Round-trip Letters
カヒミ・カリィ × Hello,AI Lab

【 Vol.07 From k.k 】
知る事で広がる世界

それは、文通のようなメッセージ。以前からAIの可能性に注目していたアーティスト、カヒミ・カリィさんと、三菱電機の研究者集団「Hello,AI Lab」が、AIについて語り合いながら、発見や気づきをやり取りするコラムです。

1 不安が期待へと
変わってきました

学ぶことで起こった、
AIに対する気持ちの変化

Hello,AI Labさま

お返事、ありがとうございます。とても楽しみにしていました!
毎回、貴重なお話を聞かせていただきながらAIを学ぶにつれ、以前はボンヤリと持っていたAIに対する不安のようなものは減り、その分、AIを活用できるようになる時代への期待や、将来に対する希望へと変わってきているように感じています

AIがスポーツや楽器などを習得する大きな助けになったり、AIが人間よりも得意な仕事を請け負うことによって、私達の長時間労働によるストレスや疲労を軽減することができたりすること。また、AIを研究されておられる方々にとっての理想のAIについてのお話は、とってもワクワクして深く共感しました。「人の心を安らげたり、笑いを与えたり、人生をよりあったかいものにするAI」、「めちゃめちゃ安全なAI」なんて最高ですね!おっしゃられる通り、研究者の数だけ理想のAIがありそうですが、そんなお話を聞く事が出来てとても嬉しく思いました。どうもありがとうございます。

AIに対して不安に感じる点というのは、AIそのものというよりも、やはり私達人間がAIをどう進化させていき、どんな風に扱っていくのだろうかという部分なのかもしれません。私達が描くより良き未来はどんな世界なのだろう。きっとそれが穏やかで豊かなものであれば、AIも素晴らしく進化していくのではないかと。お話を伺っていて、そんなことを思いました。

2 AIへの期待と、
アメリカ・日本の捉え方

人を支えてくれるAI

さて、ご質問にお答えさせていただきますね。

【質問1】

理想のAIについてご質問を受けましたが、逆に、カヒミさんにとって理想のAIとはどういったAIでしょうか。アーティストとしてという視点でも構いませんし、もっと生い立ちに関わるものでも構いません。ぜひご意見を聞かせていただけませんか?

私にとっての理想のAI…まだまだAIについて分からないことが多すぎて難しい質問ですが、やはり私達の生活に寄り添って助けてくれる、信頼できる存在にAIがなってくれたら嬉しいです

先日、「国立がん研究センター中央病院」と「おいしい健康」(病気の予防と管理、ダイエットなどを目的とした、管理栄養士監修の食事療法支援アプリ)が、がん患者さんの味覚障害に適応した、食生活支援AIに関する共同研究を開始されたというニュースを読んで、素晴らしいと思いました。私の父親は外科の開業医で、自宅は病院と同じ建物の中にありました。そのため、私は幼い頃から重い病気の患者さんの姿を見かけたり、父や看護師さんの話を聞いたりする機会が多い環境で育ったのですが、幼いながらに、病気というのは人生の大きな節目になるものだと感じて、そのつらい時期をどう過ごすかということを意識させられました。

大人になって、古代インドの人生論に四住期というものがあると知ってから、また人生の節目について考えるようになったのですが、そういう人生の分岐点で、杖のような役割をしてくれるものがあると良いと思うんです。その杖というのは、身体的なものや精神的なものだったり、経済的なものだったりと本当に人それぞれだと思うのですが、AIがそのひとつになってくれたら頼もしいのではないかと思います

【質問2】

カヒミさんがAIを使って学んでみたいことってありますか?

私は子供の頃にピアノを習っていたことがあるんですが、姉妹の中でも一番下手でなかなか身につかなかった事が今でもコンプレックスの一つなので、前回のレターでお伺いした、楽器の習得を助けてくれるAIというのは凄い!と思いました。

また約8年前からアメリカに住んでいるのですが、気づけば娘に英語力を抜かれてしまって…このままではいけないと焦ることが多いので、もしAIが語学の勉強を助けてくれたら本当に嬉しいです!

【質問3】

海外で生活していらっしゃるカヒミさん。アメリカ人のAIに対する感覚と、日本人のAIに対する感覚で、もし、違いや共通点を感じられていたら教えてください!もちろん、カヒミさんの感覚で構いません。

これは約8年間アメリカで生活してきた中で、私が感じているそれぞれの印象という感じなのですが、アメリカ人はAIを便利な新しいツールとして結構シンプルに考えていて、生活の中に取り込んでいくことに対してあまり抵抗が無いような印象があります

昨年NYのロックダウンの時、あっという間に公立校はリモート授業に切り替わったんですが、試行錯誤しながらも、先生達が新しいツールやアプリをどんどん取り入れていく姿勢に驚きました。責任感が強く、真面目で丁寧な日本人には真似できない、ちょっと雑かもしれないですがフレキシブルなアメリカ人の対応は興味深いものでした。

日本人はもっとAIに対して慎重な感じがします。それから、ただのツールというよりも人工知能に対してロマンを持っているように感じます。アトムやドラえもんが生まれた国ならではだなぁと思ったりもします。それぞれの国で特徴があって面白いですね。

3 AIのいま、将来。
気になっている事

シンギュラリティ、
自動運転、世界的な動き

今回も貴重なお話をさせていただき、ありがとうございました!

今まで真剣に考える機会がなかったAIや最新のテクノロジーについて知ることで、それ以外に対する興味も湧いてきて、自分の世界が広がったように感じています。またご質問させて下さいね。

Hello,AI Lab さまへ

質問が2つあります。

  • 【 質問1つ目 】

    先日、自動運転車が実用化される日が近いとのニュースを読んで、まるで夢のような話だと驚きました。将来的に、自動運転車が交通のメインになる時代が本当に来るのでしょうか。具体的にそれはどんな感じになりそうなのか教えていただけたら嬉しいです。

  • 【 質問2つ目 】

    AIを学んでいて、シンギュラリティという言葉があるのを知りました。シンギュラリティは、AIなどの技術が自ら人間より賢い知能を生み出す事が可能になる時点を指すんですね。それが実際に来るかは両説あるようですが、もし来た場合、私達の生活は具体的にどんな変化があると言われているのか気になりました。良い点と懸念する点の両方あると思いますが、娘が大人になった時のことを思うと特に気になって…。

k.k より

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