大型彗星が次々にやってくると思えば、今度は皆既月食。今年のゴールデンウィーク前後は天文ファンにとって大忙し。5月5日「こどもの日」の未明に見られる皆既月食は、望遠鏡や双眼鏡がなくても見られるし、次に日本で皆既月食が見られるチャンスは2007年までない。お子さんと一緒に早起きして(又は徹夜で)、欠けて行く月を楽しんでみては?
皆既月食は「太陽-地球-月」の順番に並び、月が地球の影にすっぽり入ってしまった時に起こる。月は約1ヶ月で地球の周りを1周するのだから、もっと頻繁に月食が起こるのでは? と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。確かに、月と地球が同じ平面で太陽の周りを回っていれば、もっと頻繁に起こるはず。でも実際は月の軌道が5度傾いているために、たまーにしか起こらない現象となっている。それだけに有り難味もあるというわけです。
5月5日、西の空で月が欠け始める時間は真夜中の3時48分。食の最大になるのは明け方5時半。しかし東京では皆既になる前に月が沈んでしまいます(4時45分ごろ)。西に行くほど見える時間は長くなり、沖縄では皆既月食になるまで見ることができます。沖縄に遊びに行っている人は是非見てほしい。リニア彗星も一緒に見られるかもしれませんよ!(東の低い空に注目)
もし皆既月食を見られるチャンスがあれば、注目してほしいのは月の「色」。すっぽり地球の影に入ったはずの月が、うっすらと赤く輝いているでしょう。これは地球をとりまく大気の層を通った太陽の光が、月面をほんのり照らしているから。太陽光のうち青い光は散乱されてしまうけれど、赤い光は大気を通り抜けてやってくるために、月が赤く見える。その瞬間、もし月に立って地球を見ることができたなら、地球の周りが夕焼けのように赤く光っていることでしょう。月でみる日食、いつか見てみたいものですね。
ところで。月食時の月の色や明るさは、地球の大気の状態によってかなり違って見える。たとえば1993年6月4日の皆既月食の月はかなり暗かった。これは1991年6月にフィリピンのピナツボ火山が噴火、大気中に火山灰が広がり光を遮ったため。だから月食は「地球大気の状態を知るバロメーター」なのです。
皆既月食の様子は、各地の科学館でライブ中継が行われます。また明け方に観望会を行うところもあるようなので、近くの科学館に問い合わせてみてくださいね。
兵庫県 星の子館(皆既月食のしくみ 全国の月食中継ポイントなど)
http://www.city.himeji.hyogo.jp/hoshinoko/
|