三菱電機株式会社は、業務用無線機に搭載される高周波デバイスの新製品として、763MHzから870MHzの周波数帯域で業界最大※1の出力電力50Wと総合効率※2 40%を実現した、シリコンRF※3高出力MOSFET※4モジュール「RA50H7687M1」を8月1日に発売します。
近年、北米などでは、さまざまな無線システムで使用される150MHz周波数帯と400MHz周波数帯の電波がひっ迫し、その対策として、アナログTV放送などに使用されていた700MHz周波数帯域が新たに割り当てられたことで、この周波数帯域に対応した業務用無線機の需要が拡大しています。その一方で、この周波数帯域に対応する従来の電力増幅器は電力損失が大きいなどの課題があることから、あらかじめ入出力整合回路※5が組み込まれ、さらに出力電力などの性能が保証されたMOSFETモジュールが求められていました。
今回、当社が新発売するシリコンRF高出力MOSFETモジュール「RA50H7687M1」は、新型MOSFETの開発により、763MHzから870MHz周波数帯域において、業界最大の出力電力50Wと総合効率40%を実現しました。これにより、700MHz周波数帯域における業務用無線機の需要拡大に対応すると共に、高い出力電力と電力効率で業務用無線機の通信距離の拡大と低消費電力化に貢献します。
新製品の特長
- 業界最大の出力電力50Wを実現し、業務用無線機の通信距離を拡大
- 微細加工技術の適用により、オン抵抗とドレイン-ソース間容量※6を低減した新型MOSFETを開発
- オン抵抗の低減で電力密度を向上し、業務用無線機向けで業界最大の出力電力50Wを実現
- 高出力化により、業務用無線機の通信距離を従来製品※7比で最大6%拡大
- 業界最大の総合効率40%を実現し、業務用無線機の低消費電力化と小型化に貢献
- ドレイン-ソース間容量の低減により、入出力整合回路を最適化し、業務用無線機として業界最大の総合効率40%を実現
- 出力変換効率の向上により、MOSFETの発熱が低減し、業務用無線機の低消費電力化と小型化に貢献
- 入出力整合回路の内蔵で、業務用無線機の設計負荷を低減
- 入出力整合回路を内蔵することで外付け回路が簡素化でき、業務用無線機の回路設計を容易化
- 従来製品と同じ外形サイズのパッケージを採用し、従来モジュールから容易に置き換え可能
- ※1
2022年7月14日時点、当社調べ。763MHzから870MHz帯、入力電力50mWの電力増幅器品において
- ※2
増幅器に供給された電力が高周波出力に変換される時の効率で、高いほど性能が優れる
- ※3
Radio Frequency:高周波
- ※4
Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:金属酸化膜半導体製の電界効果トランジスタ
- ※5
出力と入力のインピーダンスを合わせることで、損失を抑えて信号を伝達する回路
- ※6
構成上発生する容量で、少ないほど広い周波数帯域で増幅器の性能を得やすくなる
- ※7
当社従来製品45W電力増幅モジュール「RA45H7687M1」