トラストサービスは、デジタル社会において、情報の改ざんやなりすましを防止し、信頼を確保するために不可欠です。三菱電機インフォメーションネットワーク株式会社(MIND)は、電子署名法に基づく特定認証業務を行う事業者として約20年にわたって電子署名やタイムスタンプなど様々なトラストサービスを提供してきました。その一つであるMIND電子証明書サービスは、安定性、信頼性、利便性の高さで高い評価を受けており、幅広い業種のお客様に利用されています。
デジタル社会の安全と信頼を守るトラストサービス
トラストサービスとは、ネットワーク上でのなりすましやデータの改ざんを防止し、デジタル社会の安全性や信頼性を守る仕組みであり、MINDでは「TrustMinder」というブランド名でサービスを提供しています。
社会のデジタル化、ネットワーク化が進むにつれてトラストサービスの利用ニーズは年々高まっています。セキュリティ事業部 トラストサービス部 第二課長の田口拓也氏は、トラストサービスの普及について次のように語ります。
「近年、テレワークの普及に伴い契約書や見積書、請求書などのデジタル化が進んでおり、コロナ禍でその流れが加速しました。そうした中、電子帳簿保存法の改正もあり、デジタル化された書類の改ざんやなりすましを防止する仕組みであるトラストサービスへのニーズが高まっています」
トラストサービスの主要なサービスの一つが電子証明書の発行です。電子証明書の主な用途は二つあります。一つ目は「認証用途」です。
システムへのログイン、リモート接続、Webアクセス時などに、電子証明書を持っていることでユーザーや利用端末が本物であることを証明します。
二つ目は「署名用途」です。デジタルの契約書や公開文書に電子署名を行うと、署名に付随する電子証明書によって、文書が本人によって作成されたものであることや、その内容が改ざんされていないことを証明できます。納税、雇用保険関係の手続きなどの電子申請を行う場合にも同様の目的で電子証明書が利用されます。また、省庁や地方公共団体などの公共発注機関が運営する電子入札システムを利用するには、電子署名法に基づく特定認証業務として国の認定を受けた電子証明書サービスの電子証明書が必要です。
用途に合わせて様々なMIND電子証明書サービスをラインナップ
MIND電子証明書サービスでは以下のメニューを用意しています。
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● Enterprise Premium電子証明書発行サービス(EPPCERT)
EPPCERTは、企業や組織向けに認証用および署名用の電子証明書を提供します。企業が使いやすい柔軟なサービスが特長です。複数の電子証明書の一括申請が可能で、多数の電子証明書の申請手続き(発行・失効)が簡単に行えます。また、電子証明書の提供のバリエーションが豊富です。提供方法は、ダウンロード形式、CD、USBトークン、ICカードなどの媒体から選択できます。
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● デバイス用電子証明書発行サービス(DeviCERT)
スマートデバイスやパソコン向けに電子証明書を発行・配付します。システムへのアクセスを電子証明書がインストールされた端末に限定する目的で使用されます。セキュリティ事業部トラストサービス部 第二課 合田悠資氏は、次のように語ります。
「ID・パスワードなどの個人認証と、電子証明書による端末認証を組み合わせることでより強固なセキュリティが実現できます。万が一、端末が紛失したときも、電子証明書を失効させることで端末単位で不正アクセスを防止できます」
DeviCERTは証明書をデバイスへ安全に配付するサービスも提供しています。
「不正なユーザーまたは端末に電子証明書を配付してしまった場合は、WEBサイトへのなりすまし防止の効果を十分に得ることができなくなります。
本サービスでは、事前に申請された機器固有のID情報と一致した端末にのみ、電子証明書のダウンロードを許可します。これにより許可されていないデバイスへの配付を防止し、電子証明書の導入効果を高めています」(合田氏)
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● DIACERTサービス(電子申請用電子証明書)
e-Gov、e-Tax、eLTAXなど、国や地方自治体への電子申請、電子納税などの手続きに使用する電子証明書を発行します。これらの用途には国の認定を取得した特定認証業務の電子証明書が必要で、DIACERTサービスはこれに対応しています。DIACERTサービスの特長についてセキュリティ事業部 トラストサービス部第二課 室田邦雄 氏は次のように語ります。
「DIACERTサービスではファイル形式の電子証明書をUSBメモリーに格納してご提供しています。ICカードリーダーなどの周辺機器を用意する必要がなく、システム構築やアプリケーションとの連携が容易となります。『国の認定を取得した特定認証業務の電子証明書』をファイル形式で提供しているトラストサービスは少ないので、それを必要とするお客様から好評を得ています」
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● DIACERT-PLUSサービス(電子入札用電子証明書)
中央省庁や地方自治体などの公共発注機関に対する電子入札に必要な国の認定を取得した特定認証業務の電子証明書をICカードに格納して提供します。
「初めて電子入札を利用されるお客様の中には、申し込み方法やパソコンの設定が分からない方が多くいらっしゃいます。DIACERT-PLUSでは専用のヘルプデスクを設けてこうしたお客様へのサポートを提供しています」(室田氏)
ユーザーに選ばれる理由は信頼性、実績、安定稼動、柔軟な対応
MINDのトラストサービスは、三菱電機グループをはじめ、金融、製造業、インフラ事業、医療など様々な業種のお客様に利用されています。電子申請や電子入札用証明書も含めると、利用者の規模も非常に幅広くなっています。そして、継続利用されるお客様が多いのがMINDのトラストサービスの特徴です。その理由についてセキュリティ事業部 トラストサービス部 第二課 エキスパートの宮﨑洋光氏は次のように語ります。
「MINDの電子証明書サービスは、2002年に電子証明書の発行を始めてから20年以上にわたって蓄積したノウハウがあること、24時間365日の監視体制が整った自社データセンターで運用していること、お客様のビジネスに合わせて幅広く対応できる柔軟性などが強みになっています。またお客様アンケートでは、サービス品質に高い評価をいただいています」(宮﨑氏)2024年度中には、企業などが書類に社印や組織印の電子版である「eシール」の認定制度が開始されることが検討されています。eシールは電子署名と同じく、付随する電子証明書によって組織が発行するデジタル文書の信頼性が確保されます。
「eシールにおいても、トラストサービスにとって重要なのは信頼性です。電子証明書とタイムスタンプの両方で国の認定を受けている事業者はMINDだけです(2024年12月現在)。この信頼性の高さをベースとして、eシール関連サービスにおいてもお客様のビジネスに貢献できるサービスを提供したいと考えています」(田口氏)