~」と向井万起男さん。(実は今日、万起男さんのインタビューに行ってきました。抱腹絶倒のお話はこのコラムで紹介しますので、お楽しみに!)

 そして日本人なら1955年の4月12日は絶対に覚えてほしい! 日本初のロケット、長さ約23cmのペンシルロケットが東京・国分寺で水平発射の公開実験に成功した記念すべき日だ。ガガーリンの宇宙飛行や、スペースシャトル初飛行に比べてマイナー? なんて思わないでほしい。お金がない分、知恵をしぼり小さいボディに中身をギュッとつめる技術は日本のお家芸。米ロに比べてずいぶん出遅れた日本の宇宙開発だけど、今や宇宙科学研究所が打ち上げる探査衛星はどれも低予算で小型ながら世界のトップレベルを走る成果を上げているのだ。5月9日に打ち上げ予定の小惑星探査機ミューゼスCも世界で初めて小惑星からサンプルをとって地球に持ち帰る予定で、全世界が注目している。

 ちなみに、4月12日は「パンの記念日」でもある(本当に記念日っていろいろあってオドロキ)。天保13年(1842年)、砲術の研究家・江川太郎左衛門が軍用携帯食料として日本で初めてパンを焼いたとか。なんか宇宙食に通じるところがないですか?というわけで4月12日はパンを食べながら宇宙に想いを馳せよっかな。