システムの受託開発とシステムエンジニアリングサービス(SES)を軸に事業を展開する富士ネットワークス株式会社。電話システムの老朽化を機に、三菱電機インフォメーションネットワーク株式会社(MIND)の支援により、オンプレミス型PBXからクラウドPBXに移行しました。併せて携帯電話で内線電話が利用可能なFMC(FixedーMobile Convergence)を導入したことで、場所に縛られることなくオフィスと同様の電話環境が実現でき、担当者の電話取次業務の負担が軽減されました。
目次
オンプレPBXのリスク解消に向けてクラウドPBXの導入を検討
東京都千代田区に本社を置く富士ネットワークスは、お客様の依頼に応じてシステム開発を請け負う受託開発と、エンジニアを企業に提供するSESの2つを軸に事業を展開しています。
受託開発では、JavaやTypeScriptを中心としたオープン系システムを強みとし、レスポンスが高速でUI/UXに優れたWebアプリケーションを開発できるSPA(シングルページアプリケーション)をいち早く取り入れるなど、最先端の技術を積極的に導入しています。
もう一つの軸であるエンジニア派遣のSESでは、お客様のニーズに応じてソフトウェア開発・検証・保守、ネットワークセキュリティーソリューションの技術支援、PBX運用管理、ヘルプデスク、カスタマーサポート支援など幅広いITサービスを提供しています。
今回、同社がクラウドPBXを導入したきっかけは、オンプレミス型PBXの老朽化にありました。既存のPBXは安定稼働しているものの、故障によりPBXシステムダウンするリスクが懸案事項になっていました。そこでクラウドPBXを導入し、運用保守も含めて外部に委託することを決定しました。導入の経緯について代表取締役の藤井裕志氏は次のように語ります。
「最先端のソフトウェア開発を手掛けることもあり、電話システムもクラウドPBXに切り替えて最新の技術を取り入れるべきと判断しました。SESの取引先の中にもクラウドPBXに関心を寄せる企業が増えており、いち早く導入してその恩恵を受けることにしました。また、クラウドPBXであれば、初期コストや運用コストを抑えることができ、オフィスの移転時でも再設置が不要になるなどのメリットがあることも導入の後押しになりました」
スマートフォンの購入を含めたワンストップサービスを評価
クラウドPBXの導入を検討した同社は、SESの取引先で、クラウドPBXの導入実績が豊富なMINDに提案を依頼。その結果、クラウドPBXに加え、FMCとFMC用スマートフォンも導入することに決定しました。
MINDの提案を採用した理由は、マルチベンダー・マルチキャリア対応により、様々なクラウドPBXを費用面や機能面などの観点から比較ができたことにありました。
「MINDの担当者からは、複数のサービスの中から当社の課題解決に最適なクラウドPBXとFMCを提案いただきました。採用の決め手は、クラウドPBXをキャリアから直接導入するよりリーズナブルだったことと、スマートフォンの購入を含めたワンストップサービスが受けられることにありました」(藤井裕志氏)
クラウドPBXの導入はスムーズで、短期間で利用を開始できました。導入時の状況について取締役の藤井貴寛氏は次のように振り返ります。
「当社が入居するビルの場合、1階の配線盤からネットワーク回線を引き上げる必要があり、階下の各テナント企業に工事担当者が立ち入る許可を得る必要がありましたが、MINDともスケジュールを調整しながら進めた結果、スムーズに導入することができました」
導入時はMINDの支援のもとでFMC用スマートフォンの操作マニュアルを作成したほか、ユーザーに対して操作説明会を実施することで、スムーズな切り替えを実現しました。
クラウドPBXの転送機能により総務課担当者の業務負荷を軽減
同社は都内に2つのオフィスがあり、本社オフィスにはIP電話機が4台とFMC用のスマートフォンが10台、サテライトオフィスにはFMC用のスマートフォンが3台あります(2024年9月時点)。
IP電話機は本社オフィスの総務部門と採用部門がメインで利用し、FMC用のスマートフォンは、本社の営業担当者、採用担当者、代表取締役、取締役と、サテライトオフィスのシステム担当者が利用しています。
クラウドPBXとFMCの導入により、代表電話を受けていた総務担当者の負担は大幅に軽減されました。総務課主任の綿谷朋子氏は導入効果について次のように語ります。
「代表電話には、当社の採用部門に対して求人媒体の担当者から高頻度で電話がかかってきます。これまでは、採用担当者に内線電話で転送していましたが、必ずしも電話に出て欲しい担当者が取ってくれるとは限りませんでした。導入後は、個人宛に転送ができるので、非常に便利になりました」
同様に携帯電話への転送も効率化されました。総務課の梅村公美氏は次のように語ります。
「これまでは固定電話から営業担当者や取締役の社用携帯への転送はできず、携帯電話の番号に直接電話をかけて要件を伝えていました。FMCにより、IP電話またはFMC用のスマートフォンから転送番号をワンプッシュするだけで転送できるようになり、利便性は大きく向上しました」
さらに今回、クラウドPBXやFMC用のスマートフォンの運用保守、内線電話の増設/移設、エンドユーザーからの問い合わせを受け付けるヘルプデスクなど、運用業務全般をMINDに委託しているため、運用負荷の軽減が期待されています。
「現時点でクラウドPBXの障害やスマートフォンの故障、ヘルプデスクの利用などは発生していませんが、今後社員が増えてFMC用のスマートフォンの故障や内線番号の追加、オフィス移転などが発生した時は、すべてをMINDの運用サポートに任せることができるので安心感があります」(藤井貴寛氏)
オンプレミス型PBXで抱えていたリスクが解消できたことも大きな効果だといいます。
「オンプレミス型PBXは故障や自然災害などにより、電話機能が停止すると事業が停滞してしまいます。クラウドPBXなら故障等による停止のリスクも低く、不安なく事業を続けることができるようになりました」(藤井裕志氏)
事業の拡大と社員数の増加に応じて
内線番号やスマートフォンを増強
今後は、事業拡大や社員数の増加に応じて内線数やスマートフォンの台数を増やす見込みです。また、オフィスの移転や集約も進めていく計画です。
「クラウドPBXを導入したことで、オフィスの移転時もコストを抑えてスムーズに移転することが可能になりましたので、MINDには今後も支援をお願いします」(藤井裕志氏)
「MINDとは引き続き密にコミュニケーションを取り、お互いの事業を発展できればと思います」(藤井貴寛氏)
「お客様へ満足、笑顔および感動を与える会社」をスローガンとする富士ネットワークスは、今後もITソリューションサービスを通して顧客とエンジニア双方の幸せを追求していきます。