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2006年 1月分 vol.1
お土産は「彗星のチリ」。世界初。
ライター 林 公代 Kimiyo Hayashi


スターダストが接近したヴィルト2彗星(NASA)  2006年1~2月は宇宙に次々に探査機や人工衛星が飛び立つ。その前に宇宙の旅を終えて帰ってこようというものも。今年最初のビッグニュースは1月15日、NASAの彗星探査機スターダストが彗星のチリを、ふるさと地球に持ち帰る。彗星のチリを持ち帰るのはもちろん世界初。

 スターダスト衛星が打ち上げられたのは、1999年2月。2004年1月にヴィルト2(Wild2)彗星に240キロ以内に近づいて彗星の粒子をキャッチ。カプセルに納めた彗星の粒子が初めて地球に持ち帰られようとしている。

 カプセルがユタ州の砂漠にタッチダウンするのは2006年1月15日午前5時12分(米国東部時間)。サンプルはNASAジョンソン宇宙センターに運ばれ詳細な分析が行われる。スターダストが届けてくれる彗星の粒子や星間物質は太陽系初期の情報を届けてくれる貴重なタイムカプセルだ。
大気圏突入後はパラシュートを開く(NASA) ユタ州の砂漠で行われたカプセル回収テストの様子(NASA)
 サンプルをとって地球に持ち帰るといえば、日本の小惑星探査機「はやぶさ」を思い浮かべるが、「はやぶさ」は小惑星イトカワへのタッチアンドゴーを試みたわけで難易度は上。チャレンジングな探査機「はやぶさ」の地球帰還は残念ながらのびてしまったが、スターダストのカプセル帰還がまずは楽しみ。

 日本も1月19日に陸域観測技術衛星ALOS、2月15日に運輸多目的衛星新2号 MTSAT-2、2月18日には赤外線天文衛星ASTRO-Fを打ち上げる予定。2ヶ月間に3機とは前代未聞。なんとか成功してほしい。

 個人的に一番楽しみなのは、1月17日~2月14日の間に打ち上げられるNASAの「ニューホライズン」探査機。これまで探査機が訪れたことのない冥王星へ向かう。2015年ごろにはたどり着いて観測を始める。こちらはワンウェイチケット。9年後の自分がどこでなにをしているかはわからないが、覚えておきたい。きっと新しい世界を見せてくれるはずだ。