NASAも実現できなかった望遠鏡を日本がゼロから作り上げた。太陽観測衛星「ひので」が送ってきた驚きの画像を、前回に引き続き常田教授に解説して頂くとともに、今後「ひので」が解き明かす太陽や宇宙のナゾについてお聞きしました。 ― 「ひので」の画像の中でこの粒々の画像(画像1)が、何だろう? と気になりましたが。 常田:記者会見で見せても、どこの新聞社もとりあげてくれなかったんですね(笑)。子供に見せたら「岩が集まっているの?」と言われたんですけど、確かに太陽の表面にこんなへんものがあるのも不思議ですよね。 これは粒状班(りゅうじょうはん)と言われ、太陽の中から出てきたプラズマがぽこぽこ煮えたぎっているところです。そのプラズマが表面で冷えて重たくなってまた下がる対流現象が起こっているのが見えている。大事なのは時々見える光る点で、そこにものすごく強い磁場がある。 この光球で見える磁場が、磁力線で約2000km上空のコロナまでつながっている。そして数百万度のコロナの世界にどういう影響を与えているかを知りたいわけです。そこで天文学者は粒状班の一つ一つの点に着目して、運動がどうなっているかを見極めようとしています。一つの粒は100kmぐらいですが、太陽全体にしたらほんの小さな世界を「顕微鏡」で見ているようなイメージがありますね。