海外レポート

スナックフーズメーカーからの厳しい要求を満たす、
柔軟なプロセス制御を実現。
2024年9月公開

2012年に業務を開始した、インド北部のSV Agri エンジニアリング事業部は、今ではスナックフーズ製造に関するあらゆるエンジニアリングサービスを、世界へ届けるまでに事業を拡大しています。急成長する企業を支えてきたのは、情熱と自動化の技術でした。

課題から育まれた三菱電機との信頼関係
三菱電機FAとSV Agri社との取引が始まったのは、数年前です。コロナ渦の生産縮小が原因で、機械に必要なFA製品の供給不足になり、代替のサプライヤーを探す必要が生じたことが採用の契機となりました。
「製品の品質、フレンドリーな技術サポート、正確なPID制御(フィードバック制御)が決め手となって、最終的に三菱電機を選びました。」
SV Agri社のエンジニアリング事業部責任者Ram Manohar Singh副社長は言います。

スナックフーズ製造に情熱を注ぐRam Manohar Singh副社長(エンジニアリング事業部 責任者)。
初めて実装する三菱電機FA機器のプログラミングや機械設定は困難を極めましたが、SV Agri社のエンジニアは、あらゆるステップで三菱電機インドのサポートを受けて乗り越えました。この導入時に誰もが直面する課題にしっかり答え、両社の信頼関係はより強固となりました 。

シーズニングラインのプロセス制御を捉えた場面。自動で供給された押し出しスナックが回転ドラムの中で踊る中、適正なタイミングで、適量のオイル、適量の調味料が噴射されて、混ぜ合わさっていきます。

シーズニングライン
フィードバック制御で焙煎品質を改善
SV Agri社のエンジニアが三菱電機の制御機器とHMIを最初に適用した分野は焙煎ラインでした。思わぬ発見もあったといいます。
「以前は、焙煎ラインの加熱温度を100 度に固定していました。
しかし、生産量が1時間当たり200kgから1,000kgまでの幅がある、実際の運用ニーズを反映していませんでした。なぜなら、生産量が変化すると、焙煎時間や仕上がりに影響する可能性があったからです。」
さらに、ナッツの焙煎品質とパラメーターは他の豆類と異なるため、さまざまな材料に応じて素早く最適な設定を見つける柔軟性が必要だったと、Singh副社長は回顧します。

SV Agri社はシーズニングラインや焙煎ラインのFA機器に、三菱電機のPLC、サーボ、HMIを採用しました。
この焙煎ラインの課題を解決するために、エンジニアリング事業部は、三菱電機のPLCとサーボシステムを導入。正確なPID自動フィードバック制御の性能とSV Agri社が誇るR&D部門のテスト結果とを組み合わせることで、タイミングと温度を柔軟に調整し、ナッツ、豆類、とうもろこしといった原材料の種類や量、環境条件に関係なく、必要な色、食感、サクサク感を備えたスナックフーズを生み出すことに成功しました。
「三菱電機とのコラボレーションにより、加熱サイクルを必要なレベルに調整し、お客様が望む結果を提供することができました。」
小さな省エネ、大きな意味
さらに、新しい制御システムは、加熱温度の最適化により製品の品質に安定をもたらし、焙煎ラインのエネルギー消費量を削減することに成功しました。生産単位あたりの利益率が比較的低いといわれる食品業界の事業者にとって、大きな意味を持つ導入効果であることが、Singh副社長の力を込めた口ぶりから伝わります。
次なる挑戦
今後の展望として、Singh副社長のチームは現在の設備と組み合わせたロボットの利用を検討しているとのこと。
「スナック菓子業界のニーズに特化した独自のロボティクスアプリを作りたいと考えています」と明言した。
スナックフーズ製造にかける熱い想い。他の業種には見向きもしない。ただ、スナックフーズの製造を改善することに情熱を傾けるSingh副社長の姿勢に、急成長する会社の原動力を感得しました。
取材協力:グローバルインダストリーソリューション推進部

SV Agri - Siddhivinayak Agri Processing Pvt. Ltd.
- 創業:2008年
- 事業概要:スナック用ポテトの安定供給から、多種多様なスナック菓子用製造機械、生産ラインの製造・構築、スナック菓子のスタートアップ支援まで行う。事業を通じて、インドのポテト生産者と国内・国外のスナック菓子メーカーをネットワークでつなぎ、「ポテトのエコシステム」を標榜する、食品のエンジニアリング企業。
- URL:https://www.svagri.co.in/