Vol.103
カタリナ彗星を眺めてみよう
2013年10月31日、アメリカのアリゾナ大学月惑星研究所の地球近傍小天体捜索プロジェクト、カタリナ・スカイ・サーベイが一つの彗星を発見した。カタリナ彗星(C/2013 US10)である。かなり遠方で発見された彗星である。遠方で見つかると言うことは、それだけ大きな彗星と期待できる。その後、2年ほどかけて太陽に近づいてきたが、実際に近づくにつれて順調に明るくなっていき、昨年末から天文ファンの間では、ちょっとした話題になっている。昨年11月には、太陽に0.8天文単位にまで近づき、6等級に達して、扇型に広がった尾を見せはじめ、双眼鏡でも見えるようになった。
今年に入って、明け方の空に現れてきて、6等から7等の明るさを保っている。なにしろ、淡く広がった天体である彗星なので、夜空の明るさが見え方に大きく響く。光害があるような都会だと、ほとんど期待できない。しかし、夜空が暗い場所であれば、双眼鏡であれば、わずかに拡がりを持ち、やや緑色に輝くコマが見える。
とりわけ、この1月から2月は観察条件が良い。地球への最接近は1月17日で、地球に0.7天文単位まで接近するからだ。すでに近日点を過ぎて、太陽から遠ざかりつつあるために、彗星そのものは暗くなりつつあるが、地球に近づいてくるので、明るさは保ったままで推移している。
さらに、この時期は夜空の透明度もよいことも味方している。もうひとつ、観察条件が良いのが、カタリナ彗星の位置である。なにしろ北の空で、周極星になっているからだ。周極星とは、一晩中地平線下に沈まない星のことだ。つまり、北の空でいつでもみえているということを意味する。一晩中見えているので、都合の良いときに観察すれば良いのだ。1月中旬には、カタリナ彗星は北斗七星のひしゃくの柄の先端に位置する、おおぐま座η星に近づいた。双眼鏡であればη星を視野に入れれば、カタリナ彗星が簡単に見つかったはずである。ここから、どんどん北極星に迫っていき、2月1日には、あと8度という所まで接近する。この頃は下弦の月である。月明かりがあると見にくいかも知れないので、下弦の月が昇る前、夜半前が観察しやすいかもしれない。なにしろ、一日中沈まない周極星なので、北極星のまわりをぐるっと探してみたい。ちなみに、カタリナ彗星は、この後、北極星から離れていき、3月半ばには周極星ではなくなってしまう。同時に急速に暗くなっていくはずだ。3月になると、カタリナ彗星の明るさは8等台に落ちてしまうと予想されているので、双眼鏡でもなかなか見つけにくくなるだろう。その意味では、観察のチャンスは2月上旬までだろう。寒い時期の冬の北の空に輝くカタリナ彗星を皆さんもぜひ探してみて欲しい。