図1 作業分析にかかる時間と作業分析の結果から得られる改善すべきポイントのイメージ

三菱電機株式会社は、当社のAI技術「Maisart®(マイサート)※1」の一つとして、循環する身体動作の確率的生成モデル※2を適用することで教師データ※3の作成を不要とし、製造現場の人の作業分析を数分で実現する「行動分析AI」を開発しました。一人ひとりの作業を撮影した動画から、改善すべきポイントを短時間で見える化でき、製造現場の生産性向上に貢献します。

近年、製造現場では自動化が進展する一方、高額なコストを理由に設備投資が進まず、人による作業工程がいまだに多く存在しています。人による作業工程では、作業時間や品質にばらつきが生まれやすく、製造工程のボトルネックとなる場合があります。ばらつきの改善には、作業を構成する「部品の取り出し」や「ネジ締め」などの要素作業にかかる時間を定量化する作業分析が重要ですが、人手による作業分析は、膨大な時間と手間がかかるという課題がありました。

この課題への対策として、AIの活用など作業分析の自動化に向けた技術開発が進められていますが、従来の一般的な作業分析AIは、導入にあたり、作業者や作業の手順ごとに人手で作業分析した結果を教師データとして作成し、学習させる必要があり、導入に時間を要します。

当社は今回、教師データの作成が不要で、作業者の身体動作を分析し、数分で作業分析を実現する「行動分析AI」を開発しました。本技術は、作業中は同じ身体動作が繰り返し行われることに着目し、循環する身体動作の確率的生成モデルを世界で初めて※4作業分析に適用しました。これにより、作業分析にかかる時間を最大99%削減※5できることを実証しました。本技術は、当社が2019年2月13日に広報発表した「人のわずかな動作の違いも見つける行動分析AIを開発」※6の技術を発展させたものです。

本開発成果は、1月31日から東京ビッグサイトで開催される「IIFES 2024(Innovative Industry Fair for E x E Solutions 2024)」に出展し、デモンストレーションを実施します。



  • ※1
  • ※2

    データを確率変数として扱い、観測データの生成過程をモデル化したAIの一種

  • ※3

    AIの機械学習に用いる、例題と正解がセットになったデータ

  • ※4

    2024年1月25日現在。当社調べ

  • ※5

    お客様との実証実験における結果。人手による作業分析、また一般的な作業分析AIにおける教師データ作成にかかる時間との比較

  • ※6

    2019年2月13日付広報発表 https://www.MitsubishiElectric.co.jp/news/2019/pdf/0213-c.pdf