オバマ新大統領就任を祝うパレードにNASAの新型月面車(Lunar Electric Rover)が登場した。笑顔で見守るオバマ大統領夫妻。しかし不思議な形をした月面車だ。
まず目につくのは二人の宇宙飛行士が、車にはりついているように見えること。実はこれが画期的なアイデアなのだ。宇宙飛行士が月面での作業に出ようとしたとき、月面車の外側にとりつけられている宇宙服に、月面車の中から入るというしくみ。10分で宇宙服に着替えて、船外活動に出かけられるのだという。
こうすれば、宇宙服を月面車の中にいれる必要がなく、月の細かい砂(レゴリス)が月面車の中に入りこむこともない。アポロ時代には、月面での活動を終えた宇宙飛行士がレゴリスを手ではらって月着陸船に戻っていた。だが細かいレゴリスが宇宙服の中に入り込んでいて船内に入り、鼻や器官に入って花粉症のような症状が現れた人もいたそうだ。
月面車の内部(与圧室)は空気が満たされ、ベッドやトイレなどもあってシャツ姿で過ごせる。二人の宇宙飛行士が14日間滞在可能。イメージとしてはキャンピングカー。滞在型で移動できる。ピックアップトラックぐらいの大きさで高さ3m、長さ4.5m、ホイールベース4m、重さは3000kg。12個の車輪がある。時速10kmで何千マイルも走り、岩や40度の坂道も登る。アリゾナ州の砂漠で行われた走行テストでは140kmを走破した。
プラグイン電気自動車で、リチウムイオンバッテリーを搭載している。だが、「チャージしないで500マイル走れる地上の電気自動車並に」信頼性をあげ、エネルギー貯蔵やリチャージ能力をあげるのが今後の課題で、NASAはアメリカの自動車メーカーや大学と開発を行っている。この月面車の開発に成功すれば、「月に戻るために大きな一歩になると共に、地球上での高い信頼性と効率的な電気自動車の実現への一歩になるだろう」とNASAはのべている。オバマ政権のもと、月面基地も「Yes we can」と実現してほしい。
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