三菱電機株式会社は、第5世代移動通信システム(以下、5G)の通信網拡大に対応するため、高周波デバイス「5G massive MIMO※1基地局用GaN※2電力増幅器モジュール」のサンプル提供を2023年9月21日に開始します。これにより、5G massive MIMO基地局の低消費電力化に貢献します。
世界各国で普及が進む5Gでは、高速かつ大容量の通信を実現するmassive MIMO基地局の敷設が主に都市圏で進んでいます。massive MIMO基地局には多素子アンテナを用いるため、送信信号を増幅する多数の電力増幅器の搭載が必要となり、低消費電力化、製造コスト低減の実現に向け、電力増幅器の高効率化やモジュール化の市場ニーズが高まっています。また、5Gの信号品質を満足するための低歪特性※3を実現しながら各国で異なる周波数帯域に対応する広帯域化も求められています。
当社は今回、5G massive MIMO基地局の市場ニーズに対応するため、64T64R massive MIMOアンテナ※4に適した平均出力電力8W(39dBm)で動作する3.4~3.8GHz帯(以下、400MHz帯域)の「5G massive MIMO基地局用GaN電力増幅器モジュール」のサンプル提供を開始します。本製品は、高効率化に有利なGaN HEMT※5を搭載し、当社独自の回路技術を適用することで、400MHzの広い周波数帯域で電力付加効率43%以上と低歪特性を実現し、5G massive MIMO基地局の低消費電力化に貢献します。また、当社独自の高密度実装技術により、電力増幅器をモジュール化することで、基地局の回路設計負荷軽減や製造コスト削減にも貢献します。
- ※1
MIMO:Multiple Input Multiple Output
送信機と受信機の双方で複数のアンテナを用いて、通信速度や通信品質を向上させる無線通信技術 - ※2
Gallium Nitride:窒化ガリウム
- ※3
電力増幅器から生じる歪が大きいと、使用される周波数帯の通信品質だけでなく、隣接した周波数帯の通信品質も劣化させるため、3GPP(Third Generation Partnership Projectで定められた規格を満足する歪特性が求められる
- ※4
64個の送/受信機で構成されたmassive MIMOアンテナ。その他、32個の送/受信機を用いた32T32Rアンテナなどもある
- ※5
High Electron Mobility Transistor:高電子移動度トランジスタ
ウェブサイト
- 半導体・デバイスウェブサイト
- https://www.MitsubishiElectric.co.jp/semiconductors/