三菱電機株式会社は、パワー半導体の新製品として、再生可能エネルギーの電源用電力変換機器の小型化・低消費電力化に貢献する「産業用LV100タイプ 2.0kV IGBT※1モジュールTシリーズ」のサンプル提供を2022年5月から開始します。なお、本製品は「PCIM Europe 2022」(5月10日~12日、於:ドイツ連邦共和国・ニュルンベルク)に出展します。
近年、低炭素社会の実現に貢献するキーデバイスとして、電力を効率よく変換するパワー半導体の需要が拡大・多様化しています。特に、再生可能エネルギーを電源とする電力系統では、システム動作電圧の高電圧化による電力変換効率の向上が求められており、システム内部で使用されるインバーターなどの電力変換機器においては、安全性の評価基準である低電圧指令※2の上限電圧DC1500Vに対応する機器への需要が高まっています。
今回、当社がサンプル提供を開始する「産業用LV100タイプ 2.0kV IGBTモジュールTシリーズ」は、主に数百kWから数MWクラスの大容量システム用として、DC1500Vの電力変換機器に適応した2.0kV耐電圧製品で、再生可能エネルギーの電源需要に対応します。2.0kV耐電圧素子の採用で、お客様によるDC1500V電力変換機器の設計を簡易化し、第7世代IGBTとRFCダイオード※3をIGBTモジュールに搭載することで、再生可能エネルギーの電源用電力変換機器の小型化・低消費電力化に貢献します。また、並列駆動が容易で大容量化に適した産業用LV100タイプの外形パッケージを採用したことで、大容量システム設計の簡素化にも貢献します。
新製品の特長
- 2.0kV耐電圧IGBT製品で、DC1500V電力変換機器の設計簡易化を実現
- 従来の1.7kV耐電圧の製品では対応困難であったDC1500V電力変換機器の設計を簡易化する2.0kV耐電圧の製品を新たにラインアップし、再生可能エネルギーの電源需要に対応
- 第7世代IGBTとRFCダイオード搭載で、電力変換機器の低消費電力化に貢献
- 独自のCSTBT™※4構造を採用した第7世代IGBTおよびRFCダイオードを、高耐電圧仕様にそれぞれ最適化し、トレードオフ関係にある高電圧動作対応と低電力損失を両立
- 再生可能エネルギーの電源用電力変換機器の低消費電力化に貢献
- 産業用LV100タイプのパッケージを適用し、インバーターの大容量化に貢献
- 端子配列の最適化によりIGBTモジュールの並列接続が容易となり、さまざまなインバーター構成・容量に対応
- AC主電極を3端子備え電流を分散することで電極端子の発熱を緩和し、インバーターの高出力化に貢献
- 絶縁部と銅ベース部を一体化した構造の採用によるサーマルサイクル寿命※5の向上と、内部電極構造の最適化による低パッケージインダクタンスの実現により信頼性が向上
- ※1
Insulated Gate Bipolar Transistor:高耐圧絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ
- ※2
特定の電圧限度内での使用のために設計された電気機器に関する加盟国の法律の近似化のための欧州議会、並びに、欧州閣僚理事会指令
- ※3
Relaxed Field of Cathode Diode:カソード側の電子移動度を最適化した当社独自のダイオード
- ※4
キャリア蓄積効果を利用した当社独自のIGBT
- ※5
システムの起動、停止で生じる比較的緩やかな温度変化に起因する寿命