約19年間もの長い歳月をかけ、手塩にかけて!? 育ててきた国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」船内実験室がいよいよNASAに向けて旅立つ。日本での見納めとなるプレス公開が、4月11日(金)NASDA筑波宇宙センターで開かれた。
「宇宙ステーション試験棟」のクリーンルームに白衣、帽子、マスク、靴カバーを身にまとい、さらにエアシャワーをあびて入室。あった!第一印象は「でかいな~」。外径が4.4m、長さが11.2m。大型バスがすっぽり入る大きさで重さは14トン。こんなに巨大なものを貨物室に積んで宇宙に運ぶのだから、やっぱりシャトルって大変な乗り物だわ、と実感。
有人宇宙船を作った経験がない日本は、NASAが要求する厳しい条件をクリアするため困難の連続だった。何度もやり直して製作。部品点数はどんどん膨れ上がり船内実験室だけで約150万点。そして仕上げはサンドペーパーによる手作業。熟練職人による工芸品なのだ。
「きぼう」船内実験室は4月22日に筑波宇宙センターを出発、5月2日に横浜港から船に乗り6月に米国フロリダ州ケネディ宇宙センター(KSC)に到着。KSCで「きぼう」がドッキングする結合部「ノード2」と組み合わせて、電気・通信のやりとり等の試験を行う。
でもコロンビア号の事故でシャトル飛行は止まっているのに何故、今「きぼう」をNASAに送るの? と疑問に思う方もいますよね。その答えは「ノード2」にある。「ノード2」は「きぼう」やヨーロッパ実験棟「コロンバス」がドッキングする国際モジュールの要。NASAはシャトル飛行が再開されたら、「ノード2」の優先順位を高くして打ち上げるらしい。そこで「ノード2」の打ち上げ前に「きぼう」とのインターフェースを見ておく必要がある、というわけ。また、シャトルの飛行が遅れた分「きぼう」の打ち上げがそのまま遅れるわけでもないようだ。順番の入れ替えや打ち上げ間隔の調整なども検討されている。
育児休暇を終えて4月から仕事に復帰したばかりの宇宙飛行士、角野直子さんは「今は一刻も早くシャトル飛行を再開しようと関係者一同がんばっている。ISSも地上でできる作業は目標を変えずに取り組んでいく。「きぼう」はたくさんの人たちが長い年月をかけて関わってきた苦労の結集。宇宙で確実に実験の成果を出したいですね」と笑顔で語った。その笑顔が宇宙で見られる日が待ち遠しい。
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