和食の焼鳥は最高に美味だし、キムチや韓国料理はスパイシーでイケる。もちろんボルシチなどのロシアの煮込み料理で野菜はちゃんと食べているし、地上から貨物便で生のタマネギが届いたら肉と一緒にトルティーヤに挟んで食べるのがベスト。これは2007年10月から約半年間、国際宇宙ステーション(ISS)で女性初の船長を務め、4月19日に帰還するペギー・ウィットソン飛行士の宇宙での食生活だ。へたすると地上の食生活より、バラエティに富み栄養たっぷりだったりするのでは?
ペギーは2002年にもISSに184日間滞在し、今回と合計して377日間宇宙にくらしたことになる。これはNASAのマイケル・フォール飛行士の373日間の記録を抜いて、アメリカ人飛行士の宇宙滞在最長記録となる。(世界の宇宙飛行士では、804日間の記録を持つロシアのセルゲイ・クリカレフ飛行士がダントツ一位)
長いことはスゴイことだ。だって、宇宙生活は危険と隣り合わせであることはもちろん、地上と比べて快適とは言い難い。狭いし、臭いもこもるに決まっているし、ロシアモジュールはかび掃除が週末の決まり事だというし。だが長いだけじゃない。彼女の今回の滞在が特徴的なのは「国際的な訪問客」を次々に迎えたこと。それが彼女の食生活に如実に表れているというわけ。彼女のある日の日記にそれが記されてあった。タイトルは「Chopstick Insight」。お箸に思うこと、って感じでしょうか。
「先週、日本製のお箸で宙に浮いているご飯をキャッチしようとして、(同僚の)ユーリに指摘されたのね。今回宇宙で食べた食事を振り返ってみたらアメリカやロシア料理はもちろんマレーシア、フランス、日本、そして韓国料理も。こんなに多国籍のフレイバーを味わったってことは、それだけ国際的な仕事をしてきたってことよね。」大まかにこんな内容だ。
確かにペギーが宇宙に打ち上げられるとき、マレーシア人初の宇宙飛行士、シュコア氏と一緒だった。イスラム教徒の彼は宇宙で初のラマダン(断食)をし、断食明けにはサテと呼ばれる串焼きなどを食べたとか。その後、イタリア製のドッキング棟、ヨーロッパ実験棟コロンバス、日本実験棟きぼうの組み立てが続き、ISSにはイタリア人、ドイツ人、フランス人、日本人(土井隆雄飛行士)が次々、お国自慢の料理をもって訪れたのだ。
その中で飛行士達の一番人気は、日本の焼き鳥。「生涯で最も美味しい食事。日本食大好き」と記者会見で、クルー達が熱く語るほど。レトルトカレーに次ぐ和食の人気メニューなりそうだ。そして、4月8日に打ち上げられた韓国人初の宇宙飛行士イ・ソヨンさんは宇宙仕様のキムチを持参。4月12日、ガガーリンの人類初飛行の記念日にコリアンパーティーを行った。フランスメディアが「においに我慢できるのか!」と批判的に報じたキムチだが、クルー達にはスパイシーで好評だったとか。
長期の宇宙ぐらしには食の充実が欠かせない。ペギーが次々に難しい仕事をこなしたパワーの源は「食の充実」だったのかも。2009年からISSは滞在人数が3人が6人に増える予定だから、さらにクルーの好みのバリエーションに合わせ宇宙食メニューも増えていくだろう。納豆のニーズが出てくる可能性もあり。となると、におい対策は必須ですね。
ペギー・ウィットソン船長のページ。
右下マルチメディアの「International Women's day」の動画はお勧め。
男性合唱団(NASA職員含む)が国際女性デーに、ペギーに敬意を表し、素敵な歌を送っている。
http://www.nasa.gov/mission_pages/station/expeditions/expedition16/journals_peggy_whitson.html
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