自然言語処理
人が使う言葉をコンピュータで処理・分析する技術のこと
曖昧な人の言葉を
理解する技術?
コンピュータの自動翻訳に日常的にふれる機会も多くなってきましたね。自然言語処理はそんな、言葉についての技術です。
「自然言語」とは私たち人間が普段使っている言葉をいいます。その反対は、プログラミング言語のような「人工言語」ですね。人工言語は厳密な文法があって、解釈が異なることはありません。一方で自然言語は、使う人、時代により文法や意味に揺らぎが発生する曖昧なものです。
自然言語処理は、そもそも私たちの曖昧な言語をコンピュータに理解させる「翻訳」のようなものを目指して、研究がはじまりました。半世紀以上研究されている分野ですが、特に2010年以降、機械学習の一つであるディープラーニングの登場により、その精度は大きく向上しました。急速なデジタル化や、コンピュータのスペックが発達したこともあって、ディープラーニングを用いたAIが行う自然言語処理は、さまざまな製品やサービスとなってみなさんの身近で役立っています。
自然言語処理が変える未来
自然言語処理は、どんなところに用いられているのでしょうか?
話しかけると天気などを教えてくれる「スマートスピーカー」や、インターネットで検索する「検索エンジン」、Webサイトなどで24時間対応してくれる「チャットボット」など身近なものはもちろん、テキストデータから有益な情報を抽出する「テキストマイニング(データマイニングの一種)」や、パターン認識を活用しながら複数の文書を振り分ける「文書分類」など、書かれている言語を処理するものまでさまざまです。このテキストマイニングを応用すれば、例えば工場では技術文書に大量に蓄積されたテキストを読み、その中から隠れた知識を発見できるなど、新たな可能性も議論されています。
また、近年飛躍的に精度が上がっているのが「機械翻訳」です。人を介さず、自然言語を文字として取り込み、その文字を翻訳して出力するコンピュータの自動翻訳ですね。まだ人間の心理までは読めないなど課題はありますが、オンライン会議のリアルタイム翻訳技術に活用されるなど、今後も注目されています。
曖昧な表現や、常識が問われる文章の分析にはコンピュータにはまだまだ複雑で難易度が高いため、大量の自然言語データを学習させてデータ変換の精度を上げる必要がありますが、今では人間がリアルタイムに指示した曖昧な言葉を理解する、これまでとは桁違いの自然言語処理能力を持つロボットが、人と同じようにしなやかに作業をするといったことも研究されています。これからの人と機械のインターフェイスの発展にも大きく貢献していく技術としても、期待されているのですね。
人間と機械をつなぐ言葉の精度で、
関わり方も変わってくるかも
しれないね。