コラム
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2005年 4月分 vol.4
目ざす彗星とらえた。彗星衝突ミッション。
ライター 林 公代 Kimiyo Hayashi


2002年の飛行で、快適性を追求して作られた「仕事用ふだん着」を着るヴィットーリ飛行士(ESA/ASI)  7月4日(米国時間)の彗星衝突まであと69日となる4月25日、NASAの彗星探査機「ディープ・インパクト」はターゲットとなるテンプル1彗星の撮影に成功。彗星までの距離は約6400万km。彗星に約370kgの弾丸を撃ち込み、彗星内部の雪球の正体を探ろうというミッションのクライマックスまで約10週間、軌道の最終調整を行っていく。

 「ディープ・インパクト」は2005年1月12日にアメリカ・フロリダ州のケープ・カナベラル空軍基地から打ち上げられた。彗星は約45億年前に太陽系ができた状態を留めていると言われるが、その正体はよくわかっていない。そこで「ディープ・インパクト」は彗星に近づき地球から約1億3360万km離れた地点で、長さ1m、重さ約370kgのインパクターと呼ばれる弾丸を、幅約6.5kmの彗星に秒速10.2kmで撃ち込む。衝突でできるクレーターや舞い上がってくる氷やダストなどの物質を探査機本体が2台のカメラや観測機で調べる。このインパクターには世界から集まった50万人以上の名前が搭載されているはず。(その中には私の名前も!)彗星に飛び込む瞬間、ドキドキしてしまう。

7月4日、米国独立記念日に彗星に弾丸を衝突させる。イメージ図。(NASA/JPL/UMD Artwork by Pat Rawlings)  上の画像はディープ・インパクトの中解像度カメラがとらえたもので、約11等級。晴れている夜空に人間が見ることができる星より約100倍暗い。「探査機から彗星の姿を初めてとらえることができたことは素晴しい」とディープ・インパクトミッションの代表研究者、メリーランド大学のMichael A'Hearn教授は言った。これから何千枚も撮られる彗星の写真の最初の1枚となる。

 惑星協会(The Planetary Society)では、インパクターが衝突した時にできるクレーターの大きさを当てるコンテストを行っている。ネットの専用ページから誰でも応募することができて、大きさが近い人には商品も用意されている。(インパクターと同じ材料で作ったカスタムメイドの額など。)

 ディープ・インパクトミッションに続いて、日本の小惑星探査機「はやぶさ」もいよいよ目ざすイトカワに到着し、観測を開始する。今年の夏からはユニークな小天体探査が目白押しだ。


汚れた雪球・彗星の正体を探る。ディープ・インパクト打ち上げ (2005年1月コラム)

Deep Impact
http://deepimpact.jpl.nasa.gov/index.html

彗星クレーターコンテスト(惑星協会)
http://www.planetary.org/deepimpact/contest_rules.html