あけましておめでとうございます。2007年は人類が初めて人工衛星スプートニクを打ち上げてから50周年の記念の年。2006年は、冥王星が惑星の定義から外れ、常識と思っていたことが、覆される時代に生きていることを実感した年でしたね。今年はどんな大発見があるでしょうか。昨年末の打ち上げ成功などのニュースから、2007年への期待大のトピックスを。
まずは、12月18日に打ち上げに成功した「きく8号」。重さが約3トンと世界最大級のきく8号が年末に話題を集めた、もう一つの「世界最大級」は、アンテナ。テニスコートがすっぽり入る19×17mもの巨大アンテナを2枚、宇宙で広げることに成功した。
なぜ、こんなに大きなアンテナを広げるのかと言えば、地上との通信で使う端末をなるべく小さくするため。災害時などに地上の通信網がダメージを受けたときも、きく8号は携帯電話サイズの端末と通信でき、被災者の救援などに役立てることができる。アンテナには金属性の糸を使用。宇宙のゴミがぶつかって穴があいても広がらないように「トリコット編み」という特殊な編み方をしている。北陸地方に古来から伝わる技術が使われているそうだ。
二つ目は、2006年9月23日に打ち上げられた太陽観測衛星「ひので」。太陽は私たちにもっとも近い恒星だが、まだまだ謎が多い。例えば、太陽の表面の温度は約6千度なのに、太陽の薄い大気コロナ(日食の時に太陽の外側に見えますね)の温度は100万度以上。どうやって温度の低い太陽表面が大気を温めるのか? この疑問に迫るのが、ひのでの大きな目的の一つ。そこで3つの望遠鏡を搭載し、太陽を立体的に観測する。最近発表された動画では太陽表面から物質が吹き出し、「生きている」太陽の激動の様子に圧倒される。
そして3つ目の注目は、スペースシャトル。12月には夜の打ち上げも成功、途中心配された太陽電池パネルの収納もクリア。電力系統の切り替えを終えて、日本の実験棟「きぼう」のドッキングの準備が整いつつある。2007年には5回の打ち上げが予定されていて、その5回目には土井飛行士が搭乗し、きぼうの保管庫を宇宙に運ぶ予定だ。
2007年6月末に予定されている、STS-118ミッションでは、「Educator Astronaut(教育者宇宙飛行士」が実現することも、ちょっと注目しておきたい。1986年のチャレンジャー事故の際に搭乗し、宇宙から授業を行う予定だった教師、クリスタ・マコーリフさんのバックアップクルーだった、バーバラ・モーガンさんが事故から11年ぶりに飛行することになる。どんな授業を行ってくれるだろうか。
最後に、今観測できている中でもっとも遠い銀河の画像を。2006年9月に国立天文台が発表した画像には、なんと約128億8千万光年彼方にある銀河が写っている。宇宙が生まれてから約7億8千万年後に生まれた天体だ。この宇宙の果てには、いったいどんな世界が広がっているのだろう・・・と思っていたら、お正月早々には、銀河の分布に重要な役割を果たす「ダークマター(暗黒物質)の三次元分布」を示す画像が国立天文台などの国際研究チームから発表された。
一見きらびやかに見える宇宙だが、実は私たちの知っている物質はまだ宇宙の質量密度の五分の一ほどにすぎず残りはダークマターと呼ばれる正体不明の物質らしい。それだけに、これから解明されることも多いと言えるだろう。
2007年からは世界の月探査機ラッシュも始まる。今年も私たちの予想を超える、新しい宇宙の姿を見せてほしいですね。
JAXA「きく8号」のページ
http://www.jaxa.jp/missions/projects/sat/tsushin/ets8/index_j.html
国立天文台「ひので」のページ
http://hinode.nao.ac.jp/index.shtml
NASAスペースシャトルのページ(英語)
http://www.nasa.gov/mission_pages/shuttle/main/index.html
すばる望遠鏡のページ
http://subarutelescope.org/j_index.html
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