三菱電機タイ、「サステナブルビル協働計画」を本格始動 | The Art of Manufacturing | 三菱電機FA
Factory Automation

海外レポート

三菱電機タイ、「サステナブルビル協働計画」を本格始動

2025年3月公開

海外レポート

三菱電機タイは、2024年度よりタイにおける「サステナブルビル協働計画」を本格始動した。2050年にカーボンニュートラル、2065年にネットゼロ達成という世界的な目標に貢献するため、先進の自動化技術やビルソリューション、さらには業種を超えたパートナーシップで、サステナブルビルの実現に向けたエコシステムの構築を牽引していく。

三菱電機タイは、バンコクのトゥルー・デジタル・パークで開催した「サステナブルビル協働計画」の発足イベントで、ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)を支援するための商業施設・産業設備向け自動化システムや、エネルギー管理ツールを発表した。

同イベントでは、快適な室内環境を保ちながら、年間のエネルギー収支ゼロを目指すZEBの実証施設「SUSTIE(サスティエ)」を紹介。SUSTIEは、IoTを基盤とした制御を一元化して温度・湿度・CO2排出量を管理し、エネルギー効率を維持しながら、最適な室内環境を実現する。

三菱電機株式会社 ファクトリーオートメーションシステム事業部 データセンターマーケティング グローバルマネージャー 西山 大紀氏

データセンターマーケティング グローバルマネージャー 西山 大紀は、「ZEB実証施設『SUSTIE』の最大の特徴は、通常のビルと比較して、エネルギー消費量がはるかに少なく、太陽光発電によって電力エネルギーを生成することができることです」と言う。

「SUSTIEの構築にあたっては、高水準の省エネ目標を達成するため、三菱電機の強みを活用した高効率な機器とシステムを導入しました。例えば換気システムには、ロスナイの通気熱交換器を採用し、屋内の暖かい空気を再利用(熱回収)しながら、新鮮な外気をビルに取り込めるようにしています。また、エレベーターシステムには、三菱電機の自社製エレベーターを採用しているため、シームレスにすべてのシステムにつなげることができます」

タイ温室ガス管理機構(TGO)との提携によるシナジー効果

「サステナブルビル協働計画」の発足イベントでは、三菱電機のエコシステムの紹介に加え、タイ温室ガス管理機構(以下、TGO)との業務提携を発表。

三菱電機タイとTGOは、タイ企業が温室効果ガス報告書の義務付けやカーボンフットプリントの認証といった新しい環境規制に対応できるよう、企業を支援するプラットフォームを共に構築していく。TGOは組織と製品両方の側面から炭素認証・検証を、三菱電機はデータトラッキングおよびエネルギー管理におけるノウハウを提供し、炭素削減の目標に向けた取り組みの効率化に役立つものと期待される。

環境企業への移行を支援する金融セクターの取り組み

「サステナブルビル協働計画」では、技術面・規制面の支援に加えて、設備投資の面でもサポート。三菱電機タイのパートナー企業である大手金融会社タイ・アユタヤ銀行は、環境設備のための資金や各企業の状況に合わせた金融サービスを提供しており、企業はこうしたサービスを活用することで、エコシステムの技術投資やインフラの改善が可能になる。

こうしたサービスの提供により、タイの中小企業ひいては産業全体の環境負荷低減と、持続可能な社会への取り組みに貢献していく。

自動化と炭素管理で、ものづくりを促進

「サステナブルビル協働計画」を通じ、製造業における炭素削減を強力に支援する三菱電機タイ。この取り組みの中心となるのが、最先端の技術を使用したリアルタイムのエネルギー管理システムである。

その一つである「SCADAソフトウエアGENESIS64™」は、工場内の機械や装置をネットワークでつなぎ、エネルギーの使用状況を監視。自社のエネルギー消費量をリアルタイムで把握・分析でき、CO2排出量の正確な管理を可能にする。
これにより、企業は正確なデータに基づいて計画を策定し、環境負荷の少ない生産活動へと移行することができる。

三菱電機ファクトリーオートメーション(タイ)(以下MELFT)の産業マーケティング管理部長、Parinwatt Parnsinghは、「全企業がカーボンニュートラルを実現し、炭素排気量を削減するためには、各工程での炭素量を効果的に測定できるということが重要になります。測定ができないと、管理することもできません。分析および各工程での炭素削減を実行するためには、データを明確に可視化することが不可欠です」と言う。

ネットゼロに向けての包括的なエコシステムの構築

三菱電機アジア(タイ)取締役社長 篠原哲哉氏

三菱電機タイが2024年に本格始動した「サステナブルビル協働計画」は、持続可能な社会の実現において、重要な役割を担っている。製造業者、ビル運営会社、規制当局、金融機関など、多様なパートナーと連携することで、各企業のサステナビリティ計画から、ビル建設、運用・保守に至るライフサイクル全体をサポートし、エコシステムを構築していく。

三菱電機アジア(タイ)取締役社長の篠原哲哉は、「持続可能な未来は、皆が力を合わせてこそ実現することができます。この協働計画は、三菱電機が多様なパートナーと知見を共有し、社会に大きな変革を促すための取り組みです。より多くの企業が温室効果ガスを削減できるようエコシステムの構築に力を注いでまいります」と、思いを語った。

この包括的な取り組みを通じて、三菱電機タイはイノベーションを促進し、タイの低炭素経済への移行を支援していく。自社のノウハウとパートナーシップを活用することで、タイのSDGs達成に貢献し、サステナブルビルに関する実践的な取り組みを全国に広げ、ネットゼロに向けた取り組みを加速させることを目指す。

製品・ソリューション紹介

SCADAソフトウエアGENESIS64

SCADAソフトウエアGENESIS64™

FAとITのデータを一元的に管理し、データの監視・分析を行えるオープンなIoTプラットフォーム。

  • 異なるシステムから取得したデータを体系的に整理し、見える化できる。
  • Webブラウザやモバイルアプリを介した監視など機器を選ばない監視システム構築が可能。
    3Dモデル・ARにも対応。

アンケート

Q1今回の記事に興味関心を持ちましたか?

※必須項目です。選択してください。

Q2Q1で答えた理由を教えてください。また次回題材でご希望があれば教えてください。※なお、ご質問に対する回答はいたしかねますのであらかじめご了承願います。

ご回答いただきありがとうございました

この記事をシェアする

一覧に戻る

The Art of Manufacturing monozukuri

「The Art of Manufacturing―ものづくり」は、産業分野のオートメーション(自動化)に関する技術動向や注目テーマ、最新トレンドなどに関して、三菱電機がお届けする産業界向け情報メディアです。 製造技術や各種サポートにとどまらず、デジタル製造、産業IoTやAI(人工知能)技術など先端技術にまつわる最新動向を解説するほか、専門家の知見・経験に基づく業界コラム、製造のスマート化の指標「SMKL」を活用した実践的アプローチ、Industry 4.0の直面する課題などなど、さまざまな視点から現場に役立つ“ヒント”を紹介します。 「The Art of Manufacturing―ものづくり」を通じて、ぜひオートメーションの世界を探求してみてください。