コラム
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2004年 4月分 vol. 4
ブラッドフィールド彗星を楽しもう。
ライター 林 公代 Kimiyo Hayashi


太陽観測衛星SOHOがとらえたブラッドフィールド彗星。(SOHO/LASCO(ESA&NASA))  「彗星のごとく現れた」と言うけれど、ブラッドフィールド彗星(C/2004 F4)は、その表現にぴったり。2004年3月末に発見され、4月13日には約3等の明るさとなり、月の直径ほどの尾が伸びていた。そして4月17日に太陽に最接近。23日ごろには日本でも明け方の東の空低~く見え始める。その頃にはリニア彗星も同じ東の地平線近くに見える。ゴールデンウイーク前にさっそく二つの大型彗星が見られるかも。

 今回見つかったブラッドフィールド彗星は、オーストラリア在住で1970年代から活躍していたベテラン「コメットハンター」、ブラッドフィールド氏によって発見された。1995年のブラッドフィールド彗星(C/1995 Q1)以来、9年ぶり18個目の彗星発見。彼は25センチ反射望遠鏡を使って「眼視で」観測したが、リニア彗星やニート彗星がアメリカのプロジェクトチームによって「自動的に」発見されたのと対照的だ。

 たとえばリニア計画は、アメリカ・リンカーン研究所の地球に近づく小惑星を探すプロジェクトで1998年に始まった。口径1mの反射望遠鏡2台を使って自動捜索システムで北半球を中心に計画的に調 べ、これまでに彗星を120個以上確認している。リニアと名づけられた彗星が多いのはそのため。アマチュアのコメットハンターの脅威となっている。

 この彗星、太陽にうんと近い軌道をとっている。4月17日の近日点通過時には水星の軌道の内側、太陽から0.16天文単位(約2万4,000km)まで接近したために、明るすぎて地上からの観測は不可能。しかし、太陽観測衛星SOHOがその様子をとらえていた。SOHOには太陽の中心部分を隠してコロナを観測する「コロナグラフ」という装置があり、ブラッドフィールド彗星をキャッチ。SOHOのウェブサイトで写真と動画を見ることができるが、動画では彗星の尾が太陽と反対の方向に伸び、水星がツツーっと横切る様子が見えて楽しい。

 4月23日、明け方の東の空低く見え始める予定のブラッドフィールド彗星はだんだん高度を上げるが、その分暗くなっていく。双眼鏡を用意して、東の地平線が開けた場所を探しましょう。私も1997年の春、ヘール・ボップ彗星を見るために双眼鏡を買いましたが、そのときの反省点は三脚がつかないタイプを買ってしまったこと。子供に双眼鏡をのぞかせても、子どもはあらぬ方向を探してしまい、結局「見えない!」と泣き出してしまった・・・。


太陽観測衛星SOHOのホームページ
http://sohowww.nascom.nasa.gov/(Comet Bradfield Coming into Viewをクリックしてください。)