史上最多国204の国、地域が参加したスポーツの祭典が幕を閉じた。アメリカを抜き金メダル51個を獲得し、テロを封じ込めるなど大国ぶりをアピールした中国は、この先どこに向かうのか。その一つに10月に予定されている神舟7号の打ち上げがある。中国で3回目の有人宇宙飛行となるこのフライトでは、5日間の宇宙飛行の間に、初めて「宇宙遊泳」を行うことになっているのだ。
中国は2003年10月15日、楊利偉(ヤン・リーウェイ)飛行士を載せた「神舟5号」が、甘粛省の酒泉衛星発射センターから長征2Fロケットで打ち上げられ、21時間の飛行後、帰還。中国はロシア、アメリカに次ぐ世界3番目に有人宇宙飛行を自国で実現した国となった。2度目の宇宙飛行は2005年10月12日打ち上げ。費俊龍(フェイ・ジュンロン)と聶海勝(ニエ・ハイション)の2人が神舟6号で5日間飛行した。
そして3回目は宇宙遊泳。3人の飛行士が乗りこむ神舟7号はすでに酒泉衛星発射センターに輸送され、最終準備が進められている。中国メディアの報道によれば、3人のうち一人の宇宙飛行士が約1時間宇宙遊泳を行う予定で、そのためのエアロックも宇宙服も自主開発(ロシア製の宇宙服も購入ずみで、どちらを使うかは試験などで決めるらしい)。また小型衛星も放出するとか。
次の神船8号では衛星とのドッキングミッションを予定し開発が進んでおり、その先は中国独自の宇宙ステーションをめざす。壮大な計画実現のため、今回は重要なステップだ。
ところで、資料を色々調べているうち驚きの事実に出会った。なんと中国は1973年末に、中国独自の有人宇宙飛行を行うことを計画し(宇宙船は「ザ-リャ1号(ロシア語で日の出の意味)と名づけられた)1960年代から準備を進め、1000人以上の候補者から極秘で宇宙飛行士の選抜を進めていたという! 1971年3月15日には、実際に十数名を宇宙飛行士として選抜。だが、その後の議論で国の経済的な建設が先決と、宇宙計画は停止された。それでも、1968年に設立された宇宙飛行計画医学研究所は、宇宙医学を研究し続けてきたのだ。
1980年代に入ると、中国はハイテク分野を積極的に推し進め、1992年9月21日、有人宇宙飛行プロジェクトが正式にスタート(921計画)。その最終目標は宇宙ステーションで、段階的に進められることになった。中国の有人宇宙計画は約40年間、着実に進化してきたのだ。胡錦濤国家主席ほか、中国のリーダーには理系出身者が多く宇宙への理解や熱意があることも、計画推進を後押ししているのかもしれない。
敦煌の壁画には飛天が描かれているだけあって、中華民族は宇宙を舞う夢を追う民族。まずは、神舟7号の「飛天の舞」に注目だ。
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