生命保険業界のリーディングカンパニーとして、全国に拠点を展開する日本生命保険相互会社(日本生命)。同社はコロナ禍への対応と業務効率化を目的として一部拠点に導入していたシスコデバイスとWebexによるビデオ会議システムを全国の支社・営業部に展開。2023年9月には本店・本部にも同ビデオ会議システムを導入するとともに回線を専用線からインターネットに切り替えました。プロジェクトは三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社(MDIS)がマネジメントを担当するオール三菱電機グループの体制で臨み、質の高いビデオ会議によるコミュニケーションを、社外の取引先や在宅勤務の社員を含め幅広く行えるようになりました。
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支社・営業部において効率的なビデオ会議環境を構築
約70,000名の従業員、全国108支社、1,495の営業部を構え、契約者数は国内グループ全体で1,480万名に達する日本生命(2023年3月末時点)。2023年度までの中期経営計画では「お客様本位の業務運営」と「サステナビリティ経営」を事業運営の根幹に据え、“人・サービス・デジタル”で、お客様と社会の未来を支え続けるグループとなることを目指しています。
同社では早くから支社を中心にビデオ会議システムを導入していましたが、コロナ禍以前の営業現場では、月に1度、管轄の営業部社員全員が支社に集まり、対面で会議を実施していました。2020年に入って新型コロナウイルス感染症の感染拡大が続いたことから、移動に伴う感染リスク軽減と業務の効率化(移動時間の削減)を目的に、営業会議を対面からビデオ会議に切り替えることを決定。MDISの導入支援を受け、未導入の対象拠点にシスコデバイスを590台配備しました。
そこでの音質と画質に対する高い評価により、全国の未導入の支社・営業部1,259拠点への追加導入を決定しました。これにより、コロナ感染のリスク低減と移動時間・旅費の削減が実現し、対面での打ち合わせが難しい場合でも、拠点を限定することなく高品質なビデオ会議を実施できるようになりました。
本店・本部を含む導入プロジェクトを構築から設置、運用まで柔軟に対処
一方、企画や管理部門の拠点である大阪の本店(本社)と東京の本部では、複数のビデオ会議システムが稼働していました。他のビデオ会議システムの保守サポート期限が近付いたことからビデオ会議システムの見直しを開始。IT統括部 IT運用課長の植戸修氏は「従来は専用線を使用していたために在宅勤務の社員が利用するMicrosoftTeams(Teams)からはビデオ会議に入れない、外部の取引先が会議に参加できないといった課題がありました。そこでビデオ会議システムのリニューアルを機に回線をインターネット化することになりました」と振り返ります。
新たなビデオ会議システムは、先行導入していた支社・営業部での評価を踏まえて、シスコデバイスとCisco Webexへ集約することを決定しました。IT統括部 副主任の大西里奈氏は「従来のビデオ会議システムは画質や音声がクリアではなく、機器の操作も分かりづらいという課題がありました。シスコデバイスは画質が美しく、UIも直感的で使いやすかったことから迷うことなく採用を決めました」と語ります。
導入パートナーと運用パートナーについては、既存のベンダーと比較したうえで、MDISの提案を採用しました。IT統括部 課長代理の野見山修二氏は「本店・本部に先駆けて支社・営業部の2,000台規模の導入を支援し、継続して運用を担当していただいている実績が決め手です。運用面についても支社・営業部と一緒に見ていただくことで、コスト効率が高くなると判断しました」と語ります。
導入プロジェクトは2023年1月から9月までの約9ヵ月で実施し、本店・本部の拠点を中心に約120台を配備しました。野見山氏は「プロジェクトマネジメントはMDIS、構築と設置は三菱電機システムサービス株式会社、ヘルプデスク体制や運用を三菱電機インフォメーションネットワーク株式会社(MIND)と、各社の得意分野を活かしたオール三菱電機グループの提案をいただいたことが印象的でした」と振り返ります。大西氏も「導入中は複数回スケジュール調整が発生し、前倒しで使いたいといった一部の部署の要望や、大阪・東京・福岡のコールセンターの研修用途で使う端末も同時にシスコデバイスに切り替えたいといった要望にも柔軟に対処していただき助かりました」と語ります。
臨場感のあるビデオ会議を実現社員の満足度も向上
本店・本部に導入したビデオ会議システムは、スピーカー一体型カメラ、タッチパネル式の操作端末、コーデック(映像・音声の圧縮/伸長装置)、モニター、マイクで構成されています。モニターは85インチと75インチの2タイプがあり、大会議室には85インチを2台設置するなど、会議室の大きさにあわせて配置しています。
導入後は拠点間のビデオ会議用途で積極的に活用され、現在もフル稼働状態が続いているといいます。2024年1月にはシスコデバイスの機能アップデートによってTeamsとの連携も容易になりました。
「最大の効果は、インターネット化により在宅勤務の社員や外出先の社員がTeamsからビデオ会議に参加することや、外部の取引先がビデオ会議に参加できるようになったことです。また、自らPCを持参して新たにTeamsを立ち上げる必要もなくなり、スマートに会議ができるようになりました。デバイスもPCだけでなくタブレット、スマートフォンなどから参加でき、自由度は格段に上がりました」(大西氏)
画質・音質も大きく向上し、よりリアルに近い臨場感でコミュニケーションがとれるようになりました。社員に実施したアンケートでも高い満足度が得られています。
「大画面モニターにより、多くの拠点から参加している会議でも発言者の表情がはっきりと確認ができるので、相手の表情を見ながらスムーズに会議を進めることができます。ペーパーレス化で紙の資料の印刷を控えている中でも、リモートからモニター上に表示する資料も見やすくなり、使い勝手が大きく向上しています」(植戸氏)
ビデオ会議端末の接続などの操作性についても、分かりやすいUIとともに導入時に整備した専用の操作マニュアルを参照することで参加者は迷うことなく接続ができます。ヘルプデスクはMINDが担当しているため、IT統括部自体が問い合わせに対応することなく効率的な運用ができています。
「支社・営業部と本店・本部の運用をMINDに一元化したことで、経費を削減することができました。回線についても、専用線による個々の接続からインターネットに切り替えたことでもコストが削減できています」(野見山氏)
機能アップデートにあわせ、より使い勝手に優れたビデオ会議システムへ
今後については、引き続きより安定的で品質の高いビデオ会議の実現を目指していく方針です。「ビデオ会議の進化やデバイスの多様化にも対応しながら、利用者がいつでもどこでも手軽にコミュニケーションができて、働きやすい環境を提供していきます」と植戸氏は語ります。
シスコデバイスについても機能のアップデートに追従しながら強化を進める方針で、MDISによる技術支援に期待を寄せています。
「例えば、議事録作成機能や翻訳機能など便利な機能を使っていきたいと思っています。一方、金融機関である以上、セキュリティーへの影響も判断する必要がありますので、技術的な課題をMDISに相談しながらより使いやすいビデオ会議システムを目指していきます」(野見山氏)
日本生命は、「人」「地域社会」「地球環境」の3つを軸としたサステナビリティ経営を推進し、様々な社会課題の解決への貢献に努めていきます。