キモチを見つめるエアコンがあると言ったら、びっくりしませんか?
今回は、そんな奇想天外な付加価値を、次々にエアコンに搭載する開発者、岡崎さんのお話。
ひとりひとりの快適をとことん追求する中で気づいたという、しあわせシェア物語をご紹介します。
01 風に惹かれ、エアコンの開発者へ。
大学生のころは、空力の研究をしていました。プロペラの裏側で風がどう動いているのかが気になって。自分たちで装置を作り、プログラミングをして風の流れを可視化するという研究をしていました。就職先を選ぶ際も風に関わる仕事につきたいと思いました。
入社時に、家電の中でもメジャーな存在であるエアコンの開発を志望して約15年。当時やりたいと思っていたことを、今もできていると感じます。家族や知人に「霧ヶ峰を作っているんです」と言うと、分かりやすいのもいいですね(笑)

02 家族を観察すると、新しい快適が見えてくる。
お客様にとっての「快適」を考えて、エアコンにまだ見ぬ付加価値をつけるのが私の仕事。ゼロから1を生み出さなければいけないため、悩むことも多いですが、ヒントは我が家にあることが多いです。結婚して家族ができたことをきっかけに、一緒にいるひとの快適を、一番に考えるようになりました。例えば、私は暑がりで、妻は寒がり。私が快適な温度のとき、妻は寒いのを我慢してくれていたと気づいたんです。そこで、ふたりの時間がもっと心地よく感じられるようなエアコンを作りたいと思いました。
私が開発に関わった赤外線センサー「ムーブアイ」は、部屋の中の温度を見つめる目のような存在です。このムーブアイで、夏なら暑いと感じている私には強めの風を、寒いと感じている妻には弱い風を、それぞれ吹き分ける。エアコンのファンを、左右それぞれに独立させることで、二ヶ所同時空調という機能を開発することに成功しました。


03 家族も、地球も、しあわせにするエアコンを。
エアコンは、夏場に最も電力を使用する家電のひとつ。使用電力が軽減し、光熱費が安くなって、さらに社会全体のエネルギー消費も減らせたら、みんなしあわせですよね。そこで開発したのが、「ムーブアイmirA.I.+」。外の気温や日差しの変化を「予測」しながら、エアコンをコントロールし、快適と省エネを実現します。予測するから、ミライです(笑)
ちなみにこのムーブアイmirA.I.+には、人工衛星にも使われている高精度なセンサーが使われているんですよ。三菱電機には、家電から宇宙技術まで幅広い専門家がいますが、このセンサーを開発するために、専門の領域を超えて多くの仲間が集まってくれました。熱意を持ってアイデアを伝えると、熱意を持って技術で応えてくれる。そんな仲間がいることに大変感激しました。

04 快適をとことん追求したら、人のキモチを見つめるエアコンが生まれた。
一緒に暮らす大切な家族の気持ちが分かったら、もっと優しくなれますよね。これエアコンも同じだと思うんです。快適をとことん追求するうちに、人の暑い、寒いの感じ方だけではなく、心地よく感じられているか?気持ちまで読み取って、風を吹き分けることができないか?と考えました。

そして研究開発の過程で「人の感情は、脈拍と密接に関係している」と書かれた論文を見つけました。脈拍から、リラックス状態と集中状態が分かるのだそうです。これはぜひエアコンに取り入れたいと思いました。さまざまな手法を試した結果、人の脈拍をレーダーで測定するセンサー「エモコアイ」が生まれました。まさに、人のキモチを見つめるバイタルセンサーです。
コロナ禍を経て、今ではリビングで仕事をするのも、当たり前のような時代。リビングでくつろぎたい人の気持ちにも、それだけでなく仕事に集中したい人の気持ちにまで、エモコアイなら優しく寄りそうことができます。家族団欒の時には、ちゃんとリラックスできているかなとエモコアイが見守りながら、ちょうどいい風を。逆に仕事に集中したいときは、シャキッとするような風を吹き分けることができるんです。
ひとりひとりが心地よく感じられたら、家族がもっとリビングに集まれる。一緒にいられるしあわせな時間も、増やすことができるかもしれません。まさに、しあわせをシェアしようの精神ではないでしょうか。


05 我々の目指すエアコンは、エアーコンシェルジュだ。
将来は、お客様ともっと対話できる賢いエアコンを作っていきたいです。人とエアコンが会話して、どんな快適を求めているのか知り、それに応えていく。例えるならば、ひとりひとりに快適をお届けする執事でしょうか。そんな対話型A.I.の搭載されたエアコンを作りたいですね。

我々が目指すエアコンって、もうエアーコンディショナーではないと思うんです。いうなれば、「エアーコンシェルジュ」です。ひとりひとりの気持ちに向き合って、快適な空気で、毎日のしあわせをサポートしていきたいですね。

岡崎 淳一
三菱電機株式会社
静岡製作所
ルームエアコン製造部 技術第一課
2010年三菱電機入社。静岡製作所ルームエアコン製造部配属。入社以来一貫してルームエアコン「霧ヶ峰」の要であるセンサーの機能設計を担当。お客様の快適、一緒に暮らす家族のしあわせを考え、「暑い寒いを見極めるセンサー」や「キモチを見つめて空気を整えるエアコン」の機能設計に携わってきた。現在は、さらなる快適をお届けするエアコンを実現すべく、日々研究開発に励んでいる。
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