人財戦略

人財こそ三菱電機グループの価値創造の源泉

阿部 恵成

常務執行役
CHRO(グローバル人財戦略、人事総務担当、人財統括部長)、
広報担当
阿部 恵成

ありたい「人財」 「組織」 「風土」

三菱電機グループのあらゆる事業運営のベースは人財です。社会から認められ、期待される三菱電機グループを創生するため、人財への積極的な投資を進めています。従業員一人ひとりが力を最大限に発揮することで、三菱電機グループの「ありたい姿」の実現と中長期的な企業価値向上を目指します。

基本的な考え方

三菱電機グループは、2025年度に向けた中期経営計画において、経営基盤の強化とDXの推進等による統合ソリューションの提供拡大により、脱炭素化への対応など、活力とゆとりある社会の実現へ貢献することを掲げています。この持続的な成長実現の原動力は人であり、「人=将来の価値を生み出す資本」と捉える「人的資本経営」を、より一層推進します。また、グローバル競争がますます激化する事業環境下、三菱電機グループが社会からの信頼を取り戻し、「循環型 デジタル・エンジニアリング企業」として発展するために、人財=多様・多才な「個」の力を総結集し、あらゆる変革を成し遂げていきます。また、そのために必要な、人的資本への投資を計画的に推進します。

人的資本の価値最大化

事業戦略に資する「人財ポートフォリオ」の実現に向けて

現時点の人財やスキルを前提とするのではなく、将来的な目標からバックキャストする形で、必要となる人財の要件を定義し、人財の採用・配置・育成を戦略的に進めます。

事業戦略に資する「人財ポートフォリオ」の実現に向けて

多様・多才な人財獲得に向けた採用競争力強化

三菱電機は、応募者のキャリアニーズや専門性とのマッチングをより意識した採用活動を積極的に展開し、多様・多才な人財獲得に向けた採用競争力強化を図ります。

新卒採用におけるジョブマッチングの強化

事務系においては、採用内定後に適性や本人希望を踏まえて配属を調整する従来型の「オープンコース」に加え、スタッフ職種を対象に、応募者のニーズや専門性に応じて入社時の配属先職種をあらかじめ定める「職種確約コース」を2023年度より展開しています(2024年4月入社:約30名)。

技術系においては、事業領域・職種・勤務地等が異なるスペックの中から入社時の配属先をあらかじめ定める「配属先指定リクルート制度」に加え、より希少かつ高度な技術領域などにおいて通常の新卒入社者よりも高い水準の処遇条件(給与・賞与)を提示可能とする「配属先指定リクルート制度PLUS」を2023年度より展開しています(2024年4月入社:約10名)。

経験者採用のさらなる拡大

多様な経験を活かして即戦力として活躍する人財の獲得に向け、リファラル採用(従業員紹介)やカムバック採用(退職者の再雇用)により一定規模の経験者採用を継続的に実施しています。

特に、カムバック採用の実効性を高めるため、三菱電機とアルムナイ(退職者)との継続的なつながりを構築する「Re-MELCO~アルムナイネットワーク~」を2023年度より新設しました。

また、第2新卒採用の応募基準から「最終学歴卒業後3年以内」を廃止し、就労経験がある場合は、就労期間の長短は問わず、求職者が自身のキャリア志向に合わせて第2新卒採用か経験者採用のいずれかの選考区分を自由に選択できるよう応募基準を拡大しました。

グローバルな人財獲得に向けた取組み

三菱電機の新卒採用活動では、海外の大学に在学する日本人留学生を主な対象とした大規模採用セミナーへの出展や、国内の大学に在学する外国人留学生を対象とした三菱電機の採用セミナーを開催し、国籍や人種を問わず多様・多才な人財の獲得に取り組んでいます。また、就業体験や業界・職種の理解を深める機会として実施しているインターンシップにおいて、外国人留学生を積極的に受け入れ、仕事のやりがいを感じてもらうことなどを通じて、外国人留学生のキャリア形成支援も行っています。

グローバル・ジョブグレーディングによる戦略的な配置・活用

三菱電機グループでは、グローバル・ジョブグレーディングを導入し、海外拠点含むグループ内の重要ポジションの見える化を進めています。グループ内で経営幹部候補の人財プールを形成・人財把握し、重要ポジションへの配置やタフアサインメントを通じて、事業強化と人財育成を図っています。

また、国籍や人種を問わず優秀な人財を適所に配置すべく、国をまたがった人財の活用に取り組んでいます。2021年度には、日本を介さずに第三国間の人事異動を促進する目的でグローバル・モビリティ・ガイドラインを制定しました。さらに、本国にいながら他国のグループ関係会社の業務に従事するバーチャル・アサインメントの仕組みを段階的に適用しながら、オンラインコミュニケーションを最大限活用したボーダーレスな組織運営に取り組んでいます。

多様・多才な人財の育成

一人ひとりの能力開発を支援する人財育成体系

三菱電機グループの育成制度では、OJTをベースに日常的な業務ノウハウとマインドを伝承していくとともに、OJTでは身につきにくい知識やスキルの習得、キャリア形成を、オンライン研修も積極的に活用しながら、Off-JTで補完しています。Off-JTでは、「倫理・遵法など社会人として身につけるべき知識の付与」「社内外の優れた講師による知識やスキル研修及び動機付け研修」「スキルアップのための検定や競技」「海外拠点や国内外の大学での実習や留学」を実施しており、これらを通して関係会社社員を含め、グループ社員全体のレベルアップを図っています。

新卒者や経験者採用者に対しては、全員に研修を実施し、社会人としての意識付けを図るとともに、基礎知識の付与や、経営理念、コンプライアンスなどの初期教育を実施しています。

また、三菱電機では、個々人がそれぞれの役割・期待にこたえ活躍することを目的に、その各段階で求められる能力やスキルを付与する機会として、階層別研修を導入しています。本研修では特に、若手層に対してはコミュニケーション力強化、中堅層や管理職層に対してはリーダーシップや後進(部下・後輩)の育成を含むマネジメント力強化に重きを置いており、職場全体での育成風土の醸成に取り組んでいます。

管理職については、自部門で仕事をする従業員一人ひとりに応じた支援を行えるよう、職場内でのコミュニケーションの活性化策や傾聴法、ストレス対処法などのスキルの習得支援を図っており、風通しよくコミュニケーションをとることができる職場を実現するために、その中核となる人財の育成を推進していきます。

人財育成体系図(三菱電機)

人財育成体系図(三菱電機)

従業員一人当たりの

年間人財育成・研修投資額(三菱電機)

約147,000円/人
  • 2023年度コーポレート部門主催研修分のみの実績。事業部・製作所主体で行われる研修は含まない(ただし、研修生研修分は実績に含む)

技術・ビジネス力の強化・伝承

三菱電機では、技術・ビジネス力強化を目的として、一人ひとりのニーズに応じて選択受講できるグループ共通の講座を「MELCOゼミナール」として展開しています。470種類以上の講座があり、年間延べ32,000名以上が受講しています。各事業所から参加しやすいようにオンラインでの講座も取り入れています。加えて、三菱電機の重要技術強化のため、最上位講座として「技術系アドバンスコース」を設定しており、当該分野を担うキーパーソンの育成にも注力しています。

また、グループ間で「知の共有」ネットワークを構築しており、その最大組織である「技術部会」では計14部会に約20,000名が参加し、社外講演者による講演会やグループ内での発表会、研究会、各種情報発信などの相互研鑽活動を行っています。イントラネットを通じて若手技術者がベテラン技術者に質問できる、「全社技術相談窓口」も設置しています。

さらに、自身の今と将来に望む姿について、企業人として、また個人としてその理解を深め、気づきを得る学びのプラットフォームとして「Melcollege(メルカレッジ)」をスタートさせました。コンセプトは「~学びあう・教えあう・繋がりあう~コミュニティ」の創造とし、特定の事業や技術領域に縛られることなく、誰もが学んでみたくなるようなセミナー等の企画を通して、三菱電機グループの幅広い事業環境の下、異なる専門性や職掌、年代を超えて、今まで出会うことがなかった従業員同士がフラットにつながれる活動を推進しています。また、一人ひとりのこれまでの学習成果を生かせる相互研鑽の機会を提供することで、学びの場を自ら継続的に活性化して行こうとするマインドセットの醸成を目指しています。

「循環型 デジタル・エンジニアリング企業」の実現に向けては、DXに関わる多様・多才な人財の強化に取り組みます。

技能の強化・伝承

三菱電機グループ技能競技大会

三菱電機グループ技能競技大会

「技能の伝承と技能水準の一層の向上」「技能尊重風土の更なる醸成」「トップレベルの技能者育成」を目的とし、三菱電機グループの技能力強化施策の一環として、技能競技大会を毎年開催しています。製作所の代表が集まる全社大会には約120名が参加し、開会式・表彰式は社長も出席して開催しています。
また、監督者の能力向上策として全社監督者大会や監督者訓練プログラムなどを展開し、各ものづくり現場における技能の伝承を図っています。

日本国内従業員のグローバル化

海外OJT制度の派遣者数推移

海外OJT制度の派遣者数推移

日本国内の従業員を海外関係会社や海外ビジネススクール・大学・語学学校等に派遣し、語学力向上に加えて現地の事業運営や異文化での業務遂行・生活を体感・理解できるプログラムを実施しています。
特に、海外関係会社へ1年間派遣する海外OJT制度は、年間約100名の従業員を海外関係会社へ派遣し、グローバル事業をけん引する人財育成に取り組んでいます。

経営幹部人財の育成

三菱電機では、経営幹部人財向けの育成施策群として、「三菱電機ビジネスイノベーションスクール」を展開しています。2022年度からは内容の見直しを行い、グループ全体でのコンプライアンスやサステナビリティの視点も含め、事業のけん引役となる人財の育成の更なる強化を図っていきます。

また、経営幹部層へのビジネスコーチングの導入、次世代リーダー候補の国内外ビジネススクールへの派遣など、様々な経営幹部育成プログラムを展開しています。

海外関係会社従業員の幹部登用・育成の推進

海外関係会社では、地域に根付いたオペレーション強化及び従業員エンゲージメント向上を目的として、海外関係会社従業員の幹部登用を進めています。育成を通じたキャリア形成やサクセッションプランの策定など、育成・配置を有機的につなげることで、優秀な海外関係会社従業員の幹部登用を推進していきます。

また、各社、各地域における育成施策に加え、三菱電機が主体となり日本国内での研修も実施しています。具体的には、海外関係会社従業員が日本の事業所で技術・技能を身に付けてもらうための研修・OJTや、海外関係会社から選抜された役員・管理職層が三菱電機本社に集まり、三菱電機グループの経営方針や事業戦略の理解に加え、グローバルリーダーとして必要な知識やマインドセットを習得してもらうための研修(MGEP*1、GMW*2)等を実施しています。

GMW*2

GMW*2

海外から研修に参加する中で、参加者自身の成長だけではなく、三菱電機グループとしての一体感の醸成や人的ネットワークの構築ができ、そのネットワークは国境を越えてグローバルでつながっています。
2023年4月には、最初の幹部候補研修参加者より三菱電機の上席執行役員に登用しており、今後も継続して海外関係会社従業員の育成・配置を有機的につなげ、更なるグローバル人財の育成・活用を図っていきます。

海外からの日本国内研修参加者数の推移

  2019 2020 2021 2022 2023 累計(開始以降)
MGEP 7名 新型コロナウイルス感染症の影響により中止 18名 15名 実施なし 53名
GMW 30名 中止 30名 27名 265名
  • 1 Mitsubishi Electric Global Executive Program
  • 2 Global Management Workshop(年度によっては日本国内の選抜人財も1〜2名参加)

公正な評価・処遇

新人事制度導入

三菱電機は人的資本価値の最大化に向けて、2024年度から新しい人事制度を導入しました。

「成長につながる適正評価の実現」と「自律的キャリア開発支援」をコンセプトに、等級・評価・報酬制度を20年度ぶりに刷新し、従業員のキャリアオーナーシップに基づく自律的な成長を促すとともに、マネジメント層にはグローバル基準でのジョブグレード制度を新たに適用し、ジョブ型人財マネジメントへの転換を図ります。

2023年4月に策定した「キャリア開発コンセプト」では、従業員一人ひとりが自分のキャリアについてより主体的・積極的に考え、行動することを促すとともに、会社が個々人の成長実現に伴走・支援していく姿勢を改めて明確化しました。今回導入する新人事制度によって、これまで以上に従業員のキャリアオーナーシップを尊重した自律的な挑戦・成長を支援するとともに、年功的要素を廃し、実際に発揮されたパフォーマンスに直結した透明性・納得性の高い人事評価を徹底することで、従業員のエンゲージメントを高め、人と組織が共に成長する最適な人財マネジメントを実現します。

等級制度

グローバルでの最適な人財マネジメントをかなえるジョブグレード(職務起点)とミッショングレード(人起点)のハイブリット型等級制度の構築と、複線的キャリアパスの拡充を図ります。

管理職を対象とした「マネジメントコース」では、5,000を超えるポジションを職務価値・職責等を基準として6段階で評価し、それにかなう人財を配置する職務起点のジョブグレード制を導入しました。

経営幹部候補者育成プログラムや海外拠点のナショナルスタッフのサクセッションマネジメントとの連動により、グローバルでの人的資源の戦略的育成・配置転換を実現します。

一般従業員を対象とした「プロフェッショナルコース」では、人(能力を踏まえた役割の価値)を起点として、それに応じた役割・職務を付与する従来の考え方を踏襲しながら、役割の価値(ミッショングレード)を再定義して今日的な等級体系を整備しました。早期抜てきの阻害要因となっていた試験制度を完全撤廃し、年功的要素を払拭した優秀人財の早期抜てきを志向します。

加えて、高度専門性(知識・スキル・経験)を活かして経営に貢献するための複線的キャリアパスである「エキスパートコース」「匠コース」を新たに設置し、キャリア選択機会を充実させました。「エキスパートコース」は「マネジメントコース」と同一のジョブグレード制を導入し、同一の報酬体系で処遇します。

評価制度

評価基準をより明確化することで評価の透明性・納得性を向上させ、従業員一人ひとりの成長・挑戦につなげる評価運営を強化します。

評価基準を「成果評価」と「行動評価」の2軸へ明確化

従来の目標達成度に応じた成果評価に加え、変革や挑戦、連携、支援など三菱電機として大切にするコアバリュー(「かえる」「つながる」「ささえる」)を明確化し、その実践度を行動評価として新たに導入しました。さらに、マネジメントコース・エキスパートコースには、人財育成やチームビルディング、DE&I(多様性推進)への取組みを行動評価要素に追加しました。評価軸を成果評価、行動評価の2軸へ明確化し、評価の透明性・納得性を向上させることで、協働性の高い、オープンな組織風土醸成を促進します。

行動評価(コアバリュー評価)項目 行動評価(コアバリュー評価)項目

自律的なキャリア開発・挑戦を後押しする「ME Time」導入

従来の目標管理面談を抜本的に見直し、「ME Time」(ミ―タイム、わたしが成長するための時間)と位置づけ、キャリア面談と目標管理面談を一元化しました。従業員のキャリアプランや目標の実現・成長に向けて、会社と上司が伴走し、自律的キャリア開発を支援するとともに、やる気と納得性を向上させるための育成的フィードバックを重視した仕組みへ見直しました。

報酬制度

評価を報酬へダイレクトに連動させることで、わかりやすく、脱年功のメリハリ運営をかなえる報酬体系を整備しています。前年度の成果・行動評価によって決定した総合評価をそのまま賃金・賞与に反映します。賞与においては、従来、等級ごとに設定されていた定額部分や所属する部門の事業業績に基づき支給されていた加算部分を廃止し、個人の総合評価のみで賞与額が決定する仕組みに見直すことにより、事業や部門間の格差を是正し、個人の業績に応じたメリハリある処遇を実現します。

キャリアオーナーシップの強化

三菱電機では、自律的なキャリア開発による従業員の成長実感・やりがいの実現が会社の持続的な成長につながるとの考えのもと、多様・多才な人財が自律的にキャリアを構築しながら能力を存分に発揮して活躍できる環境を整備し、従業員一人ひとりのキャリアオーナーシップ強化を推進しています。

2023年4月には、従業員一人ひとりのキャリアオーナーシップ強化に向けた会社方針の明確化を目的に、三菱電機における「キャリア開発」のコンセプト「自分を育てる、を育てる」を策定しました。このコンセプトには従業員一人ひとりが自身のキャリアと向き合い、主体的な行動を促すメッセージを込めるとともに、会社・管理職として従業員のキャリアを伴走・支援する姿勢を示しています。

また、コンセプトの考え方や三菱電機キャリア開発支援施策など従業員向けの情報をまとめたキャリア開発デジタルパンフレットを発行し従業員一人ひとりへの浸透を図るとともに、コンセプトを軸とした研修施策や自律的なキャリア開発に資する異動機会の提供を行っています。さらに、新しい人事制度において、キャリア面談と目標管理面談の一元化によるキャリアプラン策定・上司との対話機会を導入するとともに、社内外のキャリアコンサルタントによるキャリア相談窓口の拡充や、自発的な能力開発支援施策など、従業員のキャリア開発支援強化に向けた人への投資を積極的に進めています。

従業員のキャリア開発に資する異動機会の提供

三菱電機では従業員の自律的なキャリア開発を支援するために、社内求人制度(Job-Net)と社内求職制度(Career Challenge制度)を導入しています。

社内求職制度は、従業員が自らのキャリア志向・経験・スキル等を社内システムに登録し、求人部門がオファーする制度です。

社内求人制度・社内求職制度共に、従業員と求人部門の相互マッチングにより異動が実現できる制度となっており、2023年度は約300名の従業員が本制度を利用して異動を実現しています。

年代ごとに行うキャリア開発プログラム

毎年1回、30歳、40歳、及び50歳、53歳を迎える従業員を対象に、各事業所で「ライフデザイン30研修」「ライフデザイン40研修」「キャリアアクション50・53」を実施し、以降の人生設計、生活設計に対する関心を深めてもらうため、キャリアデザインや退職金・健康など中長期的なライフプランについて講義するとともに、グループディスカッションを行っています。

特に、2023年度より早期からのキャリアデザイン、人生・生活設計に対する関心を高めてもらうため、30歳でのライフデザイン30研修を新設するとともに、2024年度からはシニア層(50代)のキャリア自律の支援、特に自ら選択したキャリアの実現に向けた準備や行動を起こすきっかけとすることを目的としたシニア向けキャリア研修(キャリアアクション50・53)を導入しています。

持続的な成長に向けたDE&I(Diversity, Equity & Inclusion)

三菱電機グループ DE&Iステートメント・定義

多様で多才なすべての従業員がそれぞれの個性や能力を最大限に発揮し活躍することは、持続的な事業発展や企業価値向上のために重要です。三菱電機グループとして、DE&Iについての共通理解や道しるべをもつと同時に、すべてのステークホルダーの方々に三菱電機の姿勢と行動を宣言するため、2024年に三菱電機グループDE&Iステートメント・定義を策定しました。ステートメントにおいては従来明確に示していなかったEquityという観点も入れています。これは、あらゆる環境変化に立ち向かい、新たな価値を創造して協働するためには、多様な個を総結集するのみならず(Diversity)、一人ひとりの成長のための公平な機会や支援の提供(Equity)があってこそ、自分らしさと高い帰属意識を実感(Inclusion)できると考えたためです。キャッチコピーは、「Be myself, DEI&ME、一人ひとりが自分らしくいることで、私(me)と三菱電機グループ(Mitsubishi Electric)が輝く」です。本ステートメントに沿って、三菱電機グループ全体でこれまで以上にDE&I推進に向けた取組みを加速していきます。2024年7月にはDE&Iステートメントのもと、DE&I推進における情報発信の強化として、DE&Iサイトを制作、公開しております。今後もコンテンツをさらに充実させ、DE&I推進に取り組むすべての方に向けた情報発信の場として展開します。

三菱電機グループ DE&Iステートメント・定義

推進体制

2021年4月に人事部内に「ダイバーシティ推進室」を設立し、従来から取り組んでいた女性や育児をする従業員の個人生活の充実とキャリア形成に関する支援施策に加え、より広い概念で、従業員の働き方や多様性を認め合えるような職場環境・風土を目指した各種取組みを実施してきました。

2023年4月には「ダイバーシティ推進・人事企画グループ」に組織改編し、ダイバーシティ推進を女性管理職登用推進も含めたタレントマネジメント全般の取組みの一つとして捉え、全社の組織配置機能と融合し施策を推進してきました。そして、2024年4月、「サステナビリティ・イノベーション本部」の新設に合わせ、三菱電機のDE&Iの方針・戦略・関連主要施策について当該本部と一体となり推進とグループ内外への発信・浸透をはかるため、「DE&I推進室」として組織を独立しました。「人財統括部・グローバル人財部」「サステナビリティ・イノベーション本部」両部傘下の組織として、今後取組みを加速します。

「D&I AWARD 2023」において最高評価である「ベストワークプレイス」に認定

2023年には、これまでのDE&I推進活動が評価され、JobRainbowが運営する、ダイバーシティ&インクルージョンに取り組む企業を認定・表彰する日本最大のアワードである「D&I AWARD 2023」において最高評価である「ベストワークプレイス」に認定されました。

ジェンダーバランスに向けた取組み

三菱電機は、「女性活躍推進法」*に基づく行動計画を策定し、次表の通り目標を定めています。現行の行動計画ではこれらの目標達成に向けて、採用、育成・登用、定着の3つの観点から各種取組みを行っています。こうした取組みが評価され、三菱電機は、女性の活躍推進に関する取組みを推進する優良企業として、厚生労働大臣認定「えるぼし(2段階目)」を取得しています。

  • 2016年に施行された女性の個性と能力が十分に発揮できる社会の実現を目的に、国・地方自治体・一般事業主の女性活躍推進に関する責務を定めた法律

女性活躍推進法に基づいた三菱電機の行動計画(達成時期:2025年度)

取組み項目 目標 2023年度実績
女性管理職比率 2倍(2020年度比) 1.63倍
新卒採用に占める女性比率 1.2倍(2016-2020年度平均比)*1 1.2倍(2021-2023年度)*1
男性の育児休業取得率*2 70% 85.1%
  • 1 2021年度からの通算
  • 2 育児目的の特別休暇の取得者を含む

採用、育成・登用、定着に向けた取組み

様々な事業分野・職種・役職で活躍する女性社員との交流会や、育児と仕事の両立を実践する従業員によるセミナーなどを実施しています。また、多様な働き方や様々なキャリアを紹介するウェブサイトの制作、大学OGの従業員とのキャリア相談に関する座談会などを通じて、性別や年齢を問わず三菱電機でいきいきと働くイメージを持ってもらえるよう積極的に情報発信をしています。

また、理系人財が多く活躍する三菱電機において、中長期視点で社会課題である理系分野におけるジェンダーギャップ解消や理系女性の母数を増やす活動として、2024年から山田進太郎D&I財団「Girls Meet STEM Career」へ参画しました。女子中高生向けにオフィスツアーや理系女性社員との座談会を実施しています。

女性社員向けキャリアフォーラム

ワーク・ライフ・インテグレーションを意識した前向きなキャリアビジョンを形成するための気づきや育成機会、また社内女性同士のネットワーキングの機会として、女性社員向けのキャリアフォーラムを開催しています。毎年約200名が参加し、社長も参加の上、女性社員に向けたメッセージや直接対話を行うとともに、社外女性リーダーによる自身のキャリアや働くことへの考えについての講話を実施し、先輩社員の経験談やグループディスカッションを通じて、女性社員自身の自律的思考・行動の促進やネットワークづくりを支援しています。本社でのフォーラムのほか、事業所単位の交流会なども随時開催しています。

2023年は、従来までは年1回開催としていたものを入社3年目と入社5~10年目と2回に分けて開催し、キャリアやライフステージが近い女性社員同士のつながりや共通の悩みを共有・相談できるようなプログラムとしました。

経営層・管理職向け意識改革・マネジメント力強化

新任管理職研修においてDE&I推進の必要性や女性活躍推進に関する教育を織り込み、経営的意義、マネジメントにおける留意点などを説明し、管理職の意識啓発やマネジメント力の強化に取り組んでいます。また2023年には、DE&I推進や女性活躍推進において阻害要因となりえるアンコンシャス・バイアスを意識してコントロールするスキルを獲得してもらうことを目的に、全経営層・管理職を対象にアンコンシャス・バイアス研修を実施しました。

こうした研修以外の施策として、2021年より女性管理職候補者を見える化し、計画的な育成及び配置を行うためのプログラムを開始しています。現在は、性別等の属性にかかわらず、管理職候補者を見える化し、中期的な育成及び配置計画を策定することで、多様な人財の登用を目指しています。
加えて、2024年より、企業の重要な意思決定機関に占める女性の割合向上を目指す世界的キャンペーン「30% Club Japan」に加盟しており、経営トップコミットのもと、三菱電機ひいては社会全体の女性活躍推進に一層取り組んでいきます。

女性社員エンパワーメントの取組み(国際女性デーイベント)

ジェンダーバランスや女性エンパワーメントに資する活動の一つとして、2024年3月、毎年3月8日の国際女性デーにあわせて三菱電機として初めてイベントを企画・開催しました。本社ビルのオープンスペースにシンボルフラワーのミモザを飾り、社長、CHRO、女性リーダークラスからのメッセージ展示や、女性のエンパワーメントに関わる世の中の動きや女性の働きやすさ向上に向けた社内の取組み・制度の紹介、関連商品(お弁当、ドリンク、クッキー)の提供を行いました。

障がい者雇用の推進

三菱電機グループでは、サステナビリティやダイバーシティ推進の観点から、各社で障がい者の積極的な雇用を進めており、障がい者が働きやすい職場環境の整備を目指し、バリアフリー化などの取組みも進めています。

2014年10月に主に知的障がい者の方に適した業務を社業とする特例子会社*「メルコテンダーメイツ株式会社」を設立しており、特例子会社を含めた雇用率は2024年3月15日時点で2.54%となっています。

障がい者雇用率推移

障がい者雇用率推移

メルコテンダーメイツ株式会社の社名は、健常者社員、チャレンジド社員(障がいのある社員)の双方が対等な職場のパートナーであることと、慈しみ合う仲間たちという意味を表現しています。クリーンサービス事業、クッキー事業、カフェ事業、名刺事業、給食事業、健康増進事業(マッサージ施術)などを中心に事業を展開しており、2024年3月15日時点で122名の障がい者を雇用しています。
2020年度に名古屋事業所、2022年度に姫路事業所、2023年度に伊丹事業所を開設するなど、今後も徐々に事業を拡大し、チャレンジド社員の雇用を更に推進していく計画です。

  • 「障害者の雇用の促進等に関する法律(障害者雇用促進法)」により一定の要件を満たした上で、厚生労働大臣の許可を受けて、親会社(三菱電機株式会社)の1事業所(親会社に雇用されている)とみなされ、特例として親会社の障がい者雇用率に織り込まれる会社
カフェ事業 カフェ事業
クッキー事業 クッキー事業
名刺事業 名刺事業

LGBTQ に対する取組み

三菱電機では多様性を互いに尊重し、一人ひとりの能力を最大限に発揮し、いきいきと働ける職場環境の実現を目指して、性の多様性(LGBTQ)への理解を深める取組みを推進しています。ソフト面(理解促進・浸透)では、毎年6月を「MELCO PRIDE MONTH」として位置付け、経営層によるメッセージ発信を通じたトップコミットメントや、多様な性を理解する取組みの実施(LGBTQ理解のセミナー、映画上映会、従業員向けのeラーニング等)、LGBTQ当事者を理解・支援する人たちが自由に参加できる社内コミュニティ活動(専用teamsの立ち上げ、外部講師を招いた定期勉強会の開催等)、社外プライドイベントへの参加等を通して、社内における理解促進や浸透を進めています。

ハード面(制度等)では、同性婚のパートナーも配偶者として認めるよう就業規則を見直し、法的な婚姻関係にある方と同じく配偶者に認められる各種制度を適用できるような制度の導入、LGBTQ当事者だけでなく職場の上司や同僚等も相談できる「社外相談窓口」の設置を行っています。

こうした取組みが評価され、任意団体「work with Pride」が策定した、日本の職場におけるLGBTQなどの性的マイノリティーへの取組み評価指標「PRIDE指標」にて、2021年は「シルバー」、2022年・2023年度は2年連続「ゴールド」を受賞しました。今後は、三菱電機単体のみならず、グループ全体も巻きこんだ取組みとして大きくしていきたいと考えています。

従業員のWell-being

三菱電機におけるWell-beingの考え方

三菱電機グループでは、2050年に目指す社会を「笑顔あふれる持続可能な社会」と定義しサステナビリティ経営に取り組んでいます。

これは取引先やお客様、そして三菱電機グループ従業員など幅広いステークホルダーが幸せを感じられる社会を意識したものです。

三菱電機におけるWell-beingは「三菱電機で働く従業員と従業員が大切に想う人が身体も心も充実していて幸福を実感している状態」と捉え、「三菱電機で働く多様・多才な人財がWell-beingを実感していることが、サステナビリティ経営の原動力となる」という考えのもと、Well-beingを高める取組みを推進していきます。

Well-beingを高めるための着眼点・取組み

Well-beingを高めるための方法は世界中で広く研究されています。三菱電機では先行研究*を参考としてWell-beingを高めるための着眼点を5つに定義しました。

三菱電機で働く多様・多才な人財のWell-beingを高めるために以下5つの着眼点に沿った施策をバランスよく推進していきます。

1働きやすさ
2キャリア・やりがい
3心身の健康
4私生活の安定・充実
5人間関係
  • PERMA理論(Martin Seligman) SPIRE理論(Tal Ben-Shahar) 幸せの4つの因子(前野隆司)

働きやすさ

三菱電機では、Well-beingを高める着眼点の一つとして「働きやすさ」を掲げています。職場環境投資や柔軟な働き方の推進等を通じた働きやすい職場風土の実現により、従業員のWell-beingを高めていきます。

安心していきいきと働ける職場環境の実現

組織風土改革

三菱電機グループは、グループ内で2019年度までに複数の労務問題が発生したことを真摯に受け止め、「風通しよくコミュニケーションができる職場づくり」「メンタルヘルス不調者への適切なケアの徹底」等を目指し、「三菱電機 職場風土改革プログラム」に取り組んできました。本プログラムについては、2021年度に短期重点施策の適用を完了させ、2022年度からは長期取組み施策とした「エンゲージメント向上」「コミュニケーション活性化」「組織文化・マインド醸成」に関する施策を展開してきましたが、今後はそれらの取組みを3つの改革の中の「組織風土改革」と一体化させ、より一層強力に実行していきます。

また、従業員がいきいきと活躍できる職場環境を実現するための指標として「働きがい」や「ワークライフバランス」についての指標(KPI:Key Performance Indicators)を定め、定期的にモニタリングすることにより、更なる組織風土や職場環境の改善や定着に引き続き取り組んでいきます。

取組みの評価指標の推移

2023年度下期の従業員エンゲージメントスコアは僅かながら改善しました。引き続き、経営層と従業員との対話を行う場の充実や職場における上司と部下のコミュニケーション活性化策(1on1ミーティング等)の展開、形骸化した過度な業務の改善、従業員のキャリア形成・開発支援策の充実、各種人事制度改定等の組織風土改革に関する施策を強力に実行し、改善を目指していきます。

KPI

2021年度

上期結果

2021年度

下期結果

2022年度

上期結果

2022年度

下期結果

2023年度

上期結果

2023年度

下期結果

2025年度

目標

従業員エンゲージメントスコア

(当社で働くことの誇りややりがいを感じている従業員の割合)*

61% 54% 54% 54% 54% 55% 70%以上
仕事と生活のバランスが取れていると回答した従業員の割合 66% 65% 65% 66% 68% 68% 70%以上
  • 毎年実施(2021年度からは年2回実施)する「従業員意識サーベイ」の対象5設問に対する良好回答割合の平均値「当社で働くことの誇り」「貢献意欲」「転職希望」「他者に対する当社への入社推奨」「仕事を通じた達成感」

職場環境整備

持続的成長を実現していくためには、従業員一人ひとりが限られた時間の中でその能力を最大限発揮できる職場環境づくりが重要と考えています。誰もが安心して、いきいきと働ける職場環境の実現に向けて、職場環境への投資を積極的に実施していきます。

働き方改革ときめ細やかな労働時間管理

三菱電機では、2016年度から「社員が仕事と生活のバランスをとりながら、心身の健康を維持し、いきいきと働ける職場を実現する」ことを目的とした「働き方改革」を経営における重要施策に定め、業務効率化・生産性向上や総労働時間の削減に資する様々な施策を推進してきました。「働き方改革」は三菱電機が取り組む各種変革活動の起点となるものであり、今後も経営において当然に組み込まれたものとして、業務DX化・生成AIの積極活用、トップ主導による業務削減、チーム内で課題解決ができる自走する組織の実現等の各種活動を加速させていきます。

一人・月あたり所定就業時間外時間推移(管理職含む)

一人・月あたり所定就業時間外時間推移(管理職含む)

また、多様・多才な人財の確保・定着(採用競争力・リテンション強化)、Well-being向上、健康経営、自律的なキャリア開発などを実現し、従業員一人ひとりが高いレベルで仕事と生活の良好なバランスを実感し続けるために、上記の活動による長時間労働の更なる削減と同時に入退場時刻やパソコンのログオン・ログオフ時刻などの客観データを用いたきめ細やかな労働時間管理を行っています。これらの結果として、2023年度の一人・月あたりの所定就業時間外時間は2019年度比で約14%減少しており、一定の成果を上げているものと考えています。

柔軟な働き方を支援する取組み

育児・介護等に関する制度の整備と浸透

三菱電機では、従業員が安心して育児・介護と仕事を両立できるよう、法定を上回る両立支援制度を充実させ、職場環境の整備に努めています。三菱電機の「育児休職制度」は子が1歳到達後の3月(特別な事情がある場合は2歳到達後の最初の3月末日まで延長可能)まで、また「育児短時間勤務制度」は最長で子が小学校卒業の3月末まで取得することが可能です。「介護休職制度」は対象となる家族について最長2年間、また「介護のための短時間勤務制度」も最長3年間を超えて取得することが可能です。このほか、次世代育成支援の観点から不妊治療のための「出産支援休職制度」や、子育て中の従業員が学校行事参加などの際に利用できる「特別有給休暇制度(セルフサポート休暇制度)」、「リモートワーク制度(在宅勤務制度等)」や、育児・介護などを理由に退職した従業員を対象として再雇用する「再雇用制度」を整備しています。また、介護と仕事の両立は従業員の潜在的需要が高いと考えており、2023年には介護と仕事の両立支援セミナーの開催と、介護相談窓口の新設を行いました。

こうした取組みをより従業員に浸透させていくため、仕事と育児の両立支援制度の一覧や、子育てしながら働く女性社員へのインタビューなど、両立に役立つ関連情報を掲載したポータルサイトを運営し、積極的に情報発信しています。さらに、これらの取組みについて、対象となる従業員だけではなく、管理職や新入社員に対して、周知や両立支援に対する意識啓発などを行い、各種制度を活用しやすい職場環境づくりに取り組んでいます。今後も、従業員が個人生活の充実と自らのキャリア形成を追求することができる職場風土の醸成に努めていきます。

直近の主な育児・介護などに関する制度の整備状況

勤務地変更申請制度 導入 結婚や配偶者の転任等による転居に伴う同居を目的とし、配偶者居住地区への異動を希望できる制度
育児休職復職先選択申請制度 導入 育児休職からの復職先職場に関する意思表示ができる制度
リモートワーク制度 拡充 全従業員を対象、回数上限の撤廃、勤務場所についての拡充

企業主導型保育園

マッチングサービス 導入

保育園を探している従業員と空きのある企業主導型保育園をマッチングするサービス
遠隔地勤務制度 導入 勤務する事業所の通勤圏外に居住しリモートワークを中心とした業務を行う制度(2021年度からトライアル導入)
出生時育児欠勤制度の新設など 2022年に改正の育児介護休業法に対応して、出生時育児欠勤(賃金控除なし)の新設や育児休職を取得しやすい環境整備等を実施
出産支援休職制度 期間拡大 不妊治療のために取得できる休職期間を12カ月から30カ月に拡大

キャリア支援休職制度

配偶者海外転任随伴の期間拡大

キャリア支援休職のうち、配偶者の海外転任への随伴のために取得できる休職期間を3年から5年に拡大

特別有給休暇制度(セルフサポート休暇制度)

セルフサポート休暇制度とは、各人の休暇年度末に年次有給休暇の切り捨てが発生した場合、20日を限度に積み立て、次年度以降に繰り越すことができる制度です。

従業員本人が子の学校行事への参加や療養・介護・看護・ボランティアなどを行う場合、会社の承認を受けたときはセルフサポート休暇を取得することができます。

遠隔地勤務制度

三菱電機は従業員の働く場所にとらわれない多様な働き方を実現するため、勤務する事業所の通勤圏外に居住しリモートワークを中心とした業務を行うことを可能とする「遠隔地勤務制度」を導入しています。2021年度のトライアル導入を経て、2022年度から本格導入し、家族との別居解消や育児・介護への参画など、従業員一人ひとりのライフスタイルに応じた働き方を実現します。

個々人の事情に応じたキャリア継続のための制度

三菱電機では昨今の個々人の家庭環境や就労価値観の変化、それに伴う従業員のキャリア希望の多様化等を踏まえ、育児・介護などの事情を抱える従業員もキャリアを継続できるよう各種制度を導入しています。配偶者の海外転任への随伴、自己研さんやボランティア活動を理由に休職ができる「キャリア支援休職制度」や、育児・介護及び持病等による治療のため転居が困難な従業員に対して「最大3年間、転居を伴う異動を対象外とする制度」などを設けています。

キャリア・やりがい

三菱電機では、従業員一人ひとりの「キャリア自律」や「やりがい」もWell-beingを高める着眼点であると考えています。キャリア自律支援策の強化などにより一人ひとりの成長実感・達成感を高め、やりがいを引き出していく取組みを推進していきます。

心身の健康

健康経営の推進

三菱電機では、多様・多才な人財が活躍できる環境の基盤として、心身ともに健康でいきいきと働ける環境の実現を目指し、健康経営を推進しています。

「三菱電機グループ健康経営宣言」を発信し、組織全体における方針を明確化するとともに、各種人事諸施策と一体化し、Well-Beingの向上に向けた総合的な取組みを行っています。また、会社・労働組合・健康保険組合の三者協働の健康増進事業である『MHP「いきいきワクワクACTION」』では各事業所に「MHP推進リーダー」を配置しており、トップダウンだけでなくボトムアップによる積極的な活動展開を実施、様々な健康増進活動に取り組んでいます。

こうした取組みの可視化とグループ全体の企業価値向上を目的として、「健康経営優良法人認定」取得についてもグループ全体で推進しています。

女性特有の健康課題への取組み

女性特有の健康課題について、人財活躍・組織活性化に直結する重要課題と捉え、性別・世代を問わず健康リテラシーを高めるための取組みを行っています。直近では「月経」「不妊治療」といった視点から外部講師を招いたセミナーを開催し、利用可能な制度も紹介することで、多くの従業員から「理解が深まった」等の反響を得ました。

私生活の安定・充実

「生活基盤の安定・充実化」も従業員のWell-beingを高める重要な着眼点です。三菱電機では、経済生活基盤の安定と拡充、従業員や家族との心のふれあい・豊かな人間性の創造、心身の健康の維持増進を目指し、各種福利厚生制度を整備しています。

経済生活基盤の安定と拡充の観点では、寮・社宅・家賃補助制度などの住宅支援制度、団体保険制度、従業員持株会、財形貯蓄制度、カフェテリアプラン等を導入しており、従業員や家族との心のふれあい・豊かな人間性の創造の観点では、従業員親睦会を母体とした各種文化体育クラブ活動への支援、グループ従業員専用保養所、互助会による給付金制度など様々な制度を導入しています。

カフェテリアプラン

従業員一人ひとりの自立や価値観の多様化を尊重し、選択性のある福利厚生制度により個人の幸福の実現をサポートすることを目的に2004年からカフェテリアプランを導入しています。

カフェテリアプランでは、年度初に83,000円分のポイントを付与し、それぞれのライフステージやライフスタイルに合わせて必要なメニューを自由に選択し補助申請することができます。

育児や介護と仕事の両立支援のため、育児・介護サービス利用料補助等のメニューは通常ポイントの2倍の補助を支給しています。

住宅支援制度

2024年度には、人への投資・人的資本経営の観点から、多様・多才な人財が集い・活躍する基盤となる“働きがいのある職場環境”を実現するため、寮社宅・家賃補助制度の大幅な見直しを実施しました。具体的には居住地変更を伴う転任者・単身赴任者に対する家賃補助水準の改善及び賃料に対する補助割合の改善等を行いました。また独身者に対しては独身寮と家賃補助の選択制を導入し多様なニーズにこたえられる制度へ改定しました。

人間関係

三菱電機は、一人ひとりの個性が混ざり合い、その個性が最大限に発揮される「心理的安全性」の高い職場の実現も従業員のWell-beingを高めると考えています。

三菱電機グループが目指す人間関係の理想像は「組織の方針の実現に向けて内容の巧拙や意見の相違に関わらず、また人間関係の悪化や失敗を心配することなく、いつでも、誰もが、誰に対して発言しても歓迎される」状態です。ときには「健全なコンフリクト」をいとわずに本音で議論できる「良好で強固な人間関係」を目指し心理的安全性を高める取組みを推進しています。

三菱電機では心理的安全性を高めるために「心理的安全性ガイドライン」を策定し全従業員に公開しています。ガイドラインには「心理的安全性を高めるためのTips(リーダー向け・メンバー向け)」や「ケーススタディー」を織り込み職場単位で実践的に活用できる内容としています。また、毎年実施している従業員意識サーベイに心理的安全性に関する設問を追加しモニタリングの仕組みを導入しています。PDCAサイクルを回し、心理的安全性が高いインクルーシブな環境(=良好で強固な人間関係)の創出を実現していきます。