特集論文

高性能省エネルギーモータ
“スーパーラインプレミアムシリーズSF-PR形”
2014年11月公開【全3回】
名古屋製作所 長谷川裕之 磯谷拓郎 尾本雄亮
要旨
世界的に省エネルギー化への意識が高まる中、2008年10月に制定されたIEC(International Electrotechnical Commission)60034-30によって三相モータの効率クラスが規格化され、各国で高効率モータ普及拡大のための法規制化が加速している。先行する米国では2010年12月から効率クラスIE3での法規制が開始され、日本国内でも「エネルギーの使用の合理化に関する法律施行令第21条第27号(以下“省エネ法”という。)」として、2015年度からトップランナ基準値(IE3相当)での法規制施行が2013年11月1日に経済産業省から告示された。このような要求に応えるため、三菱電機は高性能省エネルギーモータ“スーパーラインプレミアムシリーズ(以下“プレミアム効率モータ”という。)SF-PR形”を開発し、2013年4月に発売した。
一般的に、三相モータの損失を低減するには、磁路の確保や巻線抵抗の低減(巻線導体断面積増加)のためモータ体格は大きくなり、始動電流も大きくなる傾向にある。
プレミアム効率モータSF-PR形は、三相モータユーザーの市場ニーズに応えるため、取付寸法や保護装置の互換性を維持しつつ、モータの各損失を徹底的に低減することでIE3基準値を超える効率を実現し、1台のモータで国内省エネ法と米国EISA(Energy Independence and Security Act)法の法規制に対応している。ブレーキ付モータ“SF-PRB形”もラインアップに追加し、幅広い用途に対応した。
また、プレミアム効率モータSF-PR形を当社工場に導入し、ほぼ設計値どおりに消費電力量が12%削減することを確認した。
高性能省エネルギーモータ “スーパーラインプレミアムシリーズSF-PR形”
当社独自の鋼板フレーム技術を採用し、徹底した低損失設計によって国内省エネ法及び米国EISA法の法規制に1台のモータで実現したプレミアム効率モータである。標準効率シリーズ“SF-JR形”と互換性のある取付寸法(枠番号の互換)を実現し、置き換えを考慮した特性(始動電流増大及びすべり減少を抑制)によって装置・設備はそのままで置き換えをスムーズに行える製品仕様である。

- 要旨 高性能省エネルギーモータ“スーパーラインプレミアムシリーズSF-PR形”
- 第1回 高効率化の技術
- 第2回 製品の特長
- 第3回 導入事例