世界天文年の今年は、皆既日蝕や若田宇宙飛行士の日本人初の国際宇宙ステーション長期滞在など宇宙や天文の話題が多かった。だが、まだ2009年は終わっていない! この12月、ラストスパートのように宇宙を楽しむイベントが目白押しだ。
まずは「ふたご座流星群」。三大流星群の一つで、初心者にお勧めの流れ星だ。その理由の一つは流れ星の数が多いこと。四等星まで見えるほどの星空なら1時間に15個~20個の流れ星が見られるという。そしてもう一つの理由は深夜遅くない時間から見られること。夜中しか見られないと冬場は特にツライけれど、夜8時頃から見える可能性もあるので家族で楽しめる。ピークは12月14日前後だが、今年は12月16日が新月で月明かりの影響がないので、条件はいいそうだ。願い事を用意して、空が暗く開けた場所に出かけよう。
そして12月21日には、野口聡一宇宙飛行士がカザフスタン共和国のバイコヌール宇宙基地からソユーズロケットで打ち上げられる。国際宇宙ステーションに約半年間滞在する予定だ。なんと1961年4月12日に人類で初めて宇宙に飛び立ったユーリ・ガガーリンが飛び立った歴史ある発射台から打ち上げられるという。野口飛行士は3人乗りのソユーズ宇宙船で船長の左側にフライトエンジニアとして座る。船長が気を失うなど緊急時にはソユーズを操縦することになる重要な任務を担う。私は雑誌の取材※でこの夏、何度か野口飛行士に取材したが、「肩の力をぬいて自然体で過ごしたい」と語っていたのが印象的だ。できるだけ多くの人に宇宙を身近に感じて欲しいから、色々なイベントを仕込み中だとやんちゃ坊主のように笑っていた。打ち上げは21日6時51分(日本時間)、国際宇宙ステーションとのドッキングは12月23日7時58分の予定だ。
クリスマスイブにはサンタクロースを追跡してみよう(NORAD Tracks Santa:下記参照)。北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)が50年以上にわたって行っているもので、47のレーダー基地局から監視し、サンタクロースが北極を出発する瞬間をキャッチ。さらに地球上空約 36,000 km の複数の人工衛星から赤鼻のトナカイ「ルドルフ」の鼻から出る赤外線信号を検知する。航空宇宙や海上を監視する軍の施設であるNORADがサンタ追跡を始めたきっかけは、子どもからの一本の間違い電話だった。「サンタへのホットライン」と勘違いして電話をかけてきた子どもの電話をNORADの前身CONAD長官が受けたことがきっかけで始まったという粋なプロジェクトなのだ。ウェブサイトではサンタカメラで世界を駆けるサンタとトナカイの動画や、世界のどこを飛んでいるかという経路が見られる。またサンタクロースのツィッターやFACEBOOKも。サンタが何をつぶやくか、チェックしてみたい。
そしてちょっと粋なクリスマスメッセージを送りたいなら、日本の人工衛星「きずな」を使って、宇宙経由でメッセージを送ってみては。申し込みは18日までだ(宇宙から メリークリスマス:下記参照)。
いつか、本当に自分がクリスマスに宇宙に行ってメッセージを送ってみたい。1968年12月21日に打ち上げられたアポロ8号の宇宙飛行士たちは人類で初めて月の回りを飛行し、旧約聖書の一節を朗読し、クリスマスプレゼントに月から撮影した地球の写真を送ってきた。それから41年。今年のクリスマスには国際宇宙ステーションに5人の宇宙飛行士が滞在する予定でその中には日本人がいる。宇宙からどんなメッセージが届くだろうか。
NORAD Tracks Santa
http://www.noradsanta.org/jp/index.html
宇宙から メリークリスマス
http://www.satnavi.jaxa.jp/xmas/index.html
国立天文台「ふたご座流星群を眺めよう」(12月8日から公開)
http://naojcamp.nao.ac.jp/phenomena/20091211/
※ ナショナルジオグラフィック12月号「地球人物記」
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