1903年12月17日午前10時35分、アメリカ・ノースカロライナ州キティホークの空にライト兄弟の飛行機が舞い上がった。人類初の動力飛行機が実現した歴史的瞬間だった。それからたった100年の間に飛行機は私達にとって身近な乗り物になり、さらに人類は月にまで到達し、太陽系の外に探査機を送ろうとしている。考えてみればスゴイこと。
ライト兄弟から始まった20世紀の航空機の発展には、数々の賞金レースが貢献している。たとえばリンドバーグ。2万5千ドルの賞金を目あてに大西洋横断飛行を成し遂げたのは有名ですよね。
そして今、1千万ドルの賞金をかけた「Xプライズ」が民間初の宇宙船を生み出そうとしている。賞金獲得の条件は3人乗りの宇宙船を高度100kmまで打ち上げ、無事に地球に帰すこと、同じ宇宙船で2週間以内に再度打ち上げること。民間資金に限るのも条件の一つ。
7カ国27チームがエントリーする中で、最終段階に入っているというウワサのチームが2つ。一つはスケールド・コンポジット社の「スペースシップ1」。大きな翼をもった親機「ホワイトナイト」が
高度15,000mまで運び、そこで切りはなされたスペースシップ1がロケットエンジンを噴射する。この12月4日には10回目のテスト飛行を行い、実際に燃料の亜酸化窒素を積んで燃焼し無事に滑空、着陸した。ライト兄弟初飛行100年記念日の2003年12月17日には、マッハ1.2を突破。民間資金による有人での超音速飛行は世界初だ。スペースシップ1の設計者はバート・ルタン。1986年に無着陸・無給油で世界一周を達成した軽飛行機「ボイジャー」の設計者でもあり、米科学誌「サイエンティフィックアメリカ」2003年12月号で、航空宇宙界のビジネスリーダーに選ばれている。
もう一つのチームは、ゲーム開発エンジニアのカリスマ、ジョン・カーマック率いるアルマジロ・エアロスペース社。「ブラックアルマジロ」は垂直離着陸。2003年に新しい燃料を開発し、よりパワフルで低コストのエンジンを実現している。カーマック氏は宇宙旅行を「世界で一番高いジェットコースター旅行」と表現。これ、私も含めジェットコースター好きにはたまらなく魅力的に響く。だって地球に向かって落ちていくんですよ!
来年あたり、Xプライズの賞金獲得チームが出るかも知れず、要注目。これからの100年は、民間ロケットの大量輸送時代になるかもしれない。
Xプライズ財団
http://www.xprize.org/
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