三菱電機株式会社は、衛星通信(Satellite Communications:SATCOM)地球局の送信機に使用される高周波デバイスの新製品として、「Ka帯※1衛星通信地球局用GaN MMIC※2電力増幅器」2製品のサンプルの提供を7月1日に開始します。現在、衛星通信の主流の周波数はKu帯※3ですが、Ku帯と比較してKa帯は情報伝送量の大容量化が可能です。今回、Ka帯に対応する高周波デバイスをラインアップすることで、今後拡大が見込まれる大容量通信への対応と、衛星通信地球局の小型化や低消費電化に貢献します。
なお、本製品は「IMS(IEEE MTT-S International Microwave Symposium)2024」(6月18日~20日、於:アメリカ合衆国・ワシントンDC)に出展します。
衛星通信は、航空機や船舶等の移動通信手段をはじめ、砂漠や山間部など地上通信網の整備が困難な地域での通信手段や災害時の緊急通信手段に加え、SNG※4などの大容量通信としても利用が拡大しています。また、地上の通信網を整備せずに通信が可能なため、新興国での利用も拡大しています。
現在、衛星通信に使用される周波数帯はKu帯(13~14GHz)が主流ですが、Ku帯と比較して周波数が高いKa帯(27.5~31GHz)は、衛星からの電波の放射パターン(ビーム)が絞りやすく、幅の狭いビームを複数照射することが可能なため、情報伝送容量が大幅に拡大します。また、衛星通信は、さまざまな国や地域、用途での利用が拡大しており、利用可能な周波数が逼迫しているため、Ku帯と比較して広い帯域幅が割り当てられたKa帯の活用が進む見込みです。
当社は今回、Ka帯に対応した出力電力8Wおよび14Wの衛星通信地球局用のGaN MMIC電力増幅器のサンプル提供を開始します。Ka帯 衛星通信地球局の送信機に求められる出力電力や周波数などに対応することで、情報伝送量の大容量化が可能なKa帯 衛星通信に対応します。また、高出力・高効率動作が可能なGaN HEMT※5を小型MMIC上に形成したチップ※6製品とすることで、業界最小クラス※7のチップサイズと、最大線形出力電力※8で電力付加効率※9 20%以上を実現し、Ka帯衛星通信地球局の送信機の小型化と低消費電化に貢献します。
現在ラインアップしている「Ku帯 衛星通信地球局用GaN HEMT電力増幅器」9製品に加え、新たに「Ka帯 衛星通信地球局用GaN MMIC電力増幅器」2製品を加えることで、さまざまな国や地域、用途に合わせた衛星通信の普及拡大に貢献します。
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周波数26.5GHz~40GHzのマイクロ波
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Monolithic Microwave Integrated Circuit:高周波回路を、一つの半導体基板上に形成した集積回路
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周波数12GHz~18GHzのマイクロ波
- ※4
Satellite News Gathering:通信衛星を使うテレビニュースなどの放送番組素材収集システム
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Gallium Nitride High Electron Mobility Transistor:窒化ガリウムを用いた高電子移動度トランジスタ
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パッケージ化されていない半導体チップ、ベアチップのこと
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2024年6月14日現在、当社調べ
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3次相互変調歪が-25dBc以下となる2波の合計出力電力で最大の値
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供給された直流電力を出力信号の高周波電力に変換する効率
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