HVIGBTモジュールS1シリーズ
HVIGBTモジュールS1シリーズ

三菱電機株式会社は、鉄道車両・直流送電などの大型産業機器向け耐電圧1.7kVパワー半導体モジュールの新製品として、「HVIGBT※1モジュールS1シリーズ」の2製品を12月26日に発売します。独自のIGBT素子と絶縁構造の採用により、信頼性向上および電力損失と熱抵抗の低減を実現し、大型産業機器向けインバーターの高信頼性・高効率化に貢献します。


近年、脱炭素社会の実現に貢献するキーデバイスとして、電力を効率よく変換するパワー半導体の需要が拡大しております。なかでも、大型産業機器向けのパワー半導体モジュールは、鉄道車両の駆動システムや電源装置、直流送電などの電力関連システムにおけるインバーターなどの電力変換機器に使用されており、脱炭素社会の実現に向け、さらなる電力変換効率の向上に貢献する高出力・高効率な製品が求められています。加えて、製品に対する高い信頼性や、インバーター内部のショートや漏電の発生するリスクを低減し安全性を確保するため、絶縁耐電圧の高いパワー半導体モジュールであることが重要です。


当社は、業界に先駆けて1997年に耐電圧1.7kVのパワー半導体「HVIGBTモジュール」を発売し、以降、優れた性能と高い信頼性が評価され、主に鉄道車両の駆動システム、直流送電などの電力関連システム、大型産業機械などのインバーターに広く採用されています。 今回発売する「HVIGBTモジュールS1シリーズ」は、独自のRFCダイオード※2の搭載によりRRSOA耐量(逆回復時安全動作領域における耐量)を従来製品比で2.2倍に拡大※3し、インバーターの信頼性向上に貢献します。また、独自のRFCダイオードに加えて、CSTBT構造※4を採用したIGBT素子の搭載により、電力損失と熱抵抗を低減させたことでインバーターの高効率化に寄与します。さらに、独自の絶縁構造の採用で、絶縁耐電圧を従来製品比1.5倍の6.0kVrmsに向上※3させ、インバーター内部の絶縁に関する設計の自由度が拡大することで、様々な種類のインバーターに幅広く対応します。これらにより、鉄道車両・直流送電などの大型産業機器向けインバーターのさらなる高信頼性・高効率化に貢献します。



  • ※1

    High Voltage Insulated Gate Bipolar Transistor:高耐電圧絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ

  • ※2

    Relaxed Field of Cathode:カソード側の電子移動度を最適化した当社独自のダイオード

  • ※3

    従来製品CM1200DC-34N、CM1200E4C-34N、CM1200DC-34Sとの比較

  • ※4

    キャリア蓄積効果を利用した当社独自のIGBT構造