84kVドライエア絶縁開閉装置(イメージ)

三菱電機株式会社は、送配電会社などの変電所に設置されるガス絶縁開閉装置(以下、GIS※1)の新製品として、温室効果ガス不使用の環境に配慮した「84kVドライエア絶縁開閉装置」の初号機を、関西電力送配電株式会社(本社:大阪府大阪市)の岩田変電所(京都府八幡市)向けに受注しました。なお、温室効果ガス不使用のGISにおいて、主要部品である真空バルブおよび真空遮断器の2つを自社開発したのは当社が国内初※2となります。

GISなどの開閉機器は、送電ルートの切り替えや事故時の過電流から系統を保護するための機器で、当社は1968年に国内初の84kV GISを納入して以降、電力ネットワークを支える開閉機器を国内外に納入し、半世紀以上にわたり電力の安定供給に貢献してきました。一方、現在の開閉機器には、地球温暖化係数がCO2の約2万4,300倍※3の温室効果を及ぼすSF6ガスが使われています。機器からのSF6ガス排出量を極小化しているものの、近年の環境負荷低減のニーズや各国のSF6ガスの使用を規制する制度※4の制定などを受け、SF6ガスを使用しない開閉機器の開発が進んでいます。

当社が開発した「84kVドライエア絶縁開閉装置」は、SF6ガスの代替として、真空バルブによる電流遮断および高圧ドライエア絶縁方式を採用しました。1965年から製品化し遮断性能に優れた当社製の真空バルブと、地球温暖化係数がゼロである自然由来のドライエアを絶縁媒体として採用したことで、安全性が高く、環境負荷の低減と保守作業の効率化に貢献します。今回、当社が蓄積してきた技術・実績と環境負荷の低減への貢献が評価され、本製品初号機の受注に至りました。本設備の納入は、2026年3月を予定しています。

当社は今後も、温室効果ガス不使用の製品ラインアップを拡充し、国内外のさまざまな地域で電力系統の安定化を支援することで、カーボンニュートラルの実現と、多くの人々が安心して電気を使える安心・安全な社会の実現に貢献していきます。



  • ※1

    Gas Insulated Switchgear

  • ※2

    2024年7月17日現在、当社調べ

  • ※3

    出典:Worldwide Governance Indicators Report

  • ※4

    欧州や米国では世界に先駆けてSF6ガスの使用を規制する制度が公表されており、EUではフッ素ガス規制(Regulation No.573/2024)の改正によりSF6ガスの使用が禁止される見通しであるほか、米国カリフォルニア州ではCARB(Regulation for Reducing Sulfur Hexafluoride Emissions from Gas Insulated Switchgear)の発効により段階的な廃止を予定

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