前回は、春の夜空をのたりのたりと西へ向かううみへび座を紹介したが、春の星座には大型の猛獣や動物が多いのをご存じだろうか。それらが一斉に西の地平線をめざし、ゆったりと動いていく。星の配列を辿って、それらの星座を想像すると、さながらサファリパークのような、壮観な眺めである。
ナイト・サファリの中心は、なんといっても百獣の王ライオンである、しし座。やや南西の方向を眺めると、そこに明るい星が輝いているのに気づくだろう。その明るい星の隣には、やや暗めの星が並んで輝いている。明るい方が土星、暗い方がしし座の一等星レグルスである。この一等星レグルスを起点として、いくつかの星がクエスチョンマークを逆向きにしたように、北の方へと並んでいるのがわかるはずである。この特徴的なカーブを、草刈りに用いる鎌に見立てて、「ししの大鎌」と呼んでいる。鎌の部分は、ししの頭部で、その東側に胴体がある。つまり、ライオンは沈んでいく西を向いている。今年は、ししの前足の部分、ちょうどレグルスの東側に並んで輝く土星がよい目印になるので、しし座を探すのは簡単である。
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