尾原和啓氏の連載コラム
〜明日のために今こそデジタルの大海原へ
急加速する日本のデジタル化。ビジネスや暮らしはどこに向かうのか?
IT批評家/フューチャリストの尾原和啓氏が語る。
Column list
連載コラム一覧
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Vol.1 第1回 ケータイ前後で世界はまるで変わってしまった
〜産業構造を根底から変える「DX」の本当の意味〜いまや「DX(デジタルトランスフォーメーション)」はブームの様相を呈している。DXというと、繰り返し発生するタスクを自動化したり、クラウド化してリモートワークできるようにしたり、ハンコがいらなくなったり、といったことを思い浮かべる方も多いだろう。だが、それは既存業務のデジタル化にすぎない。
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Vol.2 第2回 DXで都市と暮らしはどう変わるか
〜スマートシティと15分シティ〜前回、レストランレビューサイトと乗換案内が「食」を変えた話をしたように、DX(デジタルトランスフォーメーション)は私たちの生き方や暮らしそのものを変えていく。今回は私たちが暮らす「街」がどう変わるのかを見ていく。だが、その前に、DXが成功する条件について考えたい。
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Vol.3 第3回 「移動」するのは自分かモノかサービスか
〜MaaSと自動運転がもたらす未来〜回のテーマは「移動」だ。「モビリティ」はDXが最も進んでいる分野で、デジタルによって人の移動がどう変わるかを見ていく。
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Vol.4 第4回 「働き方のDX」で越境する個人が激増する
〜レビューやスコアが万国共通のパスポートに〜DXによって様変わりするのは、私たちの暮らしや移動だけではない。「働き方」も大きく変わる。それは、他ならぬ皆さん自身がコロナ禍で実感したはずだ。毎日会社に行かなくても働ける。社会人になったばかりの新人なら、ほとんど会社に行ったことがない、上司や同僚とリアルで会った回数は数えるほどしかないという人もいるだろう。リアルでつながりにくくなった世界でも、私たちはネットでつながることができる。
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Vol.5 第5回 DXで「ファイナンス」がもっと身近に
〜経歴や担保の有無に関係なく「働き」で評価される社会〜個人の場合は住宅ローンや自動車ローンなど、まとまった金額が必要なとき、事業者なら業容拡大に伴う新規採用やオフィス移転、新店オープンなど、成長期ならではの旺盛な資金需要をまかなうために、融資を受けることがある。か、担保の有無などを聞かれ、事業者なら過去数期分の決算書や事業計画などの提出を求められるのが一般的だった。しかし、DXによって、こうしたファイナンスのあり方が変わろうとしている。
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Vol.6 第6回 個人と企業をつなぐ「イネーブラー」
〜個人の力を結集した企業がDXの勝者となる〜この連載ではこれまで、DXが私たちの暮らしや生き方をどう変えていくのか、という視点で身近なユースケースを紹介してきた。DXなんて自分には関係ないと思っていた人も、自分でも気づかないうちにDXの恩恵を受け、いつのまにか生活パターンが変わっていたという方も多いのではないだろうか。会社名や肩書ではなく、自分の名前で勝負する人にとっては、とても生きやすい世の中になってきた。
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Vol.7 第7回 エネルギー効率のゲームチェンジ
〜ゼロベースで「全体最適」を考え直す〜2021年に開かれたCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)では産業革命以降の気温上昇を1.5度に抑えることが目標とされ、気候変動対策はもはや待ったなしの状況だ。「脱炭素」を実現するためには、「脱化石燃料」「脱ガソリン車」が至上命題だと感じている人も多いようだが、はたして本当にそうだろうか。
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Vol.8 第8回 エンターテインメント産業のゲームチェンジ
〜メタバースをめぐるビッグテックの覇権争い〜この連載の第1回では、過去20年にわたって、スマホとソーシャルの普及により、「リアルファースト」から「モバイルファースト」へのシフトが起きたことを述べた。いまはその総仕上げの時期で、モバイルをインフラとしたB2Bの変革が起きている真っ最中だ。新しいもの好きでスイッチングコストが低いコンシューマー市場と比べると、保守的なB2B市場の変革は最も遅れてやってくるのがいつものパターンだからだ。
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Vol.9 第9回 ヘルスケア産業のゲームチェンジ
〜点から線の接点が生み出す「一生のおつきあい」〜顧客データを上手に活用するDXが登場したことで、企業と顧客のつきあいかたが大きく変わってきた。物を売ったら売りっぱなし、サービスも利用のたびに料金を徴収する従来のやりかたでは、企業と顧客の接点は「点」でしかなく、次にまたその企業・商品・サービスが選ばれるかどうかは、誰にもわからなかった。
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Vol.10 第10回 製造・流通・小売業界のゲームチェンジ
〜モジュール化によって低コストで擬似チェーンを構築〜日本のコンビニエンスストアはたいへん優れもので、いまや私たちの生活になくてはならないインフラとなっている。その一方、日用品や食品を扱う昔ながらの個人商店は、全国チェーンのコンビニやスーパー、ドラッグストアとの競争にのみこまれ、都市部を中心に姿を消しつつある。
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Vol.11 第11回 宇宙開発ビジネスが切り拓くフロンティア
〜宇宙から見た地球の全体最適〜宇宙旅行は人類の長年の夢だが、超リッチな有名人が宇宙に行くのはあくまで遊びの延長なので、ビジネス上のユースケースとしては、衛星通信と衛星データの活用、そして宇宙資源探索・採掘が当面のおもな関心事となる。宇宙開発の大前提として、人工衛星開発と打ち上げにかかるコストが劇的に下がったという事実がある。重さ1トンを超えるような大型衛星の開発には5年以上の歳月と数百億円のコストがかかるが、技術が発…
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Vol.12 最終回 デジタル大航海時代のグローバリゼーション
〜標準化から多様性と包摂の時代へ〜2年にわたってDXがもたらす地殻変動を紹介してきた連載も今回で最終回。そこで、これまでの11回を振り返りつつ、デジタルシップで未来へ漕ぎ出すための指針をまとめておこう。
この連載のサブタイトルを「明日のために今こそデジタルの大海原へ」としたのは、デジタルによって新たな大航海時代に突入したという意味を込めたからだ。
IT批評家/フューチャリスト尾原和啓(おばら・かずひろ)
1970年生まれ。京都大学大学院工学研究科応用システム専攻人工知能論講座修了。マッキンゼー・アンド・カンパニーにてキャリアをスタートし、NTTドコモのiモード事業立ち上げ支援、リクルート、ケイ・ラボラトリー(現:KLab、取締役)、コーポレートディレクション、サイバード、電子金券開発、リクルート(2回目)、オプト、Google、楽天(執行役員)の事業企画、投資、新規事業に従事。経産省対外通商政策委員、産業総合研究所人工知能センターアドバイザー等を歴任。 現在はシンガポール・バリ島をベースに人・事業を紡ぐカタリスト。ボランティアで「TEDカンファレンス」の日本オーディション、「Burning Japan」に従事するなど、西海岸文化事情にも詳しい。著書に「ネットビジネス進化論」(NHK出版)、「あえて数字からおりる働き方」(SBクリエイティブ)、「モチベーション革命」(幻冬舎)、「ITビジネスの原理」(NHK出版)、「ザ・プラットフォーム」(NHK出版)、「ディープテック」(NHK出版)、「アフターデジタル」(日経BP)など話題作多数。