太陽系の外の惑星が始めて見つかったのは1995年のこと。ペガサス座51番星を回る惑星の発見は、「太陽系は特殊」と考えていた天文学者たちに衝撃を与えた。それから約10年。今では130を超える惑星が見つかっている。光り輝く恒星の近くにある惑星を見つけるのは難しく、まだ地球型の惑星は発見できていないけれど、2004年には天王星や海王星サイズの惑星も見つかっている。系外惑星発見10周年を記念して米国コロラド州アスペンで開かれた会議では、興味深い発表が相次いだ。
そのうちの一つが、褐色わい星の周りを回る「円盤」。褐色わい星は太陽のような「恒星」になりそこねた星。質量が小さすぎて核融合反応を起こすことができず、自ら光り輝くことができない。宇宙の中でひっそり佇んでいるために、その正体は未だよくわからないのだが、NASAのスピッツアー望遠鏡が約500光年離れたカメレオン座の褐色わい星OTS44を観測したところ、この星の回りに惑星の材料となる「円盤」が発見されたのだ。
今回観測された褐色わい星OTS44は、木星の15倍ほどの質量しかない。ちなみに太陽は木星の約1000倍の質量がある。太陽のように核融合反応で光りを放つ恒星になるためには、木星の80倍の質量がなければならないと考えられている。
地球や木星のような惑星も、太陽が誕生するときに副産物として作られる、ガスとチリからなる「原始惑星系円盤」から生まれたと考えられている。円盤の中の微小なチリがぶつかりあって無数の微惑星が生まれ、微惑星がぶつかりあって原始惑星に成長していく。最初にできる円盤の質量の違いによって、地球のような「固体の惑星」や、木星のような「ガスの惑星」がどこにいくつぐらい生まれるかという違いが生じるのだ。
ハーバード・スミソニアンセンターのケルビン・ルーマン博士は「この褐色わい星の周りにミニチュアの太陽系が生まれる可能性もある」と言い、こう続ける。「そうなるとこんな疑問が生まれるよね。その惑星で生命は存在できるの?」と。天文学者たちはOTS44の周りの円盤は、小さなガス惑星や地球サイズの岩石惑星を生む質量があると推測する。しかし万が一、地球型の惑星に生命が存在したとしても、その生命は「だんだん冷えていく」褐色わい星の温度変化に適応しなければならない。水が液体として存在するためには、地球―太陽間の距離よりも主星(OTS44 )に近い位置にいなければならないだろう。
このほかにも、パルサーB1257+12※の周りに新たに冥王星の5分の1の質量の天体を発見したという発表があったり(このパルサーには既に3つの惑星が発見されていた)、1995年に最初の系外惑星を発見したミッシェル・マイヨールが新たに8個の惑星発見を報告したり。彼は年内に地球の10倍以下の質量の惑星を発見できる! とも言ったそうだ。系外惑星に狙いを定める「プラネットハンター」たちの競争はこれからもヒートアップしそうだ。
※
パルサー:パルス状の電波を、短い周期で規則的に発しているもので、超新星爆発の後に生まれた中性子星がその正体だと考えられている。
スピッツァー宇宙望遠鏡のページ
http://www.spitzer.caltech.edu/spitzer/index.shtml
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