転移学習
ある領域の学習を、別の領域の学習にも適用させる技術
過去の経験を今に活かす技術
例えば、過去ピアノを習ったことがある人は、ほかの楽器を覚えるのが早い、ということがあります。どんな楽器の演奏にも必要になる、楽譜の読み方やリズム感、練習方法などの知識を学べているからです。
転移学習はそんな、過去の知識を活かして、別の領域にも応用していく学習方法です。
「転移学習」は、コンピュータが自動で学習し、データの背景にあるルールやパターンを見つけ出す「機械学習」の一つの手法です。機械学習はルールやパターンを見つけ出すために、コンピュータに大量のデータを読み込ませることが必要です。しかし、学習に最適なデータが少ない場合が多く、データを入手しても新たな学習のためには膨大な時間がかかってしまいます。
そこで「転移学習」は「楽器を習った状態=ルールやパターンを知った状態」として、別の領域の学習にも応用し「最初から試行錯誤を繰り返す」ことを省略しようというものです。
これにより、少ない学習データから高精度なルールやパターンが作れ、短時間で学習できるのが大きなメリットとされています。
転移学習はどこで
使われてる?
転移学習はどんなところで活用されているのでしょうか。
例えば、食品などの卸業において、商品の欠品による販売機会の損失や、過剰な在庫による保管や廃棄の問題を解決するために、高精度の「自動需要予測」が導入されています。数百数千といった種類の商品の販売予測を、現場の担当者の勘や経験に頼って行ってしまうのは大変です。過去の販売・仕入れのデータと、天候などの外部データを組み合わせて、機械学習によって大量の商品の販売数や適正在庫量を自動で予測し、さらにそこで得られたモデルを、さまざまな製品に転移学習させることで、精度の高い販売計画を立てることができ、さらに作業工数の削減にも大きく役立っています。
そんな転移学習にも弱点はあります。転移させる領域間の関連性が薄いと精度が下がってしまうことや、未知の領域には現状は適応できません。ある程度関連性のある領域の間で、真価を発揮するのですね。
今後学習の精度が高まれば、さらに効率化できたり、無駄がなくなったり、自由度が広がったりする技術。これからもっといろいろな場面で目にすることが、多くなるかもしれませんね。
経験から学んで次に活かすのは、
もはや人間だけじゃないんだね。