ニュースリリース

三菱電機株式会社は、レーザー光線を利用した宇宙光通信機能と、レーザー光線の受信方向を検出する受信方向検出機能を統合した宇宙光通信用光受信器を、地上光ファイバー通信などで使用される汎用的な1.5μm帯において、世界で初めて^※ 開発しました。

近年、土砂災害等における現場状況の把握などで人工衛星による撮影画像が多く利用されていますが、これまでの電波を利用した衛星通信では、高精細な画像データをリアルタイムに送受信するには、データ容量やアンテナサイズなどに制約がありました。今後、防災・減災に向けて、より早く高精度に現場状況を把握するために、光ファイバーが不要で大容量・高速な宇宙光通信が求められています。

一方、宇宙光通信は、電波に比べて約1000分の1の広がり角で非常に狭いレーザー光線を使用するため、高速で移動する人工衛星との間で互いにレーザー光線の進行方向を高精度に合わせる専用のセンサーが必要で、受信器のサイズが大きくなる課題がありました。

当社は今回、宇宙光通信機能と受信方向検出機能を統合することで、光受信器の小型化を実現するとともに、レーザー光線の位相を利用したコヒーレント光通信を可能としました。これにより宇宙光通信において、電波による通信に比べ10倍以上の大容量化・高速化、長距離通信を実現します。また、レーザー光線は電波に比べて波長が短く、アンテナサイズも小型化できます。そのため、ビル間などの光ファイバーを敷設しにくい場所や、災害時など通常のインフラが機能していない状況、基地局の設置が難しい発展途上国や砂漠などで、移動体への搭載や既存の施設内への設置も容易になり、さまざまな状況での利用拡大に貢献します。