2月26日、H-IIAロケット打ち上げ成功。よかったですね。ホッとしました。打ち上げ後の記者会見では、三菱重工業のエンジニア・浅田正一郎さんの「ロケット野郎」という言葉がとても印象に残った。打ち上げまでは非常に大きなプレッシャーがあって苦しくて、でも「衛星分離」のアナウンスを聞くと突然緊張感がほぐれる。「ある種の快感で、ロケット野郎は苦しくてもやめられない」。カッコイイじゃないですか。
そんな「懲りない苦しみ」を味わっている「飛行機野郎」が、1人。スティーブ・フォセット氏(60歳!)はたった1人で、ジェット機に乗り込み2月28日夜(日本時間3月1日朝)、米国カンザス州サライナを飛び立った。彼はどこにも着陸せず、給油を受けず80時間以内に世界一周を1人で成し遂げようというのだ。1986年に無寄港、無給油の世界一周はすでに成し遂げられているが、そのときは2人の飛行で216時間かかっている。今回はたった1人で、だから睡眠もほとんどとれない。
その機体、クローバル・フライヤーに見覚えはありませんか? そう。2004年秋に高度100kmを超える宇宙飛行を2週間以内に2度実現、宇宙旅行レース「アンサリXプライズ」の賞金1000万ドルを見事手にした「スペースシップワン」とそっくり。スペースシップワンを設計したバート・ルータンが設計(ルタンはボイジャーを設計した人でもある)。スポンサーはヴァージンアトランティック。ヴァージングループの会長リチャード・ブランソンが、スペースシップワンの技術をベースに2007年ごろの商業宇宙旅行を発表していることは、皆さんご存知の通りですね。
スティーブ・フォセット氏は2002年、単独で熱気球無着陸世界一周を達成している冒険家。クロスカントリースキーや登山などをこなし肉体的にもタフであるが、丸三日近くも睡眠をとらないでいるのは、「不可能ではないが、エネルギーと集中力、そして強靭な意思力が必要」と医師。「私は飛行の魅力に夢中になっている。他のどんな動機も必要ない」と語るフォセット氏は、ライブカメラで見る限り離陸後丸二日を過ぎた3月3日正午(日本時間)ごろも、カメラを手にしていたりして、元気そうである。
グーバルフライヤーは離陸後シカゴ、オタワから大西洋を横断し、エジプト、サウジアラビアからアジアへ、3月3日未明(日本時間)に長崎上空を通過。原因不明の燃料もれがあったりして、3日正午にはハワイに着陸するかどうかの判断を迫られていたが、日本上空から太平洋上空を吹く追い風に乗ることができて、フォセット氏は太平洋横断を決意。
ウェブサイトでは、ライブで飛行経路やコックピットの様子、記者会見も見られる。全てを自分一人で引き受ける旅は苦しいときもあるだろうが、同時にゾクゾクするような快感もあるに違いない。「One man One Plane One
World」の達成は目前に迫っている。
グローバルフライヤーのページ
http://www.virginatlanticglobalflyer.com/Home/index.jsp
|