コラム
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2008年 12月分 vol.2
2009年も宇宙満載!
ライター 林 公代 Kimiyo Hayashi


 いよいよ宇宙の話題満載の2009年がやってくる。2009年は、ガリレオが初めて望遠鏡を向けて月や木星の衛星を観測した年から400年目に当たる年。世界天文年だ。さらに、国際宇宙ステーション「きぼう」日本実験棟に日本人で初めて若田光一宇宙飛行士が長期滞在を開始、「きぼう」を完成させる。夏には日本で46年ぶりの皆既日食。これは見逃せない!

2009年は、世界一美しい発射場といわれる種子島宇宙センターから「いぶき」衛星打ち上げで幕をあける。写真は2007年9月の13号機打ち上げ。(提供:JAXA、三菱重工業株式会社)
 まず、最初の目玉は年明け早々1月21日。温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」が種子島宇宙センターから打ち上げられる。温室効果ガスの6割を占める二酸化炭素、2割を占めるメタンガスの濃度分布について、地球上の約5万6千カ所もの観測地点で3日おきにデータをとる。地球全体を同じ観測機器でくまなく調べるために、温室効果ガスの排出量について、世界が「共通のものさし」としてデータを使うことができるようになるのだ。 「いぶき」は相乗り衛星として東北大学や香川大学など7つの小型衛星を同時に打ち上げるので、こちらにも注目したい。

 2月12日には、若田光一宇宙飛行士がスペースシャトル・ディスカバリー号で長期滞在に飛び立つ。数ヶ月のミッション中に、国際宇宙ステーション(ISS)を6人体制にするため尿から水のリサイクル装置等の準備や日本の宇宙実験を行い、「きぼう」日本実験棟の最後のパーツである船外実験プラットフォームを取りつけるという大仕事を行う。

 若田飛行士が宇宙滞在中の2月末に、JAXAは現在選出中の宇宙飛行士を発表予定だ。過去最高の963人の応募者の中から、二次試験を終えて10名まで絞り込まれている。その中には一人女性も含まれているとのこと。月に降りたつ日本人になる可能性もある。

 そして、2009年最大の目玉は7月22日の皆既日食。全国で部分日食を観察することができ、奄美大島北部、トカラ列島、屋久島、種子島南部などでは、皆既日食を観察できる。日本の陸地で皆既日食が観察できるのは、1963年7月21日の北海道東部の皆既日食以来、46年ぶり。次回も2035年9月2日の北陸・北関東などで見られる皆既日食まで26年間起こらないから、ぜひともこのチャンスに体験したい。

 秋には、種子島からISSに宇宙ステーション補給機HTVが新型ロケットH-IIBで初めて打ち上げられる予定で、これも話題になるだろう。年末からは野口聡一宇宙飛行士がロシアのソユーズロケットで宇宙に飛び立ち、約半年間ISSに滞在する。野口さんの滞在中の2010年にはママさん宇宙飛行士・山崎直子さんがISSをスペースシャトルで訪れる。 地上の私たちと宇宙が身近になるような仕掛けをたくさん作って欲しいものだ。

 2008年12月の年末から年明け、夕方の西の空に金星が明るく輝いている。冬は星が美しく輝く季節。宇宙を見上げて、2009年に向けて元気をもらいましょう。