遺伝的アルゴリズム
「生物の遺伝と進化の仕組み」を模したアルゴリズム。
「遺伝」みたいに
より優秀な選択肢をAIが選択
あれも欲しい、これも欲しい、人間って欲張りですよね。
私たちは1つの商品を買うときに、求めている機能やデザイン、価格などたくさんの目的を適えているものを選んで購入しています。このように「多くの目的」を適えることができる最適な答えを選ぶことを、「多目的最適化」と呼びます。
「多目的最適化」は、適えたい目的が多くなればなるほど、選択が難しくなり時間がかかります。この問題を解決するために生み出されたのが「遺伝的アルゴリズム」です。
「遺伝と進化」の仕組みを模して、より優秀な選択肢を選ぶことを目的に開発されました。
どうして遺伝?と不思議に思うかもしれませんね。キリンを例に考えてみましょう。
キリンは地面の草だけでなく、高い木の葉も食べることで生き延びてきました。首と足が長い個体が生き延びていくという環境に順応した優秀な遺伝子が選択されていった結果だといえますね。
このように過去に得た経験や蓄積されたデータに基づき、より正解に近い答えを探していく手法は、メタヒューリスティクスと呼ばれています。遺伝的アルゴリズムもメタヒューリスティクスの1つだといえます。
いろんな目的のバランス
をとる「多目的最適化」
多くの目的を適えて最適な答えを選ぶ「多目的最適化」ですが、1つを適えると他の目的が適わない場合があるので目的のバランスを考えて調整することが重要です。
適えたい目的の数が増えるほど組み合わせが膨大になってしまい、どれが最適な答えなのか見つけるのが難しくなります。そんな時「遺伝的アルゴリズム」を用いると効果的です。
工場を例に考えてみましょう。
1つの商品を大量生産していた工場が、少量で多品種を生産できる工場に軌道修正したとします。そこで効率的な生産ラインを考えたレイアウト設計を考える必要が出てきました。
熟練者の設計ノウハウを用い、レイアウトの要素ごとに評価点を算出します。工場ラインの切り替え効率が良い、主力商品の生産率が一番高いなど評価点の高いレイアウトを、求める優先順位を考慮して最適化します。本来なら、熟練者が何日も頭を悩ませてどのレイアウトが良いかを考えますが、「遺伝的アルゴリズム」を用いると評価点という見える形で要素ごとに評価し見直すことができるため、設計業務の効率化に繋がるのです。
このように、人が持っていた設計ノウハウと「遺伝的アルゴリズム」を用いたAI技術を組み合わせることによって、より短い時間で優秀な選択ができるのです。AIを上手に使い効率的な選択や判断をしていくことによって、人が思考や創造する時間が増え、より快適な商品やサービスが生み出されるようになるかもしれませんね。
パターンが膨大すぎて、
人では判断が難しいものでも
AIは処理できるんだね。