
三菱電機株式会社は、第5世代移動通信システム(以下、5G)のmassive MIMO※1基地局用GaN※2電力増幅器モジュールの新製品として、北米や東アジア、東南アジアなどで多く使用される周波数帯「3.6~4.0GHz帯」で動作可能な製品「MGFS52G40MB」のサンプル提供を3月25日に開始します。本製品は、5Gが都市圏から周辺都市に普及拡大するにあたり敷設増加が見込まれる32T32R massive MIMOアンテナ※3に適した、平均出力電力16W対応とすることで、より多くの国や地域の5G massive MIMO基地局の製造コスト低減や低消費電力化に貢献します。
世界各国で普及が進む5Gでは、高速かつ大容量の通信を実現するmassive MIMO基地局の敷設が主に都市圏で進んでおり、今後は、都市圏から周辺都市への敷設拡大が予測されています。massive MIMO基地局は、多素子アンテナと多数の電力増幅器を用いることから、低消費電力化や製造コスト低減の実現に向け、電力増幅器の高効率化やモジュール化のニーズが高まっています。また、電力増幅器には、5Gで要求される信号品質を満足する低歪特性※4を実現しながら、国や地域で異なる周波数帯に対応する製品や、都市圏から周辺都市に普及拡大していくにあたっての通信距離の伸長に対応する高出力化も求められています。
当社はこれまで、平均出力電力8Wおよび16Wで動作するGaN電力増幅器モジュールを市場投入し、欧州や南アジア、西アジアなどで多く使用される「3.3~3.8GHz帯」に対応しています。今回新たに、北米や東アジア、東南アジアなどで多く使用される周波数帯「3.6~4.0GHz帯」に対応したGaN電力増幅器モジュールを開発しました。本製品は、5Gが都市圏から周辺都市に普及拡大するにあたり敷設増加が見込まれる32T32R massive MIMOアンテナに適した、平均出力電力16W対応とすることで、より多くの国や地域の5G Massive MIMO基地局の電力増幅器モジュールの使用数削減による製造コスト低減に貢献します。また、新製品は、高効率化に有利なGaN HEMT※5を搭載し、当社独自の回路技術を適用することで、3.6~4.0GHz帯(400MHz帯域)の広い周波数帯域で電力付加効率41%の低歪特性を実現し、5G massive MIMO基地局の低消費電力化に貢献します。さらに、当社独自の高密度実装技術により、電力増幅器をモジュール化することで、基地局の回路設計負荷軽減や製造コスト削減にも貢献します。
- ※1
MIMO:Multiple Input Multiple Output
送信機と受信機の双方で複数のアンテナを用いて、通信速度や通信品質を向上させる無線通信技術 - ※2
Gallium Nitride:窒化ガリウム
- ※3
32個の送/受信機を用いたmassive MIMOアンテナ
- ※4
電力増幅器から生じる歪が大きいと、使用周波数帯の通信品質だけでなく、隣接周波数帯の通信品質も劣化させるため、3GPP(Third Generation Partnership Project)で定められた規格を満足する歪特性が求められる
- ※5
High Electron Mobility Transistor:高電子移動度トランジスタ
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