環境マネジメントシステム
対象範囲
三菱電機グループでは、三菱電機と三菱電機の主要な関係会社を対象範囲として、ISO14001:2015に準じた環境マネジメントシステムを構築しています。
「環境」の目標と施策に関するPDCA
三菱電機グループでは、「環境ビジョン2050」の実現に向けた目標と施策からなる「環境計画」を策定しています。この環境計画の目標達成に向け、各組織*は単年度の「環境実施計画」を策定して活動します。
- 三菱電機グループは、本社地区の各部、本社地区以外の製作所や支社等の各拠点、及び国内外の各関係会社に「環境推進責任者」を配置し、「環境実施計画」を策定しています

(1)環境実施計画策定
「環境計画」をもとにその年度の達成目標と活動計画を決定します。
(2)進捗・成果確認 ~ (3)年度環境実績報告
三菱電機グループの環境マネジメントの管轄部門であるサステナビリティ戦略部が環境パフォーマンスデータなどをとりまとめ、環境マネジメントの責任者であるサステナビリティ・イノベーション本部長に報告します。必要な場合(グループを取り巻く業務環境に著しい変化があった場合など)は、サステナビリティ・イノベーション本部長がレビューを実施し、計画の見直しを行います。
(4)マネジメントレビュー
サステナビリティ・イノベーション本部長が活動結果のレビューを実施し、必要に応じて環境計画や次年度の環境実施計画の見直しを行います。
各組織は、年度を通じて活動の進捗状況をチェックし、適宜計画の見直しを行う等により、活動レベルの向上に取り組んでいます。
環境推進責任者への情報展開
三菱電機グループでは、三菱電機の各事業所及び国内外の関係会社に「環境推進責任者」を配置して、重点的に取り組むべきテーマなどの情報や方針などを周知するとともに、各事業所活動における「良好事例」や「注意すべき事柄」などの有用な情報を定期的・継続的に共有し、全体の管理レベルの向上に役立てています。
ISO認証
三菱電機は、全社的なコンプライアンス強化と、環境計画に基づく事業での環境貢献の推進強化を図るため、ISO14001:2015認証を、全社を対象とするマルチサイト認証(一括認証)として取得しています。
なお、本書の報告対象の関係会社におけるISO14001の取得割合は約50%です。
環境監査
三菱電機グループでは、下記の複数の環境監査を組み合わせて、各拠点での法規制の遵守状況、環境マネジメントシステムの運用状況、環境実施計画の進捗状況などを多角的にチェックしています。
環境監査の概要
拠点内部での監査 | 拠点間での相互監査 | 関係会社に対する監査 | 監査部門による監査 | |
---|---|---|---|---|
実施主体 | 三菱電機(本社、支社、製作所・研究所)及び関係会社の各拠点 | 三菱電機の各拠点(本社、支社、製作所・研究所) | 三菱電機(本社、製作所) | 三菱電機(本社監査部門) |
監査対象 | 拠点内部で自らの組織以外 | 自らの拠点以外 | 関係会社 | 三菱電機及び関係会社 |
実施頻度 | 年1回 | 年1回 | 2〜3年に1回 | 3年に1回 |
環境事故の防止
情報共有や設備点検を通じて環境事故を未然防止
三菱電機グループは、次のような施策を通じ、国内外を問わず、水質・土壌の汚染や環境に影響を及ぼす物質の漏洩などの環境事故の未然防止に努めています。
関連する法規制については、その改正状況をタイムリーに社内ルールに反映し、eラーニングなどを通じて全従業員の理解・浸透を図っています。不具合(軽微なミスなど)が発生した場合は、その原因や対策を共有し、再発防止に努めています。また、法規制の制定・改定の要点や不具合事例などをまとめた三菱電機グループ(国内)向けのeラーニングなどにより、環境管理のポイントを確実に浸透させ、環境リスク管理への意識向上を図っています。これらに加え、三菱電機グループの各拠点で定期的に設備点検を実施し、その結果を踏まえて、随時必要な対策を講じています。
また、環境監査の実施を通じて、環境リスクの発見と未然防止に努めています。
なお、2023年度は環境関連の違反による行政処分や罰金の支払いはありませんでした。
土壌・地下水汚染への対応
三菱電機グループの事業所(製作所、研究所など)では、土地の形質変更などの機会に法規制に準拠した手法に基づいてアセスメントを実施し、汚染の状況に応じて必要な対策・措置を行うことを社内ルールに定めています。
2023年度は、17件の土地利用に伴う土壌・地下水状況についての調査結果と対策を評価し、すべて適正に対応していることを確認しました。
なお、過去に地下水・土壌の汚染が認められた地区については、法規制に準拠した方法で浄化するとともに、モニタリングの結果を行政に継続して報告しています。
PCB 廃棄物・PCB 使用機器の適切な保管と処理
三菱電機グループ(国内)では、ポリ塩化ビフェニル(PCB)を含む廃棄物(PCB廃棄物)を保管している、又はPCB使用機器を取り扱っている各拠点で、保管・使用状況を年1回以上点検・確認しています。
また、低濃度PCB廃棄物は、2023年度に三菱電機で約17トンの機器類、260トンの汚染土壌、国内関係会社では約10トンの機器類を処分しました。
過去に三菱電機グループ(国内)が製造したPCB使用機器に関する情報については、お客様にご確認いただけるようウェブサイトで公開しています。
環境人財の育成
環境活動に主体的に取り組む人財を育成
三菱電機グループでは、「環境ビジョン2050」の環境行動指針「次世代に向けてイノベーションに挑戦する」に沿った重点取組みの一つとして、「人財育成」を掲げています。
三菱電機グループの従業員一人ひとりが、生活者として、自然と調和する新しいライフスタイルの実現に率先して取り組む社内風土を醸成することを目的に、毎年全グループ従業員向けにeラーニング「三菱電機グループの環境経営」を実施しています。また、高い専門性を持ち、多様な価値観を受け入れ、環境課題に積極的に取り組む人財を継続的に育成しています。教育を効果的に行うため、役割や専門性に応じた教育カリキュラムを運用しています。
環境教育体系
対象者 | 講座・活動名 |
---|---|
環境業務に関連する従業員 | ●環境推進責任者研修 ●環境担当課長研修 ●新任環境担当課長研修 ●MELCOゼミナール*1 |
一般従業員 | ●全グループ従業員向け*2eラーニング「三菱電機グループの環境経営」 ●階層別教育 ・新任課長研修 ・新入社員共通基礎講座 ●海外赴任者研修環境講座 ●自然との共生、環境マインド育成に向けた活動 ・事業所の生物多様性保全 ・里山保全プロジェクト ・みつびしでんき野外教室 ●野外教室リーダー養成/里山保全プロジェクト・みつびしでんき野外教室推進会議 |
- 1 自己のスペシャリティ向上を図り、経営に貢献しようとする従業員への能力開発支援施策
- 2 役員、三菱電機グループと雇用契約のある全従業員が受講対象
環境計画
環境計画2023
環境計画2023(2021~2023年度)は、「環境ビジョン2050」に基づく最初の環境計画です。「カーボンニュートラル」と「サーキュラーエコノミー」の実現に向けて、開発におけるイノベーションを促進し、製品のライフサイクル全体での環境負荷低減を加速します。また本計画から、プラスチック排出物有効利用率についても目標を管理しています。
環境計画2023の目標と、2023年度の実績は下表のとおりです。
再生プラスチック利用率については目標に届きませんでしたが、プラスチック排出物の利用製品事例の社内共有等を通して、今後も継続して改善を図ってまいります。そのほかの目標についてはすべて達成しました。
環境計画2023の目標と実績

環境計画2025
「環境計画2025」は2024~2025年度の環境計画であり、「2030年度までに工場・オフィスからの温室効果ガス排出量実質ゼロ」の実現に向けて、2025年度の温室効果ガス排出量削減目標を設定したほか、三菱電機グループが注⼒する社会課題領域である「カーボンニュートラル」「サーキュラーエコノミー」の両方に貢献するLC-CO2*1排出量の簡易算定や、「30by30*2」の実現に寄与する「ネイチャーポジティブ*3」領域での目標等を設定しています。
- 1 Life Cycle CO2:製品やサービスのライフサイクル全体を通して排出されるすべてのCO2
- 2 2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする目標
- 3 生物多様性の損失を食い止め、回復させること
環境計画2025の評価指標と目標値

- 4 カーボン・オフセットを含む