今回は、部屋を明るくするだけでなく、開放感あふれる晴れやかな雰囲気にする照明。
窓を通して本当の空が見えているかのような青空照明「misola(みそら)」の開発に携わる髙濵さんのしあわせシェア物語をご紹介します。
01 青空照明との衝撃の出会い
大学は工学部でした。就職する際、社会需要が尽きない分野で活躍したいと思うようになり、照明は常に生活になくてはならないものだと考え、三菱電機照明に入社しました。
入社から数年たったある日、隣のチームが新製品の性能評価をしているのを偶然、目にしまして…、それが青空照明「misola(みそら)」でした。私は、そのユニークかつ高い技術と物語性のあるコンセプトに衝撃を受けました。「どこまでも続くような奥行きのある青空」を再現する技術。閉塞感のある空間に開放感を感じさせるという斬新なアイデア。自分の働いている会社では、こんなすごい製品が開発できるのかと感動し、ぜひ関わらせて欲しいと手を上げました。
いまは、misolaの新製品「ラインタイプ」の開発を担当しています。現在、設置している照明器具のリニューアルにお勧めで、コンパクト、軽量化しています。これまでの正方形の製品に比べると、単に細長くなっただけのように見えますが、様々な技術と工夫が詰まっています。
窓枠のようにみえる部分を発光させるとともに影をつくることで太陽光が差し込んでいるようにみえる。
02 意見をシェアする秘訣?「だるがらみ」
misolaは、全く新しいコンセプトの製品ですが、そもそもは照明器具ですので照明としての基本的な明るさも必要です。演出効果と実用面のバランスにも配慮して開発を進めています。また、営業の要望や、製造ラインで組み立てる人々のこと、さらには現場の施工性まで考えなくてはなりません。これらのギャップを埋めながら、一番いい製品へと落とし込んでいくのが難しいところでもあり、やりがいでもあります。試作品を通じて各担当者と対話する。それには、まず相手の立場を尊重すること。その上で、みんなが意見をいいやすい空気をつくるように心がけています。
秘訣は、だるがらみ…とでもいいましょうか(笑)、趣味の話など、仕事とは関係ない話も折りまぜながら意見をシェアするようにしています。
03 明るさの必要性を感じるのはこどもの頃の経験
私がまだ小さい頃、母が暗い夜道で、ひったくりにあったことがあるんです。子供心に、その話を聞いたときはショックでした。照明は、空間を照らすことで家族の団らんをつくったり、人が集中できる環境を提供します。また、暗い場所を照らすことで、人々を危険から守り、安全に暮らせるという「犯罪の抑止力」にもなります。なので、照明器具の第一の価値は「明るさ」と考えています。明るさへのこだわりは、幼少期の体験にあるのかも知れないですね。
04 青空照明で、安らぎや癒しを届けていきたい。
私の結婚式のエピソードなのですが、妻が「式の当日、雨が降ったらどうしよう…」と、数か月も前から、ずっと気にしていたんですね。やっぱり晴れた日に一番大切な日を迎えたいし祝福されたいと思うのは当然のことですが、天気ばかりはどうにもならない。そんな時misolaが式場にあって青空を演出できたら…、妻がよけいなストレスを抱えなくて済むかも、と思いました。もちろん、本物の青空のほうが素晴らしいのは言うまでもないですが。
misolaは、窓の無い会議室やエレベーターホール等、オフィスを始め働く場所の環境改善に貢献していますが、屋内にいながら屋外を感じられる空間をつくるという役割もあります。例えば、保育所の事例ですが、真夏の酷暑に園児を外で遊ばせると熱中症のリスクがある。冷房の効いた室内で遊びつつ、少しでも子どもたちに屋外の開放感を感じて欲しいという想いで設置されたそうです。
三菱電機のスローガンは、「しあわせをシェアしよう。」ですが、私にできることは「人に安らぎや癒しを届けていくこと」だと思っています。例えば、お身体が不自由で簡単に外出できない方に青空を届けることで、心が癒され、気分が晴れやかになってくれたらと。そうやって世の中の一人ひとりが安らぎや癒しを感じた先に、それぞれの「しあわせ」って存在するのではないかと思うんです。もし、misolaのある生活の一部が、素敵な思い出の1ページになってくれたら…、開発者冥利に尽きますね。
05 三菱電機にしかできない進化を。
misolaの根幹となる技術は、三菱電機の先端技術総合研究所で開発され、三菱電機照明で製品化されました。換気扇、冷蔵庫、エアコンから人工衛星まで。さまざまな技術を結集できる三菱電機だからこそ、無限の可能性がある。例えば、青空照明と空調の技術をコラボレーションすることで青空を眺めながら心地よい風が頬をなでる…、人の五感に快適を届ける新たな技術が、新たな物語性のある製品を生み出すかもしれません。
三菱電機ブランドがどうなって欲しいか?そうですね…、展示会でお客様と話していると、うれしいことに「三菱電機が好き」とおっしゃって下さる方が多いんです。その一人ひとりの声を聞いて、一つひとつ製品やサービスとして実現、提供していく。その積み重ねがブランドの向上と信頼につながっていくのだと思います。
髙濵 佑一郎
三菱電機照明株式会社
開発本部 器具技術部 器具技術第一課
2017年三菱電機照明入社。開発本部 器具技術部にて、照明器具の構造設計に携わる。
入社後、掛川工場(南地区・北地区)に配属され、生産現場が近い環境で非常用照明やスクエアライトなど様々な照明器具の筐体設計を行い、製造加工方法や組み立ての知識などを学ぶ。
近年では、青空照明 misolaを担当し、製品の筐体・機構設計開発に携わる。
現在は、misolaの機種拡充のため新機種の性能や仕様を決めながら、製品の筐体設計に奮闘中。
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